あらすじ
少年は12歳にして「永遠の命」に閉じ込められた!? 僕はなぜ大人にならないのだろう。心も躰も成長を止め、純粋な子供のまま生きていくことは、果たして幸せなのだろうか。出生の秘密を自ら探る呼人が辿り着いた驚くべき真実とは。感動のラスト、権力者の理想が引き起こす現代の恐怖をリアルに描いた傑作長編。
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ー 「おれたちが作りあげた物語だ。こういうふうに夏休みが終わってほしいって考えた物語なんだ。物語には感動的な結末もあるけど、さっぱり盛りあがらないまま終わる出来の悪い結末もあるだろ。でも、どんな物語にも終わりはある。終わって、幕が下りて 、あたりが明るくなって、映画館を出て、ぼくらは家に帰るんだ」 ー
1973年に生まれて、1985年に成長が止まり永遠に12歳のまま生きることになった少年の物語。
日本航空123便墜落事故の飛行機に乗る予定だったが、乗り遅れた設定となっており、その後も彼とその友人たちは時代の波に呑まれながら生きてゆく。
呼人は肉体的には12歳のままで、友人たちは当然歳を取っていく。変わらない友情だが変わっていく関係性。
1999年出版の作品で、2005年や2010年のプチ未来予想も書かれている。ひどい時代だったけど、今は描かれているよりももっと悪いかな、って感じの正答率だけど、2004年にご自身で死を選ばれた野沢尚さんは、自死を選ばなかった呼人に何を託したかったんだろうか…。
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再読
すっかり大大人になってからの再読は、本当に失ってしまったものの重さをヒシヒシと感じた。
12歳の子供のエネルギーを感じてみたい!と思った。
呼人のその後、その後はどうなるのだろうか。
生があり、成長があり、老いがあり、死があると言う事がドラマを生み出すのだろう、たとえ平凡であっても・・
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年は12歳にして「永遠の命」に閉じ込められた!?僕はなぜ大人にならないのだろう。心も躰も成長を止め、純枠な子供のまま生きていくことは果たして幸せなのだろうか。出生の秘密を自ら探る呼人が辿り着いた驚くべき真実とは。感動のラスト、権力者の理想が引き起こす現代の恐怖をリアルに描いた傑作長編。
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少なくとも3回は読んでいる。
文庫の出版が2002年なので、初読からほぼ20年が経っている。
野沢尚さんは、「破線のマリス」以降、恐らく全ての文庫を読んでいるが、なぜ「呼人」のみを何度も読みたくなるのか、分からない。
48年生きた12歳の呼人には、今のこの世界はどう見えるのだろうか。
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12歳で成長が止まった男の子・呼人の心の歴史。
時々、何のために生まれて来たのだろうと呼人は思う。確かに周りは彼を置いて年を重ね、いつかは消えて行く。
私は何のためにと考えたこともないし、無理に考えても何の答えもない。何のためにというのは、他人に何かする役目なり生きる目標なりがあってのことかもしれない。人としてするべきことは、大差なくて、社会人、家庭人になりその役目を果たしながら生きていくほかはない。という流れのまにまに苦楽を越えて生きることだと思っている。
呼人はMITで薬学研究をしていた日本人が 遺伝子操作で密かに作り出した成長を止める薬を、たまたま出合った妊婦に注射をした。女はテロの首謀者として世界を転々としていた。生まれた子を妹に預けてまた世界に出て行った。呼人は子供を預かったのが今の母だと知る。
彼は12歳まで普通に成長した。友達と山に基地を作って遊んでいた。話はまるで「スタンド・バイ・ミー」のように始まる。
12年後呼人の成長が止まった。見かけは子供のまま、友達と進路がわかれた。
14年後、呼人26歳。小春は家出して逢えないまま。秀才の潤はアメリカの大学を出て銀行に就職、金融先物取引で損失補てんに失敗、刑務所にいた。厚介は数学者の父から逃げて自衛官になり、北朝鮮の捕虜を救いに派遣され、地雷原で片足を失った。
呼人32歳。教師になるために免許を取ったが採用されず、自宅で通信講座の添削をしている。
6年前に母を訪ねてアメリカにわたった。母は研究者の父と、短期間夫婦として過ごしたという、後を訪ね、真実に直面して、死のうと思った。だが生まれてきたことを考え直しに帰国した。
思い出の山に、ごみ処理場が出来ると言う。谷にシートを敷き有害物質を捨てる計画が実行される。まだ手のはいってない最後に風景を見ておこう。
呼人はむかし辿った道で小春に会う。彼女も最後の日を知り訪ねてきていた。
小春は運命について話す。
―― 人間はだれしも、何かの意味を持ってこの世に生まれてくると信じたい。メーテルリンクの「青い鳥」ふうにいうと、子供が生まれてくる時に「時のおじいさんが」から持たされる、「「お土産」という名の「宿命」だ。
この奇妙な人生は必然で、12歳のまま生きているのは、誰かの悪戯とか、単なる事故とか、そんな風に思いたくなかった――
手ががりを追って母を訪ねる旅に出る。導かれているように旅立ちの決心をする。
人の手でつくりだされた成長が止まる運命にもだえ苦しむ話かと思っていた。だが、次第に呼人の心がわかってくる。
友達の境遇も織り交ぜ、考えさせられた。
北朝鮮問題。米国の熾烈な先物買い、為替取引の現状。ごみ処理問題、作者の知識が熱すぎるくらい語られている。
最後が2010年で幕を閉じる、発行が1999年なので近未来という設定だが、今読んで、過ぎた時代が近未来として読んでいる、と言うギャップがあるにもかかわらず、余りにも現実に近くて、作者の慧眼に驚いた。
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内容(「BOOK」データベースより)
少年は12歳にして「永遠の命」に閉じ込められた!?僕はなぜ大人にならないのだろう。心も躰も成長を止め、純粋な子供のまま生きていくことは果たして幸せなのだろうか。出生の秘密を自ら探る呼人が辿り着いた驚くべき真実とは。感動のラスト、権力者の理想が引き起こす現代の恐怖をリアルに描いた傑作長編。
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生と死(老いと若さ、大人と子供、地球環境)、
愛(家族愛、夫婦愛、男女愛、無償の愛、友情)、
思想(政治、宗教、戦争、歴史、差別)、どこに引っ
掛かっても読み手なりの葛藤と向き合えるいい本
だと思う。そこら無視してエンターテイメントとし
ても楽しめるし詰まってるのに重すぎない。強いて
駄目出しするならなんで死んだんだバカタレがと。
Posted by ブクログ
「人間は限りある明日の中で、できることとできないことを峻別する。明日が少なくなるほど、人間はこれまでに得てきたものを必死に守ろうとする…でもね、子供の強みは明日がいっぱいあることなんだ。どんな修正もきく。自分という人間はこの世の中にどれほど必要なのか、ゆっくり考える時間がある」
Posted by ブクログ
野沢尚作品の中でもあまり知名度が高くないかな?
とはいえクオリティは高かった。1999年時点で書かれているにも関わらず、2005年、2010年の近未来についてけっこう当たっている内容が多いし、映画にしても通用するストーリー。ノンフィクションなエピソードが随所に入っているのでファンタジーと事件派の中間点とも言えるけど具体的でメリハリの有る感じはやはり脚本家が本業だからなのでしょう。
Posted by ブクログ
【少年は12歳にして「永遠の命」に閉じ込められた!?僕はなぜ大人にならないのだろう。心も躰も成長を止め、純枠な子供のまま生きていくことは果たして幸せなのだろうか。出生の秘密を自ら探る呼人が辿り着いた驚くべき真実とは。感動のラスト、権力者の理想が引き起こす現代の恐怖をリアルに描いた傑作長編。】
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歳をとらない子供の行き着く先は?
重い話ですが、サラッと読めました。
永遠に12歳である少年が、自分の人生に折り合いをつけて結末を迎えるわけですが、その為に数少ない友人を無くしても、呵責が感じられません。
それも、子供ゆえの残酷さなんでしょうかね。
Posted by ブクログ
1973にうまれる。
12歳で、成長が止まる。
1985年から物語がはじまる。
潤、厚介そして小春
4人を中心として物語が進む
1985(12歳);1992(19歳);1999(26歳);
2005(32歳);2010(37歳)
潤はアメリカの大学に行き、そして、銀行のトレーダーとなる。
厚介は、自衛隊に入りそして、特殊工作をうけ、北朝鮮にはいる。
片足が吹っ飛んで、帰ってくる。
小春は、伝説的な存在となり、妻子ある男と結婚するが
結果別れてしまう。
なぜ、成長がとまってしまったのか
「遺伝子操作」
母親探しをする。
新左翼、「日本赤軍」、イスラム原理教・・・
Posted by ブクログ
結構分厚い本でしたが、これもまた読み進めてしまいました。
まず設定がすごい。12歳で成長が止まった呼人が主人公。子供のころでも今でも、時間が止まってしまえばいいのにと願うことってありますよね。実際そんなことはできないし、それを望むくせに明日を待っているのが人間ですし。しかしそれが現実となる…自分だけが成長を止めてしまった。周りが大人になって老いていくのに、いつまでも変わらない永遠の12歳。なぜそうなったのか、出生の理由を追い求めていく。うーん、人間ってそんなことまでやってしまうのか、というのと、権力社会の裏側とか、宗教的思考(と言えばいいのかな)の恐ろしさとか。
まず、呼人のような成長を止める人間が生まれてきそうな社会が怖いです。自然の摂理の崩壊ってどうなんだろうなあ…。
そういえばこの作品は2002年に文庫化された、っていうぐらいの10年前の作品ですが、近未来として2010年まで描かれていました。すでに2010年は過ぎましたが、描かれているような未来ではなくてほっとしたというか、そうなっている場合もあるのだなと思うとぞっとしたというか。(そんな壮絶な2010年が描かれているわけではありませんけども)
Posted by ブクログ
12歳のまま心も身体も成長がとまった少年。友達たちは成長し、大人になり、米国でつかまったり、自衛隊で特殊部隊となったり様々なことを経験していく。成長のとまったぼくは友達たちを暖かく見守りつつ、自分の出生の秘密を探す旅に出る。少年の言葉はやさしい。小春の秘密、母の秘密。ラストは急展開でなんだか急ぎ過ぎた感があるなー。
Posted by ブクログ
さすが野沢尚!!
今後新たな野沢作品が見られないのが本当に残念です。
最後はかけあしの作品ですが、せつなくなる逸品。
もう一度、野沢作品に逢いたいです。
Posted by ブクログ
電車の中で目の前に立っている人が読んでいて、少しだけ見えた一説が何となくひっかかり帰ってから検索をかけた所、この本だろうなと行き当って出会ったという。
母アミとの対峙までの流れはやや脚色染みてしまっていまいちさを感じさせるのだけれど、それまでの自らの成長が止まり、姿による周りの反応であったり、友人達との間に出来る距離などは、特化した形で描かれつつも違った形で自分たちの周りにあるものだと思う。
Posted by ブクログ
永遠に12歳の呼人と、三人の友人たちとの関係を描きながら、物語は呼人の出生の秘密をたどり、テロリストの母へと向かっていく。
子どもと大人、生と死の間にある寂しさを描いた良作。
Posted by ブクログ
個々の話の完成度は高いが、繋ぎ合わせに失敗している印象。ドラマの脚本を小説に落とし込んだのだろうかと勘繰ってしまう作品。
個人的にこの作品のハイライトは、最後の母親に対する主人公の台詞。
「芝居だったのかな」
途中に出てくるフェルメールの「信仰の寓意」イヴを母親に重ね合わせたのだろうか。
Posted by ブクログ
呼人は12歳のまま成長が止まり、永遠の命が与えられているらしい。
友人の潤、厚介、小春との小学校時代の思い出と成長していく彼らとの付き合いの中で、呼人は自分の生きている意味を考えて行く。
痛々しいけど、みんながその時その時を必死に生きていて、感動的な冒険小説でもある。
Posted by ブクログ
あっさり醤油味。
12歳から歳を取らない少年の話。
ファンタジー系かと思いきや、意外と日常的なストーリー。心情もガッツリ書いてあるわけじゃなくて、淡々と読みやすかった。
でも無駄に登場人物を殺してしまった感が・・・。
Posted by ブクログ
執筆当時からの近未来である2010年の原発(ただしヨーロッパ)の状況が、まさに今と同じなのに背筋が寒くなった。
911を予言したようなローンガンメンを思い出した。
ラストを読んで、このまま一人になるのはあまりに寂しいだろうから、ポーの一族のエドガーとアランみたいになってほしいと思ったのは私だけ?
Posted by ブクログ
久しぶりに野沢尚さんの作品を読みました。
前半はスタンドバイミーを匂わすような、
野沢さん作品としては珍しいなぁ、なんて思う展開でしたが、
ストーリーが進むにつれ、
サスペンス要素が加わってどんどん引き込まれていきました。
12歳にして成長が止まる主人公、という異色な設定に
どんな展開が待っているのかと想像できないスタートでしたが、
世界情勢や化学の進化、生と死など、色々な面から考えさせられる1冊でした。
Posted by ブクログ
すごくドラマチックな話なんだけど。。人の感情・気持ちをあまりに直球で表現されるとつらいのかもしれない。小学校での出来事を、みんな引きずり過ぎじゃない?
Posted by ブクログ
12歳で成長を止めてしまった少年が、自分の存在の意味を知るために、母親を追い求める話。
設定がまず魅力的で、一気に読みました。
途中の政治的、宗教的な部分は大分斜め読みになってしまいましたが^^
15歳でも10歳でもない、12歳という年齢が切ないですね。思春期の入り口にずっと立ったまま友達の背中を見送り続ける心情って、どんなものなんだろう。
呼人が巡り会った母親に放つ言葉が痛くて切なかった。
遠ざかっていくみんなの背中を見送るしかないつらさが哀しかった。
ラストシーンで呼人が涙する姿は、読者に、今生きているということを大切にしろというメッセージを伝えている。
成長し、大人になった今、子どもであった頃の自分を忘れるなという想いが伝わってきた。
Posted by ブクログ
冒頭は、まるでスタンドバイミーみたいで、面白かった。
12歳で成長が止まってしまうという設定も面白いと思う。
ただ、ところどころ、話が冗長になったりして読みづらい部分があった。
最後は・・・なんか、無理やりまとめた感じがする。。
Posted by ブクログ
「不老」の恐怖、「成長」の恐怖が相対的に書かれ、グローバルな視点からの史実も加わって、重厚な物語になってる。でも、なんとなく肩透かしというか尻すぼみというか。全て伏線で繋がるかんじはあるんだけど、最後の最後の盛り上がりが欠けるような。
野沢尚さんということで過大に期待しすぎたかな?いや、おもしろかったのはおもしろかったんですが。