河合祥一郎のレビュー一覧
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今年は古典を読もうと思っていて、古典と言えばこの人でしょ…、ということで手に取ったシェイクスピア。
COTEN RADIOでジャンヌダルクの百年戦争を聴いたあと、そう言えば完全に穴だな、と思っていた薔薇戦争にも興味があったので、一石二鳥とばかりに選んだのがこちら、リチャード3世です。
翻訳の戯曲なんか読んだこともないし、ましてや自覚のある通り知識の穴であるところの中世イギリスが舞台のこの作品。何度か最初に戻って登場人物を整理したり、読みながらスマホで人物相関を調べたり…いやぁ、苦労した。
内容を私なりに要約すると、
容姿に恵まれないが血筋には恵まれていたリチャードが、清々しいまでの悪巧みや権謀術数でまわりの政敵を圧倒して王位につくも、その悪行が故に倒されてしまう…みたいな、悪人が主役の懲悪劇。
自分の容姿をけちょんけちょんに貶すところから始めるので、彼の悪行に対する開き直りっぷりがちょっと気持ちよく、彼に比べると周りにいる小悪党の小物っぷりに物足りなさも感じた。
戯曲だから、えらく唐突だな、と思う部分もあるんだけど、wikiやらYouTubeの力も借りつつ、マーガレットの呪いが最後きちんと回収されるところまで、かなり面白く読めた。
いろんな解説に引っ張られているのは自覚しつつ、ただこの印象そのままにリチャード3世を醜い悪者だと思うのは短絡的かもな、と思う。
シェイクスピアが、この戦いの勝者であるヘンリー7世の後継であるテューダー朝のエリザベス女王治世の人であることからも、歴史は勝者が紡ぐものという定説が思い浮かぶし。
ただ、ジョン・エバレット・ミレイのロンドン塔の王子たちのモデルであるエドワード5世とヨーク公への仕打ちはもし本当なら酷い話だ。絵画で見せられるイメージの力は強い。
しかしこの王子たちの最期も、最近ではそうじゃないんじゃないか?との話が出て来ているらしいね。
(山田五郎さん、大人の教養講座より)
掘るといろいろと興味深くて結局訳分からなくなりそうだわ。
ちなみに内容とはあまり関係ないが、
わたしはこちらを三神勲訳の角川文庫クラシックスで読んでいて、翻訳の妙というか、面白いなと感じたのが166頁のリチャードの台詞、
「びくびくしながら小田原評定にふけっていては」のところ。
小田原評定を調べてみたら、この時代より100年以上後に出来た言葉だし、言うまでもなく国も時代も違うのに、軍議が進まない様子を表現する言葉としてリチャードに言わせるの、なんか面白い。
シェイクスピアもまさかこんな翻訳でキリスト教圏ではない極東の島国で読まれることになるなんて思ってなかっただろう。
大雑把なイメージとして、リチャード3世の醜悪さを描いた作品ではあるものの、突き抜けた悪役っぷりと、まわりの小物感を比べてみると、そんな単純な話でもないのかもしれないと思った。
…古典、恐るべし。
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原題 Much ado about nothing
(往年のTV番組「恋のから騒ぎ」は Much ado about love が副題だった。)
アラゴン大公のおかしな動機と、付人の聞き間違いと、大公への嫉妬に基づくドン・ジョンの悪意と、ベネディックとベアトリスの意地の張り合いと、いろんなものが相互に影響しあって、訳の分からないドタバタ劇となるも、最後は大団円、という喜劇のお手本の様な内容。
注釈を読む限り、細かいところでは、いろいろと辻褄が合っていないところが多いようで、大御所作家が年月を掛けて書き上げた名作というよりは、当時の売れっ子脚本家(宮藤官九郎のような)が短い時間で書き殴った即興作品、といった感じだろうか。
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アイスキュロス、ソフォクレス、エウリピデス、ってギリシャの三大悲劇詩人、っていうのをたぶん世界史の最初の方で習うと思うけど、そのソフォクレスが書いた父殺しの『オイディプス王』。すごく短いので、あっという間に読めてしまう。シェイクスピアの翻訳で有名な河合祥一郎先生の訳。
もともとは数冊前に読んだ、トルコの小説の『赤い髪の女』で、父殺しがテーマになっていたので、河合先生が訳していることもあり、読んでみた。おかげでシェイクスピアを読むように台詞が読めて、分かりやすい。というか読みつつ、その台詞を役者が喋る感じで頭の中に響いてきて気持ちよく読める。けど、あらすじをだいたい知って淡々と読んでしまい、あんまり印象に残ったところがなかった。もう少し味わって読むべきだった。でも2500年?くらい前の人たちもこんなドラマチックな話を作って共感したりできるって、なんかすごいなあ、とか小学生みたいな純粋な感嘆の念は常に持ってたけれど。(24/03/09) -
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ポーの作品といえば、史上初の推理小説と言われ、表題にもなっている「モルグ街の殺人」が有名で、実際読んだことがあるのはその作品だけだったけど、他の作品を読んでみてこの著者の後世に与えた影響の大きさがよくわかった。
特にホームズシリーズを連想とさせる記述が多く、「盗まれた手紙」はボヘミアの醜聞を彷彿とさせるし、ホームズシリーズで好きだった「踊る人形」は思い切り「黄金虫」の暗号解読術を引用していたのでびっくり。
江戸川乱歩的な怪奇さもあり、なるほど魅力がある推理小説家です。
ただ、途中に何個か挟まれている詩の必要性がまったくわからない...。 -
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ネタバレこの45分の読書が人生に奇跡を起こす。――時は金なりと言うが時間は金よりもずっと価値がある。しかも全ての人に平等に与えられ誰にも奪えない。どう使えば限りある人生をよりよく生きられるのか。「毎朝あなたの財布には24時間がつまってる」「1晩おきの1時間半がきらめく真珠に」「原因と結果の法則を叩きこめ」等、心に刺さるメッセージが満載。時代と国境を超え多くの知識人に愛される時間術の名著、新訳! 解説・特典も充実。
原題 How to Live on 24 Hours a Dayの新訳!
かなり前の作品らしいが、今にも通じることばかりであった。巻末の解説で、昔の例えを解説してくれたので、さらにわかりやすくなった。 -
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これの感想時間が無くてかけてなかった。
読書垢をはじめてついに100冊目ということで、せっかくだから記念的ななにかを読みたいなと思い手に取ったのがモルグ街の殺人。
いまからおよそ200年前にかかれたというこの作品、今までまったく知識もないまま、名前だけりを知っている状態だったので、どんなものかお手並み拝見という気持ちで読み始めたものの、これだけの質のストーリーがこの時代にあったのかと、度肝を抜かれた。
ちょっと真相には笑ってしまったけれど、予想外の結末という本格ミステリさながらの締め方で個人的には好印象。
そしてこちらも史上初の暗号小説ということで黄金虫。
所謂シーザー暗号的なものだったけれど、ぎりぎり素人にもわかる暗号を、宝探しのための暗号として作ってあるから、これは当時子供たちにも人気だったのかなと思ったり。
この方の翻訳は三部作になってるようなので、1と2もいずれまた。 -
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モームは短編という先入観があって長編は敬遠してきたのだが、そろそろ読んでおきたいと思い、代表作「人間のしがらみ」(これまでは「人間の絆」というタイトルが多かったが)を読むことにした。
冒頭、まだ幼いフィリップ(本作の主人公)を慈愛の目で見守る病床の母、それが親子の最後の別れとなってしまう。とても印象的なシーンで本書は始まる。
両親を失ったフィリップは牧師の伯父夫婦の元に引き取られる。そして彼は生まれながらの内反足だった。
神学校での学校生活に嫌気がさし、牧師になることを放棄し、異なる生活を夢見てハイデルベルク、さらに画家になることを志してパリへと赴く。そこでの友人との付き合いや交流を通して、彼は様々なことを学び考える。しかし結局自分の才能に見切りをつけて、今度はロンドンの医学校に入学したものの、ウェイトレスをしている女性に猛烈な恋をして、学業は疎かになってしまう。しかも彼女はなかなか振り向いてくれない。
上巻は大体こういったところ。
本巻の半分くらいまではなかなかページが進まなかったが、個性のある人物が登場してきたパリの辺りから、彼、彼女らとフィリップとの付き合いの様子や、若者ならではの自信と不安がないまぜになった心理がうまく描かれていて、面白く読み進めることができるようになった。
自分を愛してくれない女性に対して卑屈なほどの対応をするフィリップ、彼は果たしてあきらめることができるのか、この後どうなるのか、というところで、下巻へ。 -
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ネタバレ白人社会の中で、黒人でありながら中年まで結婚もせず邁進し、将軍の地位までのぼりつめた男をどう見るか。劇中では紳士的な言動をし、名誉を重んじる様子が描かれている。明言されてはいないが、女性に不慣れであっても、まあよいだろう。
ひそかにいだいていたコンプレックスによって虚言を信じ、ありもしない妻の不貞を疑い、我が手にかけて殺す。
そういうこともあるかもしれない。
クライマックス、死んだと思われた人物が死んでおらず言葉を残すことが2度繰り返される。繰り返しは、シェイクスピアを詩として語るとき重要な要素だとか。
アホか。死んだと思われていた人物が実は生きているという展開はゲキガンガーで揶揄されるまでもなくしらける要因である。デズデモーナのいまわのきわの言葉は、まあ、よかろう。だが、ロダリーゴーはあかん。しかも盤外での出来事。説得力の欠如をやっつけで補った観がある。
そういうこともあるかもしれない物語。
だが、展開はやや苦しい。