河合祥一郎のレビュー一覧

  • 人間のしがらみ(上)

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     モームは短編という先入観があって長編は敬遠してきたのだが、そろそろ読んでおきたいと思い、代表作「人間のしがらみ」(これまでは「人間の絆」というタイトルが多かったが)を読むことにした。

     冒頭、まだ幼いフィリップ(本作の主人公)を慈愛の目で見守る病床の母、それが親子の最後の別れとなってしまう。とても印象的なシーンで本書は始まる。

     両親を失ったフィリップは牧師の伯父夫婦の元に引き取られる。そして彼は生まれながらの内反足だった。
     神学校での学校生活に嫌気がさし、牧師になることを放棄し、異なる生活を夢見てハイデルベルク、さらに画家になることを志してパリへと赴く。そこでの友人との付き合いや交流を通して、彼は様々なことを学び考える。しかし結局自分の才能に見切りをつけて、今度はロンドンの医学校に入学したものの、ウェイトレスをしている女性に猛烈な恋をして、学業は疎かになってしまう。しかも彼女はなかなか振り向いてくれない。
     上巻は大体こういったところ。

     本巻の半分くらいまではなかなかページが進まなかったが、個性のある人物が登場してきたパリの辺りから、彼、彼女らとフィリップとの付き合いの様子や、若者ならではの自信と不安がないまぜになった心理がうまく描かれていて、面白く読み進めることができるようになった。
     自分を愛してくれない女性に対して卑屈なほどの対応をするフィリップ、彼は果たしてあきらめることができるのか、この後どうなるのか、というところで、下巻へ。

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    2023年10月06日
  • 新訳 オセロー

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    ネタバレ

    白人社会の中で、黒人でありながら中年まで結婚もせず邁進し、将軍の地位までのぼりつめた男をどう見るか。劇中では紳士的な言動をし、名誉を重んじる様子が描かれている。明言されてはいないが、女性に不慣れであっても、まあよいだろう。

    ひそかにいだいていたコンプレックスによって虚言を信じ、ありもしない妻の不貞を疑い、我が手にかけて殺す。
    そういうこともあるかもしれない。

    クライマックス、死んだと思われた人物が死んでおらず言葉を残すことが2度繰り返される。繰り返しは、シェイクスピアを詩として語るとき重要な要素だとか。
    アホか。死んだと思われていた人物が実は生きているという展開はゲキガンガーで揶揄されるまでもなくしらける要因である。デズデモーナのいまわのきわの言葉は、まあ、よかろう。だが、ロダリーゴーはあかん。しかも盤外での出来事。説得力の欠如をやっつけで補った観がある。

    そういうこともあるかもしれない物語。
    だが、展開はやや苦しい。

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    2023年09月13日
  • 新訳 リチャード三世

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    人が多いし呼ばれ方が変わったりするしで、相関図にパラパラ戻りながらでもついていくのがかなり大変
    注釈がけっこう詳しい。
    さすがに原著に戻る気にはならないけど、言葉遊びが多いようなので英語だとさらに楽しめるのだろうなとおもう。

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    2023年08月13日
  • ロミオとジュリエット

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    ロミオ
    どうしてあなたはロミオなの
    モンタギュー家と縁を切り、その名を捨てて
    それが無理ならばせめて私を愛して

    名前がなんだと言うの
    あの美しい薔薇の花が他の名前で呼ばれようと芳しい香りは変わらない
    あなたの名がロミオでなくても
    あなたの素晴らしさは何も変わらない

    動けば肘の当たるような人の波の中
    ロミオ
    振り向いた時そこに見えたのは
    あなただけだった

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    2023年07月26日
  • 新訳 ナルニア国物語3 夜明けのむこう号の航海

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    ネタバレ

    船の絵に吸い込まれて再びのナルニアへ。今回は行方不明の人々を探す旅に同行して道中不思議な島に降り立つ。途中ドラゴンになってしまった生意気なユースタス、強制的に性格が丸くさせられます。暗闇の島に自分が行ったらと想像するだけで今まで見た悪夢を思い出してホラーより断然怖くなりました。次回以降はルーシーとユースタスだけナルニアに行けるのでしょうか。まだ巻が続くので気になります。

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    2023年06月22日
  • ポー傑作選2 怪奇ミステリー編 モルグ街の殺人

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    ミステリーの原点とも言えるポーの作品。
    これはあまりに斬新すぎる犯人…!古い作品なので正直期待は薄めだったけど、180年も前のミステリーに度肝を抜かれるとは。。
    人為的なトリックも好きだけど、期せずしてこうなった、みたいな謎解きも好物です。

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    2023年01月29日
  • 不思議の国のアリス

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    ディズニーでお馴染みの『不思議の国のアリス』。
    原作は楽しい言葉遊びが、いっぱい!

    これ翻訳するの、大変だっただろうな〜というのが第一印象です(笑)
    英単語で韻を踏んだりしているのを、日本語に変えるって大変だったろうと。。
    そのおかげで、不思議で楽しい世界を体験することができてます。
    楽しかった!

    内容はディズニーと、だいたい同じだと思います。
    『アリス -へんてこりん、へんてこりんな世界-』展を見に行きたいので予習として読みました。
    続編はどうなるのでしょう?
    まずはディズニーの方も見直そう。

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    2022年12月19日
  • 不思議の国のアリス

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    初めてきちんと読みました。
    絵本やディズニー、映画なんかで簡単なストーリーは知っていたけど、なるほどこうゆうお話だったんですね。そして、韻を踏んだ詩やダジャレのような会話の翻訳がすごい。

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    2022年12月06日
  • あらすじで読むシェイクスピア全作品

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    正直一作もシェイクスピアを読んだことはないがあらすじで関係性やストーリーは雰囲気としてわかった。
    それにしても表現力や関係性の作り込みが他にはない水準だと思った。

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    2022年09月21日
  • あらすじで読むシェイクスピア全作品

    購入済み

    あらすじを

    シェイクスピアは読むのが大変なので、あらすじを掴むには良い本だと思います。
    しかし、人物の名称を統一していないのが少し分かりにくい。
    文章の接続が変だったり、読みやすくは無かったです。

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    2022年08月24日
  • 不思議の国のアリス

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    『不思議の国のアリス』は子供の頃にディズニーの絵本で読んだきりで、原作本を読むのは初めて。子供の頃はその絵本が大好きだったけど、白ウサギとハートの女王が出てくるくらいしか覚えてなかったので改めて読んでみました。
    登場人物(動物)が多くて、支離滅裂なお話だけど、ずっと読み継がれているってことは面白いのかしら。童心を忘れてしまった今読んだ感想としては、正直なところ、あまり楽しめなかったです。
    原作に使われたジョン・テニエルの挿絵がふんだんに使われてて、挿絵を楽しみに読み終えました。
    アリスは有名なので、教養として一度読んでおくのは良いことだと思います。
    あまり楽しめなかった割には、『鏡の国のアリス』も読んでみようか思案中。

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    2022年08月17日
  • 新訳 マクベス

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    ネタバレ

    『バンパイヤ』を読んだのは『三つ目がとおる』『どろろ』のあとで、それらよりも印象に強いものではなく、どちらかというと感想に困る類の作品だった。
    間久部緑郎というユニークな名前の元ネタがシェイクスピアであることはコミックスの折り返しに著者自らの言葉で記されていたような気がするが、感想に困るたぐいの作品だったから、それに惹かれて原典にあたるというようなこともせず、四十年くらい経ってしまった。

    シェイクスピア初心者である。どれを選べば無難なのかもわからないような。読みやすいもの、とっつきやすそうなものを探したところヒットしたので本書を選んだ。
    訳の良し悪しはわからない。下剋上したけど三日天下で終わりましたというようなお話。三人の魔女とかヘカテとか登場させているが、物語の規模にそぐわない、肩透かしもいいところ。当時の世相を知らないと楽しめない類であるようだ。

    訳者あとがきによれば、種本であるホリンシェッド著『年代記』において、モデルになった人物は下剋上ののち17年くらい善政をしいたとのこと。パトロンである時の権力者におもねった内容に仕上げられているということらしい。

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    2022年07月25日
  • 新訳 かがみの国のアリス

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    角川つばさ文庫版「ふしぎの国のアリス」が読みやすかったので、続編のかがみの国も読んでみた。
    有名なハンプティ・ダンプティはこちらに出てくるのか。ストーリーというより、とぼけたキャラや言葉遊びを楽しむ作品かな、と思う。
    あとがきが良かった。あとがきを読んでから白のナイトのくだりを読み返すと、ちょっと印象が変わった。

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    2022年07月19日
  • 心を支えるシェイクスピアの言葉―――日本語訳と原文で味わう人生に効く110の言葉

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    シェイクスピアの名言だけならネットを調べれば分かるが、言われた場面や関連する言葉が書かれている。おまけでは執筆順に作品とそのサマリーが並べられていて、名言を入り口にして作品に誘導しようとしている。

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    2022年07月13日
  • こんなに面白かった「シェイクスピア」

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    シェイクスピア全作品をこれだけコンパクトに網羅
    、解説してくれるとは、初心者には感謝である。いきなり戯曲よりも、前もって物語の概要を押さえておけるので助かる。巻末の戯曲リスト、索引も役に立ちそう。

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    2022年06月28日
  • ポー傑作選1 ゴシックホラー編 黒猫

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    青空文庫で読んだペスト王を、もっと新しい訳で読みたくて借りた。収録されてなかったけど。
    赤き死の仮面と黒猫とアッシャー家の崩壊は良かった。他は、好きな人は好きなんだろうけど、なんだか付き合いきれない感じがしてほとんど読み飛ばしてた。

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    2022年05月28日
  • オイディプス王

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    ●ようやく、初めての古典。
    学生時代に歴史か国語の授業で確か触れたことがあったが、盛大なネタバレだけされていたのだなというのが読み終わって分かった。
    なるほど、父であり兄弟。なるほど子であり妻。。
    オイディプス王は(例の事件を除いては)至極真っ当な王様であるだけに、こんな運命を背負うのは酷すぎる(まさに過酷)

    ●短い本だが、あっという間に読み切れた。自信になる。

    ●ギリシャ語原文では韻が踏まれているらしい。日本語では分からないのが少し惜しい(とはいえギリシャ語を勉強しようとまでは思わないのでどうしようもないのだけど)

    ●このあとに2作品、続きがあるらしい。
    挑戦するか悩ましい。
    解説を読むのが一つの楽しみなのだけれど、この本の解説は淡々としたもので、それほどの驚きはなかった。

    ●アリストテレス詩学にて、逆転と認知が同時に起きる傑作として本作を賞賛。古典同士の作品の関わりってすごい。
    あとフロイトのエディプスコンプレックスも。
    男児が潜在的に抱く母親への欲望と父親への対抗心というやつ。確か倫理の授業でやったなと。

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    2022年05月15日
  • 新訳 ナルニア国物語1 ライオンと魔女と洋服だんす

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    全7巻です。

    4巻までしか出ていないので、7巻まで出てるのを探すのが筋です。
    何故にこの様な中途半端なことするのだろう。
    まあ、お好みで。
    緑の縁の児童向けの版は、同じ翻訳者で最終巻まで出てますので
    そちらがおすすめ。版元も同じ。

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    2022年09月28日
  • 不思議の国のアリス

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    イギリスの児童文学。
    小学生の頃、ディズニーのふしぎの国のアリスを何回も見、スーパーファミコンのアリスのゲームを夢中でプレイしていた。
    原作(原文の言葉あそびの楽しさそのままに翻訳した、画期的新訳決定版らしいです)を初めて読みましたが、なんなんだ!なんてつかみどころのない物語なんだ!?と突っ込みつつ、時にアリスやおかしなキャラクターたちにふふふっと笑ってしまう。(青虫とチェシャーネコが好き)まさに不思議の国。でもこれ児童文学ですよね?なかなかダークな会話が繰り広げられていましたし、読み解くのが難しいと感じましたが、子どもの感性で読むほうが純粋に夢の世界の冒険を楽しめるのかもしれないと感じました。
    スーパーファミコンのアリスのゲーム、どんなのだったかなー!めちゃくちゃおもしろくてクオリティが高かった記憶があるんですよね。

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    2022年05月09日
  • ポー傑作選2 怪奇ミステリー編 モルグ街の殺人

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    世界初の推理小説『モルグ街の殺人』
    小学生のころの児童書で初めて読んだときは、意外な真相におおいに驚いたのを覚えています。今回改めて読んで、推理小説というもののかたちはこの時点ですでに完成していたのだと感じました。

    狂気的な殺人現場、バラバラの証言、消え失せた犯人……。それを解くのは理屈っぽい名探偵とその相棒。

    不気味で不可思議な事件に、キャラのたった名探偵が相棒とともに挑む。今なお続く探偵小説のフォーマット。それがこの時点で完成していたことがそう思った理由ではありません。奇怪な真相に至るまでのロジックの組み立てが、しっかりと本格ミステリらしく作り込まれているからです。

    不可能なものを排除していって、残ったものがどんなに信じられないものでもそれが真実である。

    これはホームズの言葉だけど、推理小説の元祖である『モルグ街の殺人』から今に至るまで、この言葉がミステリの歴史に脈々と受け継がれているのだと今回改めて感じました。そう考えると感動もひとしおです。

    『モルグ街の殺人』以外のポー作品は初読。『モルグ街』以外での有名どころは暗号小説である「黄金虫」や、モルグ街の殺人で活躍した名探偵デュパンが再登場する「盗まれた手紙」あたりかな。

    「黄金虫」も暗号解読のロジックが素晴らしかった。こういう小説の形式や楽しみを初めて生み出したポーの偉大さを改めて感じます。「盗まれた手紙」は今読むとさすがに使い古されたパターンではあるのだけれど、最初にこの観点に気づいたのは、やはりすごいと感じます。

    観点で言うと『詐欺――精密科学としての考察』という短編も面白い。いろいろな詐欺や騙しの手口が次々と出てきて、これ一編で短編集一冊分のアイディアが出て来たんじゃないかと思える。

    他にも描写の不気味な怪奇小説系の作品や詩も収録されていて、ミステリ作家だけではないポーの側面を楽しめる短編集になっています。

    解説も面白かった。ポーはアルコールが原因で亡くなった、みたいな話はなんとなく聞いた覚えがあったのだけど、今回の新訳を担当した河合祥一郎さんは別の仮説をたて、デュパンよろしく推理をしていきます。当時の証言や様々な文献から約170年の時代を超えた繰り広げられる謎解きは、ジョセフィン・テイの名作歴史ミステリ「時の娘」を思い起こさせます。

    小説でも解説でも謎解きの楽しめる一冊です。

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    2022年05月08日