あらすじ
ある資産家の家に家庭教師として通う聡子。彼女の前に屋敷の離れに住む青年が現れる。ときに荒々しく怒鳴りつけ、ときに馴れ馴れしくキスを迫り、ときに紳士的に振る舞う態度に困惑しながらも、聡子は彼に惹かれていく。しかしある時、彼は衝撃の告白をする。「僕は、実際には存在しない男なんです」。感涙必至の、かつてない長編恋愛サスペンス。
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Posted by ブクログ
主人公の女性が解離性同一性障害の主人格ではなく副人格に恋をするお話。同一の肉体をもちながらある副人格にしか見初めらないのが興味深い。複数の人格は統合されるのがオチだが、そうなると主人公と副人格(卓也)との恋は実らない。様々な葛藤の末この恋はどうなるのか。解離性同一性障害についての理解も深まったし、なにより2人の悲恋物語が面白い。主人公が途中から卓也にわがままな要求をする場面は読者にはかりしれない卓也への愛情があることを示唆している。私も3人の人格があるかと思うくらい感情の起伏が激しいのだが、それは解離性同一性障害とほぼ変わらないものでは無いかとプリズムの話から思った。
Posted by ブクログ
面白くて、一気読みしてしまいました!
人格関係なく生々しい恋模様が描かれていました。
だんだんと統一されていく人格に、統一される側の人格はどういう気持ちなんだろうと切ない気持ちになりました。
特に、純也が可哀想で、辛い仕打ちを一身に背負って、全ての嵐が過ぎ去った後に、人格統合されて消えていくのは悲しすぎますね…
Posted by ブクログ
解離性同一性障害について考えさせられる。聡子が多重人格の1人に恋するお話。卓也が消えて広志の中に統合される瞬間、融合された後に卓也の表情や仕草が垣間見える場面は、とても切なかった。聡子が我儘すぎるのと、医者が口軽すぎるのはどうにも引っかかる…。
Posted by ブクログ
終わり方が辛かった。この展開的に卓也が存在する広志であっても、ふたりが結ばれることはないだろうなと思った。卓也と聡子がまたどこかで会えることはないのが悲しくてたまらない泣
Posted by ブクログ
結局のところ不倫なのだと思うとあまり感動できなかった。。一つの人格を愛する以前に自分の身辺を整理なさった方が、、、と。
解離性同一障害についてはまあ、そういうこともあるだろうなと私は寛容に受け入れるだろう。しかし思い出を共有した人格と主人格が異なる場合虚しい気持ちになるかもしれない。友人として付き合うことは難しいだろう、まして恋人や配偶者などは愛した人格以外は他人なのだから許容できないこともあるだろう。
Posted by ブクログ
多重人格者である岩本広志と人妻で家庭教師の聡子の恋愛小説。
幼き頃に父親と兄から壮絶な虐待を受けた結果、広志は卓也、純也、ヒロシ…といった様々な人格を生む。聡子はそのうちの卓也に恋をして不倫関係に至るが、最終的には治療が進み、全ての人格が統合されて表面的に彼らは消えてしまう。
物語としてはなかなか面白いと思ったものの、やはり現実感というものが私にはないので社会小説としては受け入れ難い。本音と建前、自我とエス、人間って本来、多重人格じゃないかっていう問題提起や線引きについての議論みたいなパートが個人的に好き。