百田尚樹のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレオオスズメバチを擬人化し、主人公の働き蜂「マリア」の生涯を通じて蜂の世界を描いたユニークな小説である。この作品は、自然界の厳しさと美しさ、そして生き物たちの社会性を深く探求している。
物語は、マリアという働き蜂の視点から展開され、彼女の日常や仲間たちとの関係が描かれる。
物語の中で、マリアはさまざまな試練に直面する。特に、他の虫との交流や、群れの中での役割を果たすことが強調されている。彼女の成長や葛藤は、単なる虫の物語とは思えないほど感情豊かに描かれ、時には涙を誘う場面もある。自然の中で生きることの厳しさや、仲間との絆がどれほど大切であるかを教えてくれる。
一方、擬人化されたハチたちの会 -
Posted by ブクログ
多重人格の男性との恋愛を描いた話、面白かった!
ただ裏表紙に恋愛サスペンスとあったのでいつ殺人が起こるのかと思ってたけど、普通に恋愛小説でした。
相手がミステリアスってところにサスペンスを感じたのかな。この作者の読書層が恋愛小説なんて興味なさそうだからかな…
前半はこの人物が多重人格であることの証明と、多重人格とは?など状況の説明。あまりにも"説明だな"ってところがちょっと気になってしまったけど、自分は心理学とか好きなので内容はとても興味深かった。
中盤〜後半が本筋で、主人公と彼の恋愛模様。同じ人間なのに違う人で戸惑ったり、いつでも会えるわけではなかったりして、急速にのめ -
Posted by ブクログ
乖離性同一性障害について障害名を聞いたことがあったが具体的な症状は知らなかった。すごくリアルに描かれていたと思う。
人間誰しも大小違えど様々な性格の一面を持っていて、広志はそれぞれの性格がただまるで他人がたくさんいるように見えるだけなのではないかと思えた。
本人の中にある1人の人格を愛してしまったが、最後は本人に統合されて消えてしまう。愛し合う2人の最後の別れは辛かった。
ただ、それ以上に本人が数十年もの間自分の中に色々な人が現れて、自分自身を奪っていくという苦しみを考えるといたたまれた。
アルツハイマーの人で、乖離性同一障害に近しき症状が一時的に現れるということを以前耳にしたことがある。 -
Posted by ブクログ
武士の友情
武士の身分制度、同じ階級層同志でなければ出世も結婚も出来ないと言う、現代では考えられない。生まれながらの武士の階級(上士・中士・下士)は出世も、結婚も限られた階級内だけの世界で、才能・技能がなくとも長男は家督を継ぎ、親の役職を継ぐ、と言うのは、現代に残る政治家の世襲世界だ。但し次男以降は他家の婿に出されるのが通常で本書では下士の階級から異例の出世と上下の格差を超え、「命をかけて守った」二人の友情関係に涙する内容だ。文中にある下士の父が上士の無礼打ちにあった時、投げかけられた言葉「泣くな」の一言が貧しく苦しい人生を耐え抜いた結果、下士が階級を越えた国家老まで上り詰めた人生を築いたのだ