ケン・リュウのレビュー一覧

  • 折りたたみ北京 現代中国SFアンソロジー

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    親しみやすさを意識して構成されているようで、初心者の私でもとても読みやすかった。
    あと、「三体」の第一巻と第二巻は大衆向けのテーマを入れ込んだけど、第三巻はハードなSFファン向けだから出版社も作者も諦めてたのに、シリーズ全体の成功につながったのはSFファン向けに書いた第三巻だった、という話はこの本に掲載されてるエッセイに書いてあったんですねぇ。読めてうれしい。 収録作家と作品は以下の通り。

    ●陳楸帆(チェン・チウファン)
     ・鼠年
     ・麗江(リージャン)の魚
     ・沙嘴(シャーズイ)の花

    ●夏茄(シア・ジア)
     ・百鬼夜行街
     ・童童(トントン)の夏
     ・龍馬夜行

    ●馬伯庸(マー・ボーヨン

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    2025年10月12日
  • スタートボタンを押してください ゲームSF傑作選

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    SF作家たちがノベルゲームに感じている可能性というか、テキストに感じている可能性をまざまざと見せつけられたような感じだ。

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    2025年10月01日
  • 折りたたみ北京 現代中国SFアンソロジー

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    ケン・リュウ氏が編んだ中国SFの短編集。様々な賞を受賞している作品も多く、どれも面白い。中国SFだから何か特殊な作風があるのかというとそうでもなく、欧米のSF作品と似た読み方ができる。もちろん、読者は中国の事情を踏まえて読むことも多いだろうから、それはそれで読者が楽しめばよい。収録作品で印象に残ったのは「折りたたみ北京」で、これは何度読んでも良い。「沈黙都市」(馬伯庸)は言葉狩りの究極の姿を描いたディストピア。単純に息苦しさを感じる。「神様の介護係」(劉慈欣)は流転を感じる大きな時間軸の物語。「円」(劉慈欣)は既読で、IT技術の黎明と戦術いうか謀(はかりごと)を絡ませているのが面白い。

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    2025年01月31日
  • 宇宙の春

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    良い。しかし重い。
    中国系アメリカ人が書いたとは思えないほど、抉るような日本の戦争の描写の作品が光る。
    日系米国人強制収容所に収容される女性科学者を通して描かれる沖縄の様子、「マクスウェルの悪魔」。
    過去を覗き見る技術と、人体実験で悪名名高い七三一部隊を中心に据えて、ドキュメンタリーが進む「歴史を終わらせた男 ——ドキュメンタリー」。
    軽い短編も挟まれつつ、なかなか重量級の作品ばかりである。しかし、それでも物語に引き寄せられてゆくのだ。

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    2024年09月14日
  • 折りたたみ北京 現代中国SFアンソロジー

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    短篇の名手ケン・リュウが精選する中国SFアンソロジー。ヒューゴー賞の表題作を含む、7作家13作品を収録。

    ケン・リュウの英訳によって広く知られるようになった近年の中国SFがアツい。三体の劉慈欣は別格だが、それ以外にもクオリティの高い作品が多く、作家層の厚さをみせてくれた傑作短篇集が本書。ケン・リュウ自身の作品はないが、彼に劣らず魅力的なタイトルが目立ち、非常に読み応えのある一冊だった。

    「童童の夏/夏笳」介護における近未来技術の予測、すぐにも実現しそうで興味深い。

    「沈黙都市/馬伯庸」個人番号がウェブ上に延長され、匿名が許されない超管理ネット社会が描かれる。ネットの閲覧が管理国家によって

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    2024年01月06日
  • 紙の動物園

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    表題作の『紙の動物園』が、あまりにも素晴らしい作品だったので、読み終えていませんが感想を書いてしまいます。
    歴史に翻弄される人間の悲哀、深い愛情行動、辛い人生の救い、それらが合わさって、非常に深い物語に仕上がっています。
    一生に一度は読むべき傑作です。他の短編も読んできます。

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    2023年12月25日
  • スタートボタンを押してください ゲームSF傑作選

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    ビデオゲームをテーマにした、現代SFを牽引する豪華執筆陣によるオリジナルSFアンソロジー。全12編を収録。

    「リスポーン」「救助よろ」「1アップ」「NPC」「猫の王権」「神モード」「リコイル!」「サバイバルホラー」「キャラクター選択」「ツウォリア」「アンダのゲーム」「時計仕掛けの兵隊」を収録。

    創元文庫がときどき出すSF系アンソロジー。本書は『スタートボタンを押してください (ゲームSF傑作選) 』というタイトルである。これを見て手に取った人なら、間違いなく楽しめる傑作ぞろい。書いているのはもちろんSFで著名な作者ばかりだ(……といっても自分は3人くらいしか知らなかったのだが^^;)。

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    2023年12月17日
  • 母の記憶に

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    中国系アメリカ人作家ケン・リュウの日本における第二短編集。SFに留まらない多彩な魅力に富む全16編を収録。

    「烏蘇里羆」「草を結びて環を銜えん」「重荷は常に汝とともに」「母の記憶に」「存在」「シミュラクラ」「レギュラー」「ループのなかで」「状態変化」「パーフェクト・マッチ」「カサンドラ」「残されし者」「上級読者のための比較認知科学絵本」「訴訟師と猿の王」「万味調和」「『輸送年報』より「長距離貨物輸送飛行船」(〈パシフィック・マンスリー〉誌二〇〇九年五月号掲載)」を収録。

    SF、ファンタジー、歴史ものなどいくつかの要素が混合されているタイトルが多く、その多様な作品群はすべてを一括りに語れない

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    2023年12月17日
  • 紙の動物園

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    中国系アメリカ人作家の短編集。ヒューゴー賞/ネビュラ賞/世界幻想文学大賞受賞の表題作ほか、全15篇を収録。

    「紙の動物園」「もののあはれ」「月へ」「結縄」「太平洋横断海底トンネル小史」「潮汐」「選抜宇宙種族の本づくり習性」「心智五行」「どこかまったく別な場所でトナカイの大群が」「円弧」「波」「1ビットのエラー」「愛のアルゴリズム」「文字占い師」「良い狩りを」を収録。

    SFに与えられる各賞を総なめにした表題作「紙の動物園」が冒頭に収録されている。最初にもってきたのが正解で、いきなりガツンとやられるインパクトによって、この作家に対する印象が好感あるものに満ちてしまった。折り紙で作られた動物に生

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    2023年12月17日
  • 神々は繫がれてはいない

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    タイトルと表紙のイメージは完全にミスリード。ゴリゴリのSFから中国幻想譚のSF再解釈もの、胃が痛くなるポリティカルな暗号通貨ネタまで傑作ぞろい。神々3部作も「ビザンチン・エンバシー」もすごいが、「隠娘」に大興奮。元ネタはなんと映画「黒衣の刺客」だったのもびっくりだが、映画化権も売れてるらしく、これを映像化できるのはヴィルヌーヴかノーランしか思いつかない。あ!ブランドン・クローネンバーグでもいいかも!!

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    2023年07月12日
  • 創られた心 AIロボットSF傑作選

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    SFってやっぱ面白い、と思わせてくれる16編と盛りだくさんの短編集。文庫も物価高騰のあおりを受けてこんなに高くなったか・・・と思いつつ買ったが、元は取れたと思う。

    どの作品も味わい深いのだが、意識を持ったAIは物理的につながりさえできれば、ハード(シャーシ)を乗り換えていけるって設定が興味深い。人間が求めてやまない不死不老をAIなら実現できるという夢。
    究極は「罪喰い」の世界で、人間はみな仮想空間(天国)に旅立ち、荒廃した地上にはロボットだけが残る。遺していく記憶を選べるってとこが業だ。

    一方で、製品が成長したり、メンターがいたり、ロボット同士のいじめがあったりって世界の作品もあって、自意

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    2023年06月30日
  • 折りたたみ北京 現代中国SFアンソロジー

    購入済み

    現代中国SFアンソロジーです。人気作家のSF短編が一冊で読めるので、中国SF新参者にはとてもありがたい作品でした。
    現実とは異なる世界でありながら、現実の社会課題を抽象化し描いたような作品が多く、社会課題を見つめる良いきっかけになります。
    エッセイでも書かれていましたが、何かを成し遂げるための手段・道具としてだけではなく単純に文学として面白いという点も魅力です。

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    2023年06月01日
  • 紙の動物園

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    作品が凄いし、これを違和感無く翻訳した翻訳者も凄い。難しい話が語られているのに、何となく理解できる世界観を作り出せるのが本当に素晴らしい。何とも言えない切なさや刹那さ、、、言葉にできないものが物語として描写されている。本当に頭の良い人が書くとこういう物語になるのかもしれない。難しい話を解るように語り聞かせてくれる。ものすごく良かった。

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    2023年04月03日
  • 宇宙の春

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    ネタバレ

    ケン・リュウのハヤカワの新書は全部買っているけれど、これは私の中で「紙の動物園」に迫るかも。ただ、第二次大戦でアジアを支配していた日本の話が2篇あるので、とても重い。初期の短編集に「歴史を終わらせた男」を入れなかったという判断もわかる。


    「マクスウェルの悪魔」
    戦時下の沖縄ユタの血筋の日系アメリカ人、かつ女性で科学者の主人公。
    どこの土地でも余所者・敵地人として不当な扱いをされ、戦争も地獄の様相を見せる中、それでも人が拠り所とする故郷について描かれる。
    重ねて出てくる「それが戦争ってものじゃないか」が重くのしかかる。


    「歴史を終わらせた男」
    ここで731部隊の話を突きつけられるとは。

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    2023年01月04日
  • 創られた心 AIロボットSF傑作選

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    コミック『アトム・ザ・ビギニング』を読んでいたところで本作を偶然手に取ったのだが、ロボットの擬人化という単純な物語など遥かに超越した16篇の来るべきAI世界にまつわる思索小説としても大変興味深い短編が名編者J・ストラーンによって集められている。J・J・アダムズ編による銀河連邦、パワードスーツものなども読みたくなる。

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    2022年05月28日
  • 紙の動物園

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    最初の表題作でボロボロ泣いてしまった。一方、途中にはSF慣れしていない自分にとって難解な話もいくつかあり、再読の必要性を強く感じています。SF的なモチーフをふんだんに使いつつも人の心と心の触れ合いに重きを置いた優しい眼差しの作風に、なんとなくカーヴァーを連想しました。「紙の動物園」「もののあはれ」「月へ」「良い狩りを」が好み。

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    2021年07月28日
  • 宇宙の春

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    さすが名手のクオリティ。特に最後の「歴史を終わらせた男」は、その内容からケン・リュウという作家が誤解されることを心配した選者がこれまであえて収録していなかったというだけあるインパクトの強い作品。著者の引き出しの多さが存分に楽しめる好編。

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    2021年04月04日
  • スタートボタンを押してください ゲームSF傑作選

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    ゲームを題材にしたSF小説、
    小説でこんなにも、
    ゲームをしている感覚になるのかと、
    とても楽しみつつ、
    新しい感覚になった。

    特に面白かったのは、
    「1アップ」
    友達の葬式に行って、
    ゲームを通して怖しい真実を知ることになる

    「救助よろ」
    連絡が取れなくなった彼氏を探して、
    RPGの世界に入り、
    冒険する女性の話

    ただし、どれも読みやすく、
    楽しめた。

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    2021年03月12日
  • 折りたたみ北京 現代中国SFアンソロジー

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    ネタバレ

    全般的に非常に品質が高く、多様性に富んでいて、とてもよかった。共通して美しい世界観があるのもよい。
    作者に女性が多いところがちょっと意外で、日本とは違うところだなと思った。
    圧巻だったのはやはり「三体」の劉慈欣。「神様の介護係」がよかった。
    あとは馬伯庸と郝景芳の作品をもっと読んでみたい。

    ## 劉慈欣

    ### 円
    古代中国を舞台にして、兵隊を演算素子としてコンピューターのようなものを作った歴史改変もの。
    あれだけの大国の大量の兵をもってすればできなくもなかったかもと思えて面白い。

    ### 神様の介護係
    最高に面白い。
    神様は確かに存在したが、それは何億年も前に栄えた文明に生きた人々のこ

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    2020年07月21日
  • 紙の動物園

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    散々話題になって、2010年代SFのベスト10にも選ばれて、ようやく読んだケン・リュウの『紙の動物園』
    確かに面白いのだけど、それ以上にSFというジャンルに吹いた新しい風というか、雰囲気を感じる短編集だったように思います。

    表題作の「紙の動物園」は特に傑作だと評判は高かった気がしますが、本当に評判に違わない傑作!
    アメリカ人の父と中国人の母を持つ息子が主人公。折り紙の動物に命を吹き込むことが出来る母。しかし息子は成長するに従い、中国人の母に反発を覚えるようになり……

    国籍や言語の違い、文化の違い、それは親子ですらも遠い距離にしてしまいます。そして母からの手紙で明かされる、語られることのなか

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    2020年07月15日