濱野京子のレビュー一覧
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人に触るのが苦手だった春哉が、柔道整復師として整骨院で働くことになる。
新人の春哉が、なのはな整骨院のお花係の小六のひかりちゃんが連れてくる小学生を診ることで、怪我以外の悩みを知ることになる。
手を通して感じるもの、見えてくるものがあるんだなと思う。
身体の具合が悪いのは内面からくるものもあるのに気づく。
野球肘だけではない精神的な苦痛もあった凌太くんや母子家庭でネグレクトかに思われた星良ちゃんや祖父の付き添いで来ていた颯佑くんのやりたいことや美桜ちゃんの我慢の理由など、みんな子どもらしくないと感じるくらいにいろんな我慢をしている。
たくさんの人と触れ合うことで新人の春哉も成長していく -
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児童文学作家5名によるリレー小説シリーズ。
短編集なのでサクサク読めた。作家さんそれぞれによるお話の個性があって、書き手が異なるとこうもお話の持って行き方が変わるのかと興味深い。ただ、前のお話で登場していた人物や事象が次のお話で出てくるので、全体的にお話がうまくつながっていて、同じ世界観を共有しているのがわかる。
どのお話も共通しているのは、主人公たちが猫に導かれてブックカフェに辿り着くこと。そこでは、お客さんその人にあった美味しいお菓子と飲み物が出され、飲み物を飲み終わるまで蔵にある本を読むことができる。
一番好みだったのは断トツで『呪いの行く末』。『バッドエンドのむこうに』も面白かった。 -
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児童書に関する本はだいすきで、
短編集でしかも図書室!ということで手に取ってみた。
色々な作者さんのお話が入っていて、
でも茜色の貼り紙や髪の長い女の人は統一されていて。
次はどんな展開になるのかな?とワクワクしながら読んだ。
好きだったのは、
妖怪食堂は大繁盛/廣嶋玲子
やり残しは本の中で/まはら三桃 かな。
妖怪食堂の親方の親方っぷりが好きだった。
やり残しは本の中での、樹のスポーツバカのような
まっすぐな生き方も素敵だったし、
憎悪に駆られた王様の話はよくあるよなぁ〜と頷きながら読んだ。
他の話も読んでみたくなった!
最後の対談で、著者の方々が読んだ本も載っていたり、
物語を友達と交代で -
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文芸部に所属しているも、創作活動には参加しない、「物語を書くことはできない」という主人公。
廃部の危機にあった文芸部の部員確保のため、友人に誘われて入部した彼女は、毎年発行する部誌にもエッセイもどきを提出してお茶を濁し、創作活動に邁進する部員たちに引け目を感じながらも、それなりに楽しく部活を過ごしていました。
あらたに熱意溢れる新入生が入部したことで、自分の立ち位置やあり方を否応なしに考えさせられるようになった主人公と、彼女をそれとなく支える「妹の元カレ」との関係性はまさに「青春」そのものであるように思います。
手に汗を握るような展開があるわけでもありませんが、高校生のリアルな感情や、「創 -
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▼小学生だったか中学生だったか、という女子がいて、大まか幸せな家族が大家族で。
そこに加えて親の友人(だったかな)の父娘が居候で参加して。
この居候の娘が同年代で。そして自分よりも良い子ちゃんで。周りの大人にもちやほやされて。ああ腹が立つ、劣等感。そこからちょっと意地悪を…。
▼なんだけど、やがて紐解く相手の事情。いろいろ困って貧しくて、相手も色々悩んでて。だから大人も気を使い…。ってなことがわかってきて、気まずいけれども勇気をだして、悩んだ末の仲直り…。
▼…というだけの話なのですが、そしてもちろん、子供向けの本なんですが。ところが正直、すごく面白く読んだし、なんというか…上から目線な言 -
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濱野京子さんは、10代の敏感でありながら鈍感な心を表現するのがとても上手だ。
体の成長同様心の方もその成長過程にはばらつきがあるけれど、概ねまだ自分のことで手一杯で、相手の感情を察する余裕もなく、だからぶつかり合って傷つきもする。
上野公園に近い高校の文芸部が舞台となる本作。言葉で世界を築く生徒の集まりだけあって、なかなか辛辣な面もあるが、互いを認め合っているところがいい。
物語は、主人公の希和子の文芸部での立ち位置に悩む姿と、妹の元カレ(小学生の頃の話だが)と高校で再会してからのプライベートでの姿が描かれる。
いやー、こんな青春が送れるなんて小説の中だけなんじゃないだろうか。
谷根千が