あらすじ
ある資産家の家に家庭教師として通う聡子。彼女の前に屋敷の離れに住む青年が現れる。ときに荒々しく怒鳴りつけ、ときに馴れ馴れしくキスを迫り、ときに紳士的に振る舞う態度に困惑しながらも、聡子は彼に惹かれていく。しかしある時、彼は衝撃の告白をする。「僕は、実際には存在しない男なんです」。感涙必至の、かつてない長編恋愛サスペンス。
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24人のビリー・ミリガンを彷彿とさせ、多重人格を、統合していこうという感じもビリーと酷似。
物語としては全然違うのでビリーの話を知ってても楽しいし、なんなら知ってたほうが楽しめるかも。
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寝る間を惜しんで読める内容だった。読み応えがあり、とても素晴らしい小説だと思う。精神科で働く私は たくさんの精神疾患を見てきたけれど、多重人格の方にはお目にかかったことはない。ただ統合失調症はこれに似た症状をみせることがあり、そういったことも踏まえて読んだ。
恋愛部分も 聡子の気持ちがとてもよく書かれていたので 恋愛小説としても楽しめた。
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主人公の女性が解離性同一性障害の主人格ではなく副人格に恋をするお話。同一の肉体をもちながらある副人格にしか見初めらないのが興味深い。複数の人格は統合されるのがオチだが、そうなると主人公と副人格(卓也)との恋は実らない。様々な葛藤の末この恋はどうなるのか。解離性同一性障害についての理解も深まったし、なにより2人の悲恋物語が面白い。主人公が途中から卓也にわがままな要求をする場面は読者にはかりしれない卓也への愛情があることを示唆している。私も3人の人格があるかと思うくらい感情の起伏が激しいのだが、それは解離性同一性障害とほぼ変わらないものでは無いかとプリズムの話から思った。
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面白かったです!あっという間に引き込まれました。
昔読んだ、「シーラという子」を思い出しました。確か、アメリカのノンフィクションで、多重人格の話でした。夢中で読んだノンフィクションだけど、海外の生活や習慣が馴染みがなくて、言葉の言い回しがピンとこないことが多かったのを覚えています。
今回のお話はフィクションですが、作者さんの表現がわかりやすく、イメージしやすかったです。
数いる人格の中の1人との恋愛がとても切なかったです。最終的に広志とじゃダメなのかなぁなんて思ってしまいました。
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日本保守党になった百田さんが、国会答弁のなかで相手から、この「プリズム」に触れられたって話を聞き、久しぶりに百田さんを読んでみた。
これは、「ファンタジーのようなラブストーリー」じゃないか!こう言うの久しぶりに読んだ。
この終わり方は、確かに良い!!
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面白くて、一気読みしてしまいました!
人格関係なく生々しい恋模様が描かれていました。
だんだんと統一されていく人格に、統一される側の人格はどういう気持ちなんだろうと切ない気持ちになりました。
特に、純也が可哀想で、辛い仕打ちを一身に背負って、全ての嵐が過ぎ去った後に、人格統合されて消えていくのは悲しすぎますね…
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精神と身体について新たな理解が深まったと感じる。多重人格は、幼少期の虐待などにより、主人格で強い感情を受容し切れなくなり、個別の感情をそれぞれ受容してくれる担当として人格が増えるというのは納得がいった。私は、自己批判的な思考回路から逃れたいと強く思い、その時に身体自殺は不都合が多いため、精神自殺できないかと考えることがあった。多重人格と類似する点を感じた。身体に対して精神がたった一つであるということや魂という言葉、感情とは何かなどを考えさせられた。
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多重人格者との恋愛話
以下、公式のあらすじ
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いま目の前にいるのは、私が愛した“あなた”ですか?
かつて誰も経験したことのない、切なくミステリアスな恋愛の極致!!
世田谷に古い洋館を構える資産家の岩本家に聡子は足を踏み入れた。美しい夫人から依頼されたのは、小学校4年生になる息子・修一の家庭教師。修一と打ち解け順調に仕事を続けていた聡子だが、ある日、屋敷の庭を散策中に、離れに住んでいるという謎の青年が現れる。青年はときに攻撃的で荒々しい言葉を吐き、聡子に挑みかかってきたかと思えば、数日後の再会では、陽気で人当たりが良く聡子を口説いてからかったり、かと思うと、知的で紳士然とした穏やかな態度で聡子との会話を楽しんだり……。会うたびに変化する青年の態度に困惑するが、屋敷の人間は皆その青年については口を硬く閉ざすのであった。次第に打ち解けていく青年と聡子。やがて、彼に隠された哀しい秘密を知った聡子はいつしか彼に惹かれはじめている自分に気づき、結ばれざる運命に翻弄される。変幻自在の作品を生み出す著者が書き下ろした、哀しくミステリアスな恋愛の極致。
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内容を詳しくは覚えていないけれども、昔に「24人のビリー・ミリガン」は読んだ事あるし
「39」(永井泰宇) でもその法的な取り扱いについてやってたので、ちょっとは多重人格についての知識はある
でもまぁ、作中でも語られているように、実際に多重人格というのは稀なのはわかる
この物語の主題としては、やはり多重人格の一人格との恋愛とはどうなるのか?だろうか
上位の役割を果たしている人格だとしても、結局は作り出された人格なわけで
その人格が本来の人格に統合されたとしたら、その人格はまったくなくなるのか?
別れていた人格が統合されると、その人格が持っていた記憶も元の人格が知る事になる
果たして、それは自分の記憶としてちゃんと認識できるのだろうか?
ただ、普通の人でも全ての記憶が鮮明なわけでもないし、自分で過去の記憶を改竄したりしているわけで
時間が経つ事で何等かの整合性が取れるようになるのかもしれない
あと、重箱の隅をつつくようなものだと知りつつ
医師の守秘義務について疑問が……
でもまぁ、フィクションですし、一応本人(?)の承認を得ているものもあるので、全てが駄目なわけではないけれど
でもまぁ気になると言えば気になる
それにしても、百田尚樹の印象が大きく変わったかな
今までの印象として
探偵ナイト・スクールは好きな番組なので、構成作家としては評価はするけど
何かとアレな発言はいかがなものかと思うし
著作としては「カエルの楽園」だけは読んでて、リアルな言行と同じで創作要素が皆無だなぁとか思ってた
でも、作家としてはこんな物語も書く人なのね
他の作品も読んでみてもいいかもと思った
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多重人格の男性との恋愛を描いた話、面白かった!
ただ裏表紙に恋愛サスペンスとあったのでいつ殺人が起こるのかと思ってたけど、普通に恋愛小説でした。
相手がミステリアスってところにサスペンスを感じたのかな。この作者の読書層が恋愛小説なんて興味なさそうだからかな…
前半はこの人物が多重人格であることの証明と、多重人格とは?など状況の説明。あまりにも"説明だな"ってところがちょっと気になってしまったけど、自分は心理学とか好きなので内容はとても興味深かった。
中盤〜後半が本筋で、主人公と彼の恋愛模様。同じ人間なのに違う人で戸惑ったり、いつでも会えるわけではなかったりして、急速にのめり込んでいく感じが恋愛小説!って感じ
不倫である必要はなかった気はする。夫の存在感がなさすぎたし、説明要員だったのかな
最後を綺麗にまとめきらなかったところは切なさが残って好きだった。
恋愛小説を好きでよく読むけど、とても興味深いテーマだった
最初の方の説明が気になってしまったけど、星4.5くらい、私は好きだった〜
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乖離性同一性障害について障害名を聞いたことがあったが具体的な症状は知らなかった。すごくリアルに描かれていたと思う。
人間誰しも大小違えど様々な性格の一面を持っていて、広志はそれぞれの性格がただまるで他人がたくさんいるように見えるだけなのではないかと思えた。
本人の中にある1人の人格を愛してしまったが、最後は本人に統合されて消えてしまう。愛し合う2人の最後の別れは辛かった。
ただ、それ以上に本人が数十年もの間自分の中に色々な人が現れて、自分自身を奪っていくという苦しみを考えるといたたまれた。
アルツハイマーの人で、乖離性同一障害に近しき症状が一時的に現れるということを以前耳にしたことがある。
そういった人に出会った時自分はどう関わればいいのか勉強になるような作品であった。
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モンスターの後、本書「プリズム」を読んだ。
人は中身が大事。
人は見かけで判断するな。
この問いかけに、「モンスター」と「プリズム」が読者に問いかけてくる。
この難解な題材に、整形と多重人格という設定も持ってくる著者にやはり天才作家と思ってしまう。
美醜とは・・福永恒存の「私の幸福論」を読み返そうと思った。
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解離性同一性障害について考えさせられる。聡子が多重人格の1人に恋するお話。卓也が消えて広志の中に統合される瞬間、融合された後に卓也の表情や仕草が垣間見える場面は、とても切なかった。聡子が我儘すぎるのと、医者が口軽すぎるのはどうにも引っかかる…。
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多重人格をテーマにした物語。多重人格と言えば「24人のビリー・ミリガン」だが、たしかあれは犯罪がテーマになっていたと思う。この作品は恋愛がテーマになっている。物語の中で多重人格というものに対する一般的な理解から、専門家の解釈などが自然と説明されていて、そして引き込まれてゆく展開。あまり期待せずに読み始めた小説だったが、読みごたえがあってなかなか良かった
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幼少期の虐待によるショックから身を守るために別の人格を作る、作らなければ身が持たない。
これが多重人格者の成り立ちであり、普段普通に生活できている人が理解しなければいけないポイントであると学んだ。最初は各々の人格ごとにそれぞれオリジナルの別の部分を担うために生まれ、その後別々に分化していく。
個人的にはあまり恋愛パートに感情移入することはなかったが、多重人格者というフィクションのようであり、現実にいないともいえない存在を上手く描写してくれたと感じる。
自分の性格の多様性とは根源的には別で、しかしどこかでは重なる部分があるという区別が絶妙にされていて読みやすさがあった。
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家庭教師として行ったお金持ちの家で、「教え子とその両親」ではないもう1人男性と出会い秘密と向き合うお話。会うたびに態度が変わる男性は一体何者なのか。そしてそれは恋へと発展し…
著者の本を読むのは「野良犬の値段」に続いて2冊目。世の関心はあるものの非常に珍しい事象を描いているのに経験談としか思えないほどのリアルさ。そしてわかりやすさ。伏線や大どんでん返しはありませんが、主人公と一緒にどきどきハラハラしたい人にはおすすめです。
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終わり方が辛かった。この展開的に卓也が存在する広志であっても、ふたりが結ばれることはないだろうなと思った。卓也と聡子がまたどこかで会えることはないのが悲しくてたまらない泣
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百田尚樹さんの「モンスター」を読んでストーリーが分かりやすくて面白かったので表紙が似た感じのこちらも読んでみた
多重人格の男性に主人公が翻弄される話でとても面白かった
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解離性同一性障害を扱った作品を初めて読みましたが、非常に複雑な内容ですが、多数ある人格が最終的に1人の人格にまとまるという内容は非常に面白い。 圧巻でした。
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多重人格とは。反動形成やペルソナとは、など、心理学が学べる。本当の性格とはなにか。この本は悲恋の物語でひとつの肉体に宿るいくつもの人格の生成と消滅が描かれている。読後感、なんだか壮大でドラマチックだったな〜という感じ。
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結局のところ不倫なのだと思うとあまり感動できなかった。。一つの人格を愛する以前に自分の身辺を整理なさった方が、、、と。
解離性同一障害についてはまあ、そういうこともあるだろうなと私は寛容に受け入れるだろう。しかし思い出を共有した人格と主人格が異なる場合虚しい気持ちになるかもしれない。友人として付き合うことは難しいだろう、まして恋人や配偶者などは愛した人格以外は他人なのだから許容できないこともあるだろう。
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多重人格者である岩本広志と人妻で家庭教師の聡子の恋愛小説。
幼き頃に父親と兄から壮絶な虐待を受けた結果、広志は卓也、純也、ヒロシ…といった様々な人格を生む。聡子はそのうちの卓也に恋をして不倫関係に至るが、最終的には治療が進み、全ての人格が統合されて表面的に彼らは消えてしまう。
物語としてはなかなか面白いと思ったものの、やはり現実感というものが私にはないので社会小説としては受け入れ難い。本音と建前、自我とエス、人間って本来、多重人格じゃないかっていう問題提起や線引きについての議論みたいなパートが個人的に好き。
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あらすじを読んでもどんな内容なのかあまりわからない状態での読書。初めは病気なの?騙してるの?なんなの?って思いながら読んでいた。本気で恋してしまったら、本来ならこうすべきであろう行動よりも自分が望む方に持っていきたくなる女性の気持ちがリアルに感じた。広志には幸せになってもらいたい!卓也は本当に完璧な人格だ!
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解離性同一性障害の男性と恋に落ちるとこんな辛い思いをするんだなとしみじみ思った。
実際に身近に多重人格の人はいないけど、すごく興味のある分野。
記憶がない時間があるってどれほど怖いだろう。
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多重人格というものを丁寧に扱った作品だった。多重人格の成り立ちの生々しさも表現している。ほぼ発症している人が幼い頃に親もしくは近しい人からの虐待を受け、虐待を受け入れないために別人格を発症するのが多いらしい。役割分担することにより、自分の痛みを柔らげる装置になる。お酒を飲むと人格が変わる人も一種のこれに近いと思った。
主人公の女性は一つの人格に恋をした。最初は不快な出会いだか、会うたび人格が変わるだけでも興味は湧き、たまに完璧な男性が現れる。望むときには出てこないだけでなく、夫と上手く行かないことも恋を加速させていたのかも。人はいつでも恋をしておきたいものなのかもしれないと感じるし、自分もずっとしたいなと思う。
社会問題も絡み合いながら、大人のリアルな恋愛を描いていて、読んでいくたび面白さを感じる物語だった。