中原淳のレビュー一覧
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田中聡氏と中原淳氏による、新規事業創出における「人と組織」の役割に焦点を当てた実証的な研究書『「事業を創る人」の大研究』。
約1,400名の新規事業担当者への調査を基に、事例に基づいて新規事業の成功要因や組織内の課題を明らかにしている。だからこそ、コンサルの書くような「ぼくが考えるさいきょうの新規事業のつくりかた」的書籍にはないリアリティがある。
特筆すべきは、あらゆる理屈を乗り越えて、なお「やる人間」がどういう存在かをあぶり出す一冊になっていることだ。データも図表も多いし、調査対象者数も膨大。だからこその説得力を含めて、読み進めるほどに組織の中で誰にも祝福されない挑戦を始める人の「孤独」が浮き彫りになっていく。
「推進力」「巻き込み力」「ネットワーク形成」「上司との関係性」など、定量化されたキーワードがいくつも並ぶけれど、結局それらを支えるのは、「それでもやる」と言い切る覚悟だ。
特に刺さったのは「新規事業の敵は、外ではなく内にいる」という一文。これは100回くらい言いたい。外の競合よりも、社内の同調圧力、評価システム、無関心、これらが挑戦の芽を最も潰している現実。そして、その中で立ち上がろうとする“人”をどう支えるか。この問いは、制度やフレームではなく、関係性と信頼にかかっていると、改めて突きつけられる。
この本を読んで「仕組み」ではなく「人」に立ち返らなければならないと感じた。そもそも“火を灯せる人”はどんな人なのか?本書はその「正体」を、地道な調査と洞察によって浮かび上がらせてくれる。
すべての新規事業担当者に薦めたい。そして、何より上司や経営層こそが読むべき一冊。なぜなら、本当に事業を生むのは、制度でもスキームでもない、誰かひとりの「創る人」のクレイジーな情熱の炎と、それを消さなかった「支える人」なのだから。 -
Posted by ブクログ
人事部門に異動してきた初任者に特にオススメ。
見えづらい人事のキャリア形成について俯瞰でき、後ろ指をさされがちな人事の意義を捉えなおすことで自信につながる1冊だと思う。
また、大企業人事部門へのインタビューから心構え・思考・仕事術を学ぶことができ、さながら複数のメンターから助言を受けているよう!
人事パーソンの現在の仕事の特徴である「新規課題沼」「エンドレスワーク」「社内ぼっち」とその問題は強く共感を覚えます。
また、「専門性に対する幻想」は勉強になりました。離職理由の上位である専門性の高まりについて、自分のスキルが本当に汎用的なのか疑う視点を得ることができて満足です。 -
Posted by ブクログ
コンサルティングとあるが、事業会社の人事パーソンであっても読むべき一冊。
【メモ】
・人材開発は「人が学ぶというメカニズム」を手段として用いる
・組織開発は「人と人との関係を変える」ことをきっかけとする
・人材開発・組織開発は、企業の「業績」に直接的に影響しないが、現場の管理職や従業員の「行動変容」を導くことによって、戦略の実行を後押しし、「間接的」に業績(利益)に貢献する
・アカデミック・プラクティショナー:高度な科学知に根差しながら、経営・現場に価値貢献できる実践者
・職場における3種類の支援
①業務支援
②内省支援
③精神支援
・越境学習:人が組織内外を往還しながら、組織の外で学んだ内容を組織内の業務に還元する概念
・組織開発の3ステップ
①見える化:組織の状態を可視化する
②ガチ対話:可視化された問題を関係者一同で真剣勝負の対話
③未来づくり:これからどうするかを関係者一同で決める
・人材開発・組織開発コンサルティングの7ステップ
①出会う
②合意をつくる
③データを集める
④フィードバックする
⑤実践する
⑥評価する
⑦別れる
・スタイナー・クヴァールの5つの問い
①導入質問
②掘り下げ質問
③特定化質問
④解釈を提示する質問
⑤沈黙
・フィードバックミーティング
①目的を打ち込む
②自己紹介する
③データを提示する
④データを対話する
⑤解決策を対話する
⑥決める
・カークパトリックの4レベル評価モデル
①反応
②学習
③行動
④成果 -
Posted by ブクログ
中原淳先生の実践及び研究の成果を凝縮してまとめた集大成のような書籍。幅広くコンサルティング業に関わる人の他、組織内コンサルタントである人事職の人にもおすすめ。特に新人の方や育成に関わる方。人材開発、組織開発の基本的な考え方が非常に平易な文章でわかりやすく解説されている。注釈や巻末のブックガイドで参考となる書籍や研究が丁寧に紹介されており、この一冊から派生して勉強を進めるのにとても良い。何よりクライアントとの出会いから課題の特定、試作の実施、評価と別れまで一連の流れを体系化、構造化した解説は見事。特に7ステップに分解した流れの中で、「実践」フェーズに割いたページ数が非常に少ないのが印象的というか中原先生が本書の役割をどのように考え、何を伝えようとしているのかが表れているようでとても良いなと感じた。
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中原淳先生の本を読むのは「フィードバック入門」に続いて2冊目。前の本もだが、抽象的な話と具体的な話のバランスが程よく混ざっていて、読みやすく、理解も進む。
これからマネージャーをする人に向けて、具体的にその心構えや起こりうる事態か挙げられていたので、とてもためになった。
すでにマネージャーの立場にある人にもためになりそう。
ことあるごとに読み返そうと思った。
以下、覚えておきたいこと
⚪︎マネージャーとは、他者を通じて物事を成し遂げること→マネジメントの本質は、他者によって物事が成し遂げられる状態をつくること
⚪︎マネージャーが乗り越えなければならない課題
①部下育成
②目標咀嚼
③政治交渉
④多様な人材活用
⑤意思決定
⑥マインド維持(マネージャー自身の)
⑦プレマネバランス
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人材開発などを専門とする著名な大学教授である中原淳による新書。新任マネジャーに向けた、プレイヤーとマネジャーの仕事の違いと、その挑戦課題(いわゆる、チャレンジ・ぶつかる壁)とその乗り越え方に関するヒントを描いている。これを読むことで、そもそもマネジャーに期待される仕事は何なのか、どんな難しさがあるのか、どのように捉え、どのように対処すれば良いのか、イメージを持つことができる。また、実例も多く紹介されているため、他のマネジャーはどう感じてきたのか、他の人の捉え方や具体的な状況におけるチャレンジを知ることもでき、より理解を深めることができる。なお増補版は、業績を伸ばしつつ残業を抑えるチャレンジについての議論が追加されている。
【感想】
新任マネジャーを約1年経験してから反省を兼ねてこの本を読み、あらためてさまざまな観点から体系的に一年間の仕事を振り返ることができ有意義だった。
マネジメントの仕事の奥深さを知り面白いと感じるとともに、ここで描かれる理想的なことを実践するために時間が足りないとも思う。また組織としてマネジャーを育てサポートする仕組みや環境の整備も今後徐々に築きたいと思う。
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自分も何度か転職を経験して、いまもまた転職したい気になっている。いつも思うのが、現状逃避のような気持ちが根っこにあるんじゃないかなというところなんだけど、とにかくこの本は知識の面でもマインドの面でも学ぶところが多かった。
海外のキャリアアップ型の転職に比べ、日本の転職は条件が悪くなることが多い。それでも転職するのは、もとの職場の人間関係や働き方への不満からくる、いってみればネガティブ型の転職ということになる。
そして転職で「天職」にめぐり合うことを期待してしまうけれど、それもなかなか難しい。なぜなら――
「世の中に『完全転職』はありえない」というものです。
オリエンテーションでも述べたとおり、転職において世の中に存在しているすべての企業を選択肢として目の前に並べ、条件に完全に合致する企業を探し出すこと、マッチングを行なうことは不可能です。人の認識能力には限界があり、転職先の候補として選んだ企業の内部を隅々まで知ることもできません。転職というのは「限定合理性(限られた選択肢のなか、限られた判断資源のもとで物事を決めねばならないこと)」のもとで行なわれるものなのです。
さらに転職とは、いったん入る企業を決めてしまえば、後戻りができない不可逆的なプロセスであり、自らに一〇〇%合う転職先を合理的に選択するという「完全転職」は、そもそも不可能である、ということを、私たちは知る必要があります。(p.165)
ということで、自己認識と外部の印象を一致させるべくセルフアウェアネスを重視し、転職活動がゴールでなく一つの過程だという意識で、転職後をも見据えた学び直しの姿勢をもっていることなどが大事らしい。
幸せを求めて、現実を見据えて今度の転職活動に臨むようにしよう。 -
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研修終了後「今日の研修はよかったね。みん前向きにたくさん発言していたし、ワークも積極的に取り組んでた」「○○さんの話し方すごく聞き取りやすかったよ」と、研修担当者同士で褒めあっている光景が、僕には気持ち悪い。
僕は根がネガティブ思考のせいもあるが、研修直後は「本当に伝えたかったことが正しく伝わっただろうか」「職場に帰って明日から実践してくれるだろうか」と不安になる。
研修で一時的に熱量が上がっても、一晩寝たらなにもなかったかのように、なにも変わらぬ日常が流れる。
果たして、研修に意味はあるのだろうか。
僕は人材育成に携わりながら、いつもこの疑問が頭の中を旋回していた。
この本は、僕の長年の疑問に一筋の光を当ててくれた。「研修評価」つまり「研修は何のためにあるのか」を数字(定量)と物語(定性)で表そうという試み。
研修の目的は、研修転移(学んだことを仕事に活かす)である。
できることなら、「研修によって会社の業績(成果)にインパクトを与えた」という証明をしたいところだが、業績には研修以外にも多くの要素が複雑に絡み合うため、立証は非常に難しい。
著者はアカデミックな研究にはこだわらず、その手前の研修転移(行動)に焦点を当てよ。と説く。
従来の研修アンケートで評価していたのは「反応」と「学習」のみである。
・講師の話や資料は分かりやすかったですか?
・今日、あなたが学んだことは何ですか?
それに対して、研修転移を評価するためのアンケートでは、このように問う。
・この研修はあなたの仕事に関連していると思いますか?
・あなたの仕事に役立つと思いますか?
・学んだことを、あなたの仕事で活用できると思いますか?
つまり、研修が面白かったとか、新たな学びがあったという、反応や学習の評価ではなく、研修転移のイメージができたかを問い、研修を評価するのである。
アンケートの自由記述欄によくこんなコメントがある。
「講師の話に引き込まれ、新たな学びがありました。自分の職場はまだそのレベルに達していませんが、いつかやってみたいと思いました。」
このコメントについて、反応や学習レベルで評価するなら「前向きで良いコメントがついたから、今回の研修は成功」となる。
しかし、研修転移の観点で評価すると「受講者の行動を変えるには至らなかった。受講者と内容のミスマッチ」となる。
当然のことながら、研修担当者は「研修は大成功でした」と経営者に報告したい。そのため、自分たちにとって都合がいい、反応・学習レベルの評価を採用する。そもそも行動に関しては、自分たちの領域ではないと考えている研修担当者も多い。
僕が「気持ち悪い」と感じる原因はそこだった。
研修後の反応にのみ関心を示し、その後の行動や行動によって生み出される成果に対しては、無関心な担当者の態度が許せないのだ。
会社はそれぞれが専門性を発揮し、一つの大きな目的や夢に向かって、力を結集させる集団であるはずなのに、“研修は研修”と部分最適で満足する姿勢に違和感がある。
介護事業では、たくさんの研修が義務付けられている。義務化された研修以外にもたくさんの研修が日々開催されている。
いま一度「研修は何のために行うのか」という問いに立ち返り、本当に意味のある研修、人材育成について、話し合ってみたくなった。 -
Posted by ブクログ
2024年最初に読んだ1冊は、2014年に刊行された『駆け出しマネジャーの成長論』に、残業に関する章を追加した増補版(2021年)
自己啓発書に類する本は、原則を扱うために、内容が古くならないという特徴がありますが、ビジネス書に類するものはその時代の最新の課題をテーマに扱うため、その多くは10年も経つと、現代のビジネスシーンにおける実践には使えないことがよくあります。しかし、この本は違いました。
初版から10年経った今も、この本に書かれているマネジメントの課題は、そのまま積み残っています。業種によっては、すでに解消している課題もあるのかもしれませんが、少なくとも介護現場ではよくある課題ばかりでした。
本では、マネジャーの役割やマネジャーを取り巻く環境を述べたうえで、実際に現代のマネジャーが直面する7つの挑戦課題とその解決方法を紹介しています。
著者の中原淳氏はリーダーシップ開発・研究の第一人者です。この本は、自身が大学内でマネジャーへとレーンチェンジをしたタイミングでの執筆であることから、理論だけでなく、実践的な内容になっているのが特徴です。
本書で紹介される「マネジャーが直面する課題」ついては、理論で完全に整理できるものではなく複雑さやあいまいさがあることを前提に、解決策が提示されています。したかって、新任マネジャーが自らの学びのために活用するのはもちろんのこと、マネジャー育成をするマネジャーにとっても非常に有益な本だと思いました。
僕の場合は、マネジメント人材の育成・支援に携わる者として、今後の仕事のアウトラインを描くうえで、直接的に参考となるありがたい本となりました。