野沢尚のレビュー一覧

  • 砦なき者

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     江戸川乱歩賞受賞作『破線のマリス』の続編。前半2章は実質的に別個の通俗的な内容の短編で、表題作と言えるのは後半2章のみ。変則的な構成も含めて、小説としての完成度やリアリティは前作より劣るが、問題意識はより尖鋭的に表出されている。もはやマスメディアが対峙しているのは権力ではなく、疎外されルサンチマンを抱えた大衆であることを的確に表現している。

     本作が描く「橋下徹の頭脳を持った本村洋」とも言うべきニヒリストのカリスマが、メディアとITツールを駆使して、大衆の憎悪=歪んだ正義感を煽動していく姿は、犯罪容疑者や社会的弱者へのバッシングや「劇場型政治」、さらに「在特会」のような排外主義運動を戯画的

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    2018年08月16日
  • リミット

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    ネタバレ

    犯人5人組のうち三人がアホとかもう失敗待った
    無しで案の定人混みて発泡とか無茶苦茶だなとか
    思いつつもこのシフトアップからの展開がいい。

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    2014年08月16日
  • 破線のマリス

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    ネタバレ

    「ふたたびの恋」がとても気に入って、の流れでの野沢作品。
    冒頭からスリリングで、要所要所非常に端的な切り込んだ表現は映像的だななんてのは穿った見方かも。

    実際近くにいたら嫌な感じの主人公だが、この気持ちも分らなくも無くて、驕った自分にツケが廻ってくる感じは不愉快でもあり快感でもある。

    最後の最後、あの一行はさすが。

    でもそもそもの事件については、ちょっとあまいかな。

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    2014年08月06日
  • 破線のマリス

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    野心あふれる映像編集ディレクターの元に持ち込まれた1本のビデオテープには、自殺者が死の直前まで何者かに尾行されているシーンが収められていた。自殺現場から立ち去る尾行者らしき人物の爽快な笑顔をノーヵットのまま放映したことで、波紋は拡がる・・・

    犯人探しのミステリーなんだが、映像による報道は真実を伝えられるのか・・・15年以上前の作品なんですが、テレビの影響力ってものをまざまざと考えさせてくれたところが、乱歩賞だったんですかね。


    (2014/5/1)

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    2014年06月08日
  • 破線のマリス

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    上司のオススメで読むことにした一冊。
    ミステリーは数えるほどしか読んでいませんが、なんとか読み終えることはできました。
    ただ、夜、歩いて帰るのが怖くなりました。
    報道映像を作る人のことは全く知らなかったので、その一端を知ることができたのかもしれないとは思う。

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    2014年05月27日
  • リミット

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    幼児誘拐&臓器売買が題材。読んでて陰鬱な気分にはなるものの、先が気になってついつい読んでしまった。まさか、あいつが真犯人とは…。

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    2014年04月05日
  • 呼人

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    ネタバレ

    個々の話の完成度は高いが、繋ぎ合わせに失敗している印象。ドラマの脚本を小説に落とし込んだのだろうかと勘繰ってしまう作品。

    個人的にこの作品のハイライトは、最後の母親に対する主人公の台詞。
    「芝居だったのかな」
    途中に出てくるフェルメールの「信仰の寓意」イヴを母親に重ね合わせたのだろうか。

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    2014年02月26日
  • 呼人

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    著者の作品は大好きなのですが、唯一うーん…という作品でした。ラストは考えさせられる感じで、さすがだなぁと思いましたが。

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    2014年01月06日
  • リミット

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    連続して起こる児童の誘拐事件。事件を捜査していた刑事の有働公子(主人公)の息子も誘拐され、身代金の運び役に指名されます。
    自分の子供を取り戻すために、警察をも敵に廻して、単独で誘拐犯グループと対峙し追い詰めていきます。
    最初は硬い文体で読み難かったものの、息子を思う苦しみや、犯人に脅され警察に追われるという恐怖感や緊張感がヒシヒシと伝わり、途中から一気読みでした。
    つっこみどころは多いですが、なかなかの力作だと思います。

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    2014年03月09日
  • リミット

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    ネタバレ

    散々その線はない、という真犯人の伏線を張っておいて、逆にその人物というオチ。
    大体、母性なんてものを信じたいのは男性であって、女性はそんなものは幻想の産物だと知っている。
    主人公だって、あの状況に追い込まれたからこそ無茶ができたのであって、そうでなければ組織の言いなりで行動するしかないし、それを逸脱する積極的な理由はないはず。
    男性は、命を生み出すという女性特有の能力に無意識的に畏怖の念を持っているから、その女性に更に力を持たれては勝ち目がないと悟っている。
    だから、歴史の表舞台から徹底的に隅に追いやり、男女平等とか言いつつも、出産育児は女の仕事、だって母性本能があるだろと第一線で働くことから

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    2018年03月20日
  • リミット

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    子をおもう母の気持ちが、どれほどつよいものか、実感させられた。
    残酷なストーリーではあるが、臓器移植の問題は社会的な題材だとおもう。
    母親は強し!

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    2013年09月16日
  • ラストソング

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    ロックンローラーのシュウ。
    天下を取ろうぜ といって、リーダーとなる。
    カズヤの登場で ギターの天才だった。
    そして、カズヤは 歌も シュウよりうまかった。

    リンコは 自分のレールがあまりにもきちんとできているので、
    それが 不安となり そのレールをすていることに。
    ラジオのDJをやることで であった シュウ
    そして カズヤ。
    リンコの人生は大きく変わっていくが。

    才能 そして 不安定な生き方
    そのなかで、愛することは 難しかった。

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    2013年09月15日
  • 魔笛

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    突如発生した、渋谷交差点での爆破テロ。宗教団体との関連が取り沙汰されるなか、テロリストの守屋礼子は、元公安の潜入捜査員だった。犯人のメッセージにただ一人気づいた刑事、 は、彼女とのゲームに巻き込まれていく。

    前半は背景の説明に紙数をさかれて冗長な感じだったけど、後半の対決モードになってからは一気に読めました。狂った爆弾魔と一徹な正義という対立に加え、警察組織の確執が混じり合うなか、主人公の熱意には感心しました。
    狂気にかられた宗教団体、面子にこだわる組織、獄中の支援者など、どこかで見たような要素を貼りあわせたストーリーに感じられなくもないですが、爆弾に対する詳述など、著者のこだわりも随所に感

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    2013年09月08日
  • リミット

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    衝撃的な内容。読み終わった後にどこか現実的にも起こりえると考えてしまう。幼児誘拐事件と人身売買の本。のざわひさし

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    2013年08月14日
  • 魔笛

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    ネタバレ

    何ていうか、読んでてものすごい疲れるというか、消耗させられた作品。

    そんなことってあるの?
    ・・いや、この作品を読むとないとは言い切れないような・・気がする。

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    2013年06月17日
  • ラストソング

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    【博多のライブハウスで宿命的に三人は出会った。地元のスター修吉に挑みがかった一矢のギター。ロックが大嫌いだった倫子はリーダー修吉の彼女になり、夢を追い上京した彼らを支える…。持てる才能だけを信じ、一度きりの日々を懸命に疾走する者たち。『破線のマリス』以前に野沢尚が書いた青春小説の傑作。】

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    2013年05月29日
  • 砦なき者

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    テレビドラマを先に見ました。
    小説の方が面白かったなあ。リアルなような、一部リアルではないような。ただ、引き込まれます。

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    2013年03月26日
  • 魔笛

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    ―――白昼、渋谷のスクランブル交差点で爆弾テロ!
    二千個の鋼鉄球が一瞬のうちに多くの人生を奪った。
    新興宗教の教祖に死刑判決が下された直後だった。妻が獄中にいる複雑な事情を抱えた刑事鳴尾良輔は
    実行犯の照屋礼子を突きとめるが、彼女はかつて公安が教団に送り込んだ人物だった。
    迫真の野沢サスペンス。


    借りもん
    初めて野沢 尚を読んだ
    でも彼はもうこの世にいないらしい

    「クレイモア」と言えば伝わる人もいるかもしれない。
    無数の鋼鉄球を爆弾と一緒に仕掛けて、全方位への殺傷能力を高めたもの

    この兵器の解説を筆頭に、関連事象への圧倒的な情報量とその密度
    そしてストーリー展開の

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    2012年12月30日
  • 龍時(リュウジ)01─02

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    バルサ相手の同点ゴールは快感。
    小説の世界に吸い込まれました。
    ストイックな精神は、若さは羨ましい。今後の彼のいのちは、、続きが楽しみ。

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    2012年12月24日
  • 呼人

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    呼人は12歳のまま成長が止まり、永遠の命が与えられているらしい。
    友人の潤、厚介、小春との小学校時代の思い出と成長していく彼らとの付き合いの中で、呼人は自分の生きている意味を考えて行く。
    痛々しいけど、みんながその時その時を必死に生きていて、感動的な冒険小説でもある。

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    2012年11月15日