【感想・ネタバレ】虚報のレビュー

あらすじ

「ビニール袋集団自殺」。無関係の人たちが、ビニール袋をかぶり、睡眠薬で集団自殺、しかも見つかりやすいようにドアを開けておく…。連続するこの自殺の裏には、ある大学教授が運営するサイトの存在があった。事件を追う、東日新聞社会部の有名キャップ市川と、若手記者長妻は、スクープ合戦の中、何度も“抜かれ”ながら独自の取材ルートで真実を追う。自殺サイトはなぜ立ち上げられたのか? 東京、新潟、米国etc. 事件の裏にある虚実とは? 報道の最前線を描くエンターテインメント小説。

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Posted by ブクログ

 元新聞記者の堂場さんは、モデルなしで人物を書きさりげないディテール(細部)を連ねてリアリティを固めていると「あとがき」の解説されている。確かに表現は登場人物の個性をうまく生かして躍動的かつ泥臭い部分まで書かれているのです。
 物語は、新聞ではあまり取り上げて報道しない「自殺」をテーマに上げている。
 取材対象は、ビニール袋集団自殺で練炭や硫化水素を使った自殺と違って、他人を危険に巻き込んでもいないのだから、いずれ話題にも上がらなくなるだろうと、主人公の一人で若手の東日新聞記者・長妻は考えていた。
 長妻は元々長野支局で五年過ごし、かつての同支局の大先輩である本社社会部の市川から声をかけられ取材を継続する。
 今回の事件は、全国で七都県一八人に及んでおり、その根源は呼称「自殺サイト」から波及しサイトの主宰者は、テレビにも出演している大学教授の上山(かみやま)であることが分かり大きな波紋を広げた。
 上山の主張は概ね以下の通り。
 『自殺は、自らを殺すことで。自死は、自ら死を選ぶこと、自死は犯罪ではありません。
自ら命を絶った人を罰することに全く意味がないからに他なりません。
 刑法第二百二条、相手に自殺の意思を抱かせることで自殺教唆が成立する。とあるが、掲示板には「死ね」とは書いていない。
 生きているのが苦痛であるのに、なぜ無理に生きる必要があるのか、安楽死の要件は、ほとんど自死にも当てはまり、人間には自らの死を選ぶ権利がある』
 警察は、上山を自殺幇助の容疑で逮捕した。
 社会部市川と長妻は、自殺サイトの本質を探り記事にするため積極果敢に取材を進めるのです。
 以上が導入部のあらすじです。
 上山氏の主張に反論するのは難しい。しかし、人の生命は儚い、だからこそ大切に生きなければならないと思う。自他の生命について考える良い機会でした。
 この問題の答えは、あなた自身で考えを導き出すことに意義があると思います。

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2020年01月23日

Posted by ブクログ

すっごいおもしろかった。堂場さんの本集めようかなぁ。エンターテイメントって書いてたけど、区別が全然わからないp_q

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2012年08月29日

Posted by ブクログ

面白かったー!

仕事ってそういうものだよね。
人生ってそういうものだよね。
劇的ってないよね。

長妻くんは充分劇的な人生だと思うけど。
医者とか警察とか軍人とかじゃないと人の死の間際にはそこまで触れないと思うし…

色々あったけど、誰かの少しづつの優しさに包まれていて幸せだと思った。

市川くんはもっとちゃんと対話をしようね。

目の前のチャンスってその場で掴まないと得られない物だけど、今回は掴んでからも確かめるチャンスはいくらでもあった。
自分もそうなった時、目先の輝きに囚われずに冷静でいられるようにしたい…

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2024年02月05日

Posted by ブクログ

鳴沢シリーズでは随分楽しませて貰ったけど、
これがいっちゃんですた。クライマーズハイ、
運命人と並ぶ、私的新聞小説トップスリーでおま。

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2013年12月19日

Posted by ブクログ

久々の堂場瞬一作品。
出張帰りの飛行機に乗る前の売店で手にしました。

刑事・鳴沢了シリーズで随分と楽しませていただきましたが、今回は新聞記者が主人公。
ちょうどこの前に読んだ誉田哲也の『主よ、永遠の休息を』と重なる。
意図したわけではないのだが、そんな風に似たような本と出会うことがある。

自殺教唆なのか、自殺幇助なのか警察と記者との駆け引き、記者同士の駆け引きなど人間模様の描写は変わらず素晴らしいものがあり、著者の書くリズムを思い出しつつ、一気に読み終えました。

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2013年02月11日

Posted by ブクログ

有名大学教授が集団自殺に関与したという週刊誌のスクープ。そこから始まる報道の加熱と追う新聞記者の話。

全体的に重く、読んでいてなんだか息苦しくなってくるのは、それだけリアルだからなのかな。
若手記者・長妻の焦りや不安をひしひしと感じながら読みました。
『虚報』に至るまでの伏線、息苦しかった。
ハッピーエンドが好きな私にとっては最後は救いでした。

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2012年12月26日

Posted by ブクログ

新聞記者さんのお話。
個人的には上山さんが好き。雰囲気も言ってることも顔も(想像)もいいよー。
ただー市川さんと長妻さんの関係をもうちょっと深く?うーんなんていうんだろう因縁めかせて?ほしかったかも?そこちょっと違和感あった。

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2012年09月14日

Posted by ブクログ

新たな分野の開始?

真実を伝えることに奔走する記者
警察担当や、キャップ、デスクの人間模様と
制作に携わる新聞の現場物語。

新聞を題材にした小説、最近は少ないが
「クライマーズ・ハイ」横山秀夫の小説を想いだした。
堤真一。山崎務。…映画化されている。

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2012年06月26日

Posted by ブクログ

新聞記者の仕事ぶりと、自殺の是非がメインのお話。
サイトを主催する教授は自死と言う。

苦しくて先が見えなくて未来を閉ざす道を選びたくなることもあるのだろうけれど、いつかは先が見えてくると信じて生きている方が良いと思う。
他人の命も自分の命も大切にしようよと言いたい。

功をあせった若手記者が相手の話を信じて記事にするが、裏づけの取り方が甘くて結果的に虚報になるくだりは身につまされる。

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2012年05月12日

Posted by ブクログ

元新聞記者の作者だからこそのリアリティだなあと思いながら読んだ。
大学教授が自殺を教唆するようなサイトを作り、実際に自殺者が多発する。
なんだか読んだことのあるようなあらすじで目新しさはなかったかなあ。

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2025年09月05日

Posted by ブクログ

最愛の人を亡くすとそうなるのだろうか。

記者経験のある著者ならではの、リアリティのある新聞記者の世界が感じられた。

話しは逸れるけど、虚報(誤報)を訂正しないAやMなどの新聞社は信用が無いので傾くのは致し方ない。

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2025年05月21日

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ネタバレ

東日新聞の敏腕記者市川と新人長妻の、集団自殺事件をめぐる取材と、その結果生じた虚報。細部がよく書き込まれていて、リアリティがあるのだけれども、読み進むにつれてしんどくなってくるのは、市川にも長妻にも、それほどシンパシーを感じることができないせいかもしれない。

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2023年02月14日

Posted by ブクログ

テレビでも活躍する大学教授のサイトがきっかけで
全国で頻発する自殺。

教授は何故そのようなサイトを作ったのか

若手とベテランの新聞記者が謎に迫る

新聞や雑誌のスクープ合戦の裏には
こんな悲壮な苦労があるのかと驚く。

元記者の作者ならではの作品

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2022年08月21日

Posted by ブクログ

大学教授のサイトがきっかけで発生した「ビニール袋集団自殺」事件を、やり手キャップの市川と担当する社会部の新聞記者の長妻は、たびたび他社に出し抜かれ、追い詰められていくが、やがて独自の取材で起死回生のスクープを放つ…。

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2018年06月17日

Posted by ブクログ

面白くない。主人公の2人に全く魅力がない。若い方の記者に何か光るものがあるわけでもなし、中年の方の記者も一体どこが優れてるのか、コネを持ってる以外に何にも伝わってこない。特に嫌なのがこいつら2人がチームとして全く機能してないところ。先輩が若手を育てようと全くしてないとこが読んでて不快だった。事件も特に盛り上がらないし堂場瞬一の中で最も面白くなかった。ただテーマは興味深いな。あと、「IPアドレスがac.jpだった」とかちょっと調べればわかるのにおかしな事書いてるから興醒めもした。

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2017年04月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

地方の支局から本社に転勤してきたばかりの長妻は、やり手キャップの市川と組んで「集団自殺」事件を追うことになる。
他社に抜かれることは、記者にとっては負けを意味する。
たびたび他社に抜かれた長妻は、焦りもあって取り返しのつかないミスをおかしてしまう。
取材相手について十分な調査をしたはずだった。
裏をしっかりと取ったうえで記事につもりだったが、内容は事実とは大きく違っていた。
いわゆる「虚報」である。
自殺をキーワードに、報道の最前線で働く新聞記者たちの生き様を描いている。
法の専門家である上山は、何故自殺を肯定するようなサイトを開いたのか。
その謎が、彼の持論である「人には死を選ぶ権利がある」と密接にかかわっている。
長妻には過去に親しかった友人が自殺したという経験があった。
同じ経験をしたとしても、人によって受け取り方はさまざまだろう。
大きな出来事として立ち直れないほどのショックを受ける人もいれば、試練だと思って前向きに受け止め立ち向かっていく人もいるだろう。

自殺は善か、悪か。
けっして善ではないとは思う。
でも悪か?と聞かれると、悪だとは即答できない。
何故なら、当事者にしかわからない理由がきっとそこにはあると思うから。
ただ残された人たちの辛さもほんの少しでいいから考えてほしい、とも思う。
生命は誰のものなのか?
いま生きている私の生命は、私のものであって、私だけのものではない・・・と思う。
いつも支えてくれる両親をはじめとする人たちのおかげで、これまで生きてこれたのだから。
結局のところ、実際にその立場になってみなければ答えはわからないのかもしれない。
「虚報」をめぐる物語よりも、上山が淡々と語る自論のほうが気になってしまった物語だった。

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2017年03月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

久しぶりの堂場瞬一。

新聞社で働いたこちのある筆者が描く、同じく元記者である巻末解説者をして『リアリティ十分』と言わしめる位にリアルな、記者たちのドラマ。

救いのある結末に胸を撫で下ろしてつつも、過去に読んできた堂場作品と比べると、少々物足りないかな……。

★3つ、7ポイント。
2014.12.24.了。


自殺、自死って……、識者や専門家が何を語ろうとも結局は、“残された者”や“残された者になりかかった者”の心情は分からないのだと感じた。

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2015年10月09日

Posted by ブクログ

著者初めての新聞記者が主人公の小説なんだとか。どこまでリアルなのかは分からないが、現実が相当取り入れられているのではないかと思った。

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2014年10月26日

Posted by ブクログ

緊張感が半端ないんです。新聞社ってこんな感じなのと驚いた。集団自殺事件を巡っての他社との攻防、社内でのぶつかり合い、焦り、功名心と人間の持つ感情が痛いほど描かれている。

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2014年06月19日

Posted by ブクログ

物語はまあ面白いのだが,主人公にまったく共感できない。
年長者は嫌なやつだし,若者はマヌケすぎるし。

書かれていることが新聞社のある実態を反映しているのだとすると,「何様のつもりだ!」と言いたくなる。

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2014年01月29日

Posted by ブクログ

テーナは重く、一瞬横山秀夫さんを彷彿とさせられるが、2人の主人公の視点の動きというか、絡みがいまいちなのが残念でした。
最後はまぁ救われるという事でいいのか。

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2013年10月11日

Posted by ブクログ

む〜ん、これまたジャンル分けが難しい(^ ^;
社会派小説...とでも呼ぶのでしょうか。

舞台は某大新聞社。
主役は入社20年目のベテラン記者と
地方から本社に上がったばかりの5年目記者。

とある集団自殺事件をきっかけとして、
「自殺教唆」サイトの存在が明るみに出る。
それを主宰していたのが、テレビでのおなじみの
法律の権威である大学教授だったので
世間の耳目を集めることになる。

他紙にスクープを抜かれ、あせりながらも
何とか大ネタを掴もうと奔走する二人。
が、年齢もキャリアも立場も違う二人。
お互いになかなか100%の信頼関係を築けない。

そこにさらに「やる気のないダメ社員」だの
「出世競争にしか関心が無い管理職」だの
実に「実際にいそうな人」が絡んできて
足を引っぱったりするのが妙にリアル(^ ^;

さらに警察幹部との禅問答のような情報戦や、
ライバル社の動機社員との確執、
謎の「自殺未遂者」の証言などが絡まり合い、
さらに物語のキーマンの死も重なり...

とにかくお腹いっぱいになるボリューム(^ ^;

でも、一つ一つのエピソードが、セリフが、
ちょっとした描写が隅々までリアルで
目の前で実際に実在の事件を追ってる気になる。

どれほどきっちり取材を重ねたのかと思ったら、
筆者は元々新聞社勤務だったとの由。
細部まで血の通った表現も、宜なるかな。

さらにインターネットやら携帯やらの登場で
「毎日刷って宅配」という新聞の根本的な
ビジネスモデルが立ちゆかなくなっている、
という非常に今日的なテーマも含んでいる。

「新聞が正しいことを書いているなんて
 信じているのは新聞社内部の人間だけだ」
みたいな自嘲的なセリフも、一つのリアル。

主人公が「いつまでこの新聞社にいられるか」と
今後の身の振り方について考えたりするのも
これまた実際に起こっていることであろう。

終盤にかけて、やや展開が駆け足で、
強引な感じがしなくもないのですが...
とにかく、読み応えあり(^ ^

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2012年11月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

新聞記者の話。
長妻には同情してしまった。
でも最後のページに救われた。
死を扱っている話のため全体に暗い感じだが読み進めるのは苦ではない。
読後感はあまり良くない。

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2012年08月03日

Posted by ブクログ

新聞記者を題材にした小説としては、盛り上がりに欠けるかもしれない。事件を追う長妻と市川の活動はひたすら地味で、爽快感はない。

記者のように毎度仕事の対象が変わろうとも、どこかの時点で同じ手続きを経る以上はルーチンワークになる部分があり、各所に少しずつ狂いが生じることで、大きな落とし穴が待っていることもある。誰でも陥る隙がある、そんな怖さを描き出していて、ビジネス小説としては成功してんじゃないかと。

文章の端々に何となく、業界や購読する大衆なんかに対して拗ねを感じたことだけ気になったかなあ。

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2012年06月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

上司部下の関係が自分の過去の関係を思い出した。

功を奏したい気持ちと経験不足のアンバランスが結果、マイナスに働いちゃうんだよね。

っていうことをしみじみ思いながらも作品としてはダラダラした感じ?
そのために題名となる虚報~ラストも何となく薄れた出来事でしかなかった。

警察小説は面白いだけに残念っす。

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2012年05月18日

Posted by ブクログ

堂場さんは、一体一日どれだけの原稿書いてんだろう。
凄まじいペースで刊行されてませんか?
それはそれとして、この作品。
実にリアルに新聞社の実態が描かれてますね。さすがに新聞社勤務の経験が生きてます。ただ、ストーリーはボリュームの割にはいささか、しょぼい気がしないでもないかな。途中で投げ出すという方もいそう、、、
ラストはいい感じで終わったんですが、ここまでページ要するかなぁ。
リアリティに拘り過ぎた感もしないではないですね。

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2012年04月19日

Posted by ブクログ

う~ん、どうだろう、ちょっと前置きが長すぎる感アリ。
最後の章に向けての諸々の布石、みたいなのが長すぎる感じがした、あとになって考えてみれば。
正直、ちょっと飽きたけど我慢して読み進めよう、という気持ちはあった。
リアリティみたいなのは十分にあったとは思うんでその点は評価したとしても、好みとしてはそういう「理屈」は二義的で。

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2012年04月14日

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