堂場瞬一のレビュー一覧
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コラボ作品だと聞いて期待して読み始めたのだが、多少リンクする場面もある・・・といった程度だった。
何となく肩透かしをくらった気分だ。
大友と一人息子・優斗との関係も、優斗の成長にしたがい徐々に変化してきている。
少しずつだが自分の世界を持ち始めている優斗。
相変わらず子離れができない大友。
しかし、今回の事件を通して、大友は刑事としての本来の自分を取り戻していく。
これまではやや強制されて捜査に参加していた姿勢が、自ら望んで捜査に取り組んでいく描写が何度かあった。
本格的に復帰するのも近いのでは?と期待したくなる。
そして、これも相変わらずだけれど女性記者が本当にイラッとする。
ここまで強烈なキャラクターにする必要があるのかとも思うけれど、これまでの経緯を考えるとやはり彼女も必要な人物なのかもしれない。
好きにはなれないけれど。
ふたつの事件が互いに交錯し、捜査は次第に核心へと迫っていく。
一応の決着を見届けたあとの大友に心境の変があったことは、読者としては単純にうれしかった。
最後の1行には愕然とした。
いったいこれはどうなっているんだろう?
何が起きたのか?
どうやら「警視庁追跡捜査係 刑事の絆」を読めばその後の大友を知ることができるらしい。
「アナザーフェイス」ファンとしては読まないわけにはいかない。 -
Posted by ブクログ
シリーズ第1弾だからなのか、澤村の抱える過去のトラウマが何度も意味ありげに登場する。
いまだに過去に縛られ、「完璧な刑事」として生きることを目的にした澤村の心情が描かれている場面も多いが、いまひとつ響いてこなかった。
ただ、構成や展開は面白かった。
徐々に真犯人へと近づいていく澤村の行動がわかりやすく、無駄なく描かれている。
プロファイリング担当の橋詰のキャラクターもいい。
プロファイルを理解しようとしない澤村と、理解させる気もない橋詰。
ふたりの会話は噛み合わず、互いに自分の言いたいことだけを伝え、自分の聞きたいことだけを聞こうとしていて奇妙な面白さがあった。
早々に犯人はわかってしまうけれど、それでも最後まで読ませる物語になっているのはさすが堂場作品と。
シリーズを追っていけば澤村にも何かの変化が表れるのだろうか。
第2弾の「歪」も読んでみたい。 -
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ネタバレ地方の支局から本社に転勤してきたばかりの長妻は、やり手キャップの市川と組んで「集団自殺」事件を追うことになる。
他社に抜かれることは、記者にとっては負けを意味する。
たびたび他社に抜かれた長妻は、焦りもあって取り返しのつかないミスをおかしてしまう。
取材相手について十分な調査をしたはずだった。
裏をしっかりと取ったうえで記事につもりだったが、内容は事実とは大きく違っていた。
いわゆる「虚報」である。
自殺をキーワードに、報道の最前線で働く新聞記者たちの生き様を描いている。
法の専門家である上山は、何故自殺を肯定するようなサイトを開いたのか。
その謎が、彼の持論である「人には死を選ぶ権利がある」と密接にかかわっている。
長妻には過去に親しかった友人が自殺したという経験があった。
同じ経験をしたとしても、人によって受け取り方はさまざまだろう。
大きな出来事として立ち直れないほどのショックを受ける人もいれば、試練だと思って前向きに受け止め立ち向かっていく人もいるだろう。
自殺は善か、悪か。
けっして善ではないとは思う。
でも悪か?と聞かれると、悪だとは即答できない。
何故なら、当事者にしかわからない理由がきっとそこにはあると思うから。
ただ残された人たちの辛さもほんの少しでいいから考えてほしい、とも思う。
生命は誰のものなのか?
いま生きている私の生命は、私のものであって、私だけのものではない・・・と思う。
いつも支えてくれる両親をはじめとする人たちのおかげで、これまで生きてこれたのだから。
結局のところ、実際にその立場になってみなければ答えはわからないのかもしれない。
「虚報」をめぐる物語よりも、上山が淡々と語る自論のほうが気になってしまった物語だった。 -
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大学時代の大友の姿が多く登場する「アナザーフェイス」シリーズ3作目。
学生時代に芝居をやっていたことは知っていたけれど、まさか4度も舞台を踏んでいたとは。
しかも、中には主要キャストとも呼べるような配役まであり、けっこう本格的にやっていたんだなと驚いた。
劇団という特殊な集団の中で起きる軋轢。
誰もが小さな国を作り王様になりたがる・・・なるほどなと、妙に納得した言葉だった。
「夢厳社」の王となった笹倉は、けっして反逆を許さず徹底した服従を望んだ。
芝居に関しては、誰の助言も聞かずに劇団を思い通りに動かそうとして殺された笹倉。
「役者馬鹿」という言葉もあるが、笹倉も「芝居馬鹿」だったのだろう。
大友にも迷いがある。
父親として警察官として、迷いながらも「刑事の役を演じている」刑事ではなく、正真正銘の刑事になっていたと気づく場面がけっこう好きだな・・・と思った。
刑事としての原点が亡き妻・奈緒だったことも、大友らしくて素敵なエピソードだった。
巻を追うごとに刑事らしさを取り戻していく大友が、次にはどんな姿を見せてくれるのか。
楽しみなシリーズのひとつになった。
堂場さんの作品は、個性的だけれどもどこか屈折してしまっている主人公が描かれている。
その歪み具合がいい。歪んだ分だけ他の人にはない何かを掴んでいる。
そんなところに主人公たちに惹かれる要因があるのだろうか。 -
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犯罪被害者支援課とは、文字通り犯罪の被害を受けた人たちを支えサポートするための課だ。
対象となるのは事件によって被害を受けた当事者だけではない。
事件によって大切な家族を失った遺族もまた、支援課の支援対象となる。
堂場さんには数多くのシリーズがある。
大きく分ければ警察小説とスポーツ小説になるのだろう。
どちらのジャンルにも大好きなシリーズがある。
けれど、この支援課シリーズにはいまひとつ乗り切れない。
物語は何度も何度も被害者たちに寄り添うことが大切だと語りかけてくる。
でも、その一方で村野は実地体験を通して後輩の支援員たちを育てようとする。
任せても大丈夫だという信頼感があってこそのことだろう。
それでも、どこかに違和感を感じてしまう。
たぶん物語が被害者を支援することを描きながら、結局は事件を解決することのほうに比重が置かれているからではないだろうか。 -
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ネタバレなんか不思議な感じがします。これまで、堂場瞬一のスポーツシリーズは『いま』を描いているものだと思っていたんですが、この作品は、なんか『近未来』を描いているような気がします。
とは言っても、現実のほうが追いついてきていて、解説にも有るように“省”ではなく“庁”ですが、スポーツ庁が出来ていますし、その長は小説と同じくアスリート出身。なんだか、預言書なんでしょうか?
この作品は珍しく、スポーツそのもの、スポーツをやっているアスリートを描いているのではなく、メダル至上主義に歪んでしまった日本の姿を描いているような気がしました。なんだかそれでは楽しくないよね。スポーツがそれでいいのかな?