あらすじ
「先生、あたたかい手をしているのね。
なんかほっとする」
人に触れるのが苦手だった新人柔道整復師の春哉は、
なのはな整骨院で働きはじめます。
整骨院の同僚や、患者さん、近所の人たち、
そして神出鬼没な地域ネコ、マルとの
ゆるやかなつながりが、春哉の居場所になっていきます。
心がほっとするお仕事小説。
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整骨院で働く柔道整復師の仕事は、骨折、捻挫、打撲、脱臼などのけがを、
手をつかっておこなう柔道整復術という方法で、もとの状態にもどす施術が
もっとも基本的なものです。
とはいっても、実際には、けが以外の理由で、身体の不調をうったえて来院する人も
少なくありません。(本文より)
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感情タグBEST3
Posted by ブクログ
親の期待、離婚、虐待、きょうだい児。様々な事情を持つ子どもたち。その子らの話を聞き、手を添える大人。
子どもを守り、子どもを信じるのが大人の役割。それを子どもたちに伝えるのが児童書の役割であり、濱野作品の魅力でもあるのだろう。
Posted by ブクログ
人に触るのが苦手だった春哉が、柔道整復師として整骨院で働くことになる。
新人の春哉が、なのはな整骨院のお花係の小六のひかりちゃんが連れてくる小学生を診ることで、怪我以外の悩みを知ることになる。
手を通して感じるもの、見えてくるものがあるんだなと思う。
身体の具合が悪いのは内面からくるものもあるのに気づく。
野球肘だけではない精神的な苦痛もあった凌太くんや母子家庭でネグレクトかに思われた星良ちゃんや祖父の付き添いで来ていた颯佑くんのやりたいことや美桜ちゃんの我慢の理由など、みんな子どもらしくないと感じるくらいにいろんな我慢をしている。
たくさんの人と触れ合うことで新人の春哉も成長していく姿を見ることができた。
子どもを守ることは大人の責任だけど、子どもの力を信じることも大事だとまなびましたと話す美桜ちゃんのおばあちゃんの言葉に同感。
Posted by ブクログ
心が温かくなる物語、というとありきたりだけれど、人とのゆるやかなつながりや見守られるということの大切さを実感できる物語だ。
人に触れるのが苦手だった春哉が父と同じ柔道整復師となり、父の弟子だった人の整骨院で働き始める。
患者として訪れる町の人の不調を整えながら、心の不調にもそれとなく触れ回復していく様子を見守っていく姿に自分も一緒に成長しているような気持ちになれる。
町のどこにでもある整骨院。どんな仕事なのか、お仕事小説としても読むことができる。
Posted by ブクログ
新人柔道整復師の春哉は、なのはな整骨院で働き始める。同僚だけでなく患者やその家族とゆるやかにつながっていく春哉。ほっこりゆるやかに進んでいく物語。
Posted by ブクログ
主人公が新米社会人な設定で、子供たちを導く大人という立ち位置でもなく、自分が成長していくという感じでもなく、ちょっと不思議な立ち位置だなと思いながら読みました。個々のエピソード自体はよかったし、そういうありきたりの型じゃない話描きたいという意図なら全然いいけど。
Posted by ブクログ
両親が整骨院を営んでいながら、跡を継ぐつもりは全くなかった春哉。全く違う道を選んだあと、遠回りして柔道整復師となり、知り合いの整骨院で働き始める。そして、身体の不調がある子どもたちと関わっていくなかで、春哉自身も成長していく。
仕事小説とうたわれているけれど、ちょっと違う感じがする。仕事を通して接する子どもたちのこと、そして彼らとのやり取りを通しての春哉自身の成長が描かれている。仕事を通した関わりから逸脱しない範囲での子どもたちへのまなざしが温かい。
実際、子どもたちの事情を垣間見ても、治療以外の面で主人公たちにできることは限られていて、そこからほとんど踏み出していない。子どもたちが自分で一歩踏み出す手伝いをしている、程度か。これができれば現実的で理想的なのかもかもしれない。
ですます調の文体がちょっととっつきにくかった。主人公と他人との距離感を表しているようだ。
Posted by ブクログ
YA向けの小説だから、さくさくと読めるけれど、中身は大事なことで詰まっている。
直前に読み終えた『11ミリのふたつ星』を思い出しながら読んでいた。
主人公が、医療従事者であること。不器用な新人だけど、真面目に人と向き合うことを大切にしていること。子どもとの関わりを描いていること。
共通点がいくつもあった。
こちらの方がやさしい表現で、ひらがなも多く書かれているので、本が苦手な人や子どもにおすすめするなら、こちらかな。
柔道整復師という仕事を初めて知った。この世には知らない仕事がたくさんあるなぁと思う。
こうして本を通して、知らない世界を垣間見ることができるのが、私が読書を楽しめる要素のひとつだなぁと、改めて感じた。
この本には、親に本音を言えずにいる子どもたちがたくさん出てくる。中にはネグレクトを疑われてしまう親子も。
周りの大人(祖父母や先生など)がいかに気付いてあげられるか、手を差し伸べてあげられるか、そしてどこまで子どもの力を信じてあげられるか。
子どもを守るために大事にしたいことが、この本を通して訴えられている。