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競泳自由形の日本記録を持つ矢沢大河は、前回の五輪の4×100mメドレーリレーでは僅差でメダルを逃がし、雪辱を期している。そこに現れたのが高校3年生の小泉速人。不穏当な言動で選手の反発を買う小泉は、新型水着「FS‐1」を身につけて好記録を叩き出す――個人競技におけるリレーとは何か、ツール(水着)とは何かを迫真の筆致で描く問題作。
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Posted by ブクログ
堂場さんは警察物が最近多くて、それもとても面白いんだけど、スポーツ小説も非常にいいです。 今回のテーマは水泳のメドレーリレー。 北島康介を思わせるような今岡が下巻もメインかと思ってたら、そう云うことなんですね。下巻が楽しみ!
堂場瞬一さんのスポーツ小説、気に入ってます。 上巻はスポーツ(今作では競泳)そのものの臨場感を感じるより、その背景にある選手たちの苦悩や葛藤、選手を支えるスポーツ用品メーカー研究者や水連の監督やコーチの心情、そういったものを中心に描かれているように思います。 これから下巻を読みますが、気になるのは...続きを読む高速水着が国際水連の認可を得られるのかどうか。現実の世界でも同じようなことがありましたよね? 国際水連があるのはヨーロッパだから、これまでも日本が不利になるような装備品のレギュレーション変更って何度もありましたし、もし高速水着が不認可ということになったら、日本の選手達はどうなってしまうんだろう。 それと小泉選手がこの先どうなっていくのかも、すごく気になります。自ら他者との間に壁を作り孤独を深めていく18歳の天才スイマー。 彼はこのまま孤立を深めていくのか、それとも変わっていくことができるのか。 気になることばかり! 下巻読みます
物語の前半が終了したわけだけど、まだまだ話はこれから、というかんじ。 なんとなく登場人物のそれぞれに実在の水泳選手を重ね合わせて読んでしまった。 低レベルとはいえ水泳をやっていた自分としては、個人競技でありながらチームワークが重要だというのはけっこうわかる。リレーってやたらと盛り上がるんだよなぁ。
競泳選手としての限界が見えてきた今岡に「まだやるんですか?」と言い放つ小泉。 孤高の王者もいいだろうが、ここまで不遜な態度だと嫌われ度も半端ではない。 選手仲間からは孤立し、監督からは腫れ物扱い。 誰も小泉に手を差し伸べる者はいない。 それでも、好記録を叩きだす間は小泉を問題視する声がどこからもあが...続きを読むらない。 競泳というのは本来個人スポーツだ。 勝敗もタイムという誰が見てもわかる数字によって決定する。 リレーというのは競泳選手にとって特殊な競技なのだろう。 ロンドンオリンピック男子400mメドレーリレーでの銀メダル獲得が記憶に新しい。 入江・北島・松田・藤井の4名によるチームだった。 どんなに優秀な選手であってもいつかは現役を退かなければならない。 今岡の葛藤や迷いが読んでいて辛かった。 日本記録保持者だろうとメダリストだろうと、衰えを感じるときは必ずくるのだ。 対極にいるように見える今岡と小泉だが、実はそれほどの違いはないのでは?と感じた場面もある。 焦りや苛立ち、葛藤を感じているのは今岡だけではないように思えた。 そして実際のオリンピックでも話題になった水着問題がこの物語でも取り上げられている。 着用した者のほとんどが記録を更新していく水着は、メーカーとの契約問題とも絡んで選手たちを翻弄した。 物語でも「FS-1」を次々と他の選手が着用していく中、かたくなに所属会社の水着を着続ける矢沢がいる。 今岡は決断する。 現実を現実として受け止めた今岡はすごいなと思う。 現役の選手ではなくなっても、それでも成長することを止めない。 一歩先を見据える精神力があればこそのメダリストなのかもしれない。
堂場瞬一のスポーツ小説は、心を熱くさせる。 この作品は、試合の行方一直線ではなく、オリンピックを目指す水泳チームと、高速水着を開発し選手たちをサポートするメーカーの研究者たちとの群像劇。 悲願のメドレーリレーで雪辱を果たせるか。 高速水着の行方は。 『ヒート』の山崎のような、周りの人間と折り合おうと...続きを読むしない天才スイマーの心の中は。 今後の展開に、下巻が楽しみ。
競泳を題材とした作品。 堂場瞬一氏の得意とするスポーツものです。 タイムが劇的に伸びるという水着。 次世代の選手の台頭。 東京オリンピック。 アスリート達の孤独感。 いろんなものを織り混ぜて、どんどん引き込まれる感じ。 ビッグマウスと呼ばれる新エース。 平泳ぎということで、日本を代表するスイマーと...続きを読む重なりますが、彼も今回の東京オリンピックに出場できる保証はない。 今までとは違うドラマの存在を意識してしまうのでしょうね。 画期的な水着だがオリンピックでは使えない可能性が出てきて、下巻に続くなんて。 気になって下巻に一気に突入してしまった。
新水着の認可問題に揺れ選手たちが大きく影響される。 泳ぐのは水着ではなく選手なのに、水着ばかりがクローズアップされる。 影響されなかった人が強いわけでもないが人間の弱さを見た思いがした。 また、水泳と言う個人競技なのに、リレーと言う種目があり、なぜか国を背負った様な形になる。 リレーの負担の重さ、ま...続きを読むた面白味を堪能した。 清々しく、読みながら自分もプールサイドで応援してる気分になった。
レーザー・レーサーを覚えているだろうか。 私がその名を耳にしたのは、2008年 北京オリンピックでのことだった。 競泳に疎い私だが、従来とは一線を画すハイテク水着だということは当時のニュースで十分に知ることになる。 水着は得てして水の抵抗をいかに減らすかをコンセプトにしているが、レーザー・レーサ...続きを読むーはそれに加え浮力を与えるという。 この浮力によって、より水の抵抗を受けにくい姿勢(ストリームライン)を保てるというものだ。 本書は何かと話題になったレーザー・レーサー問題を軸に、日本チームがメダルを逃した前オリンピックへの雪辱を果たすというストーリーである。 ************************************************************************** 読後の感想であるが、登場人物に大変魅力がある。 ピークを過ぎた元銀メダリスト 今岡、激情家 矢沢、ハイテク水着「FS-1」の開発者 久本と、それぞれの視点で物語りは進むが、バックボーンがしっかりと描かれているので感情移入がしやすい。 またアクセントとなるのが、最年少ながらも頭一つ抜けた力をもつ小泉だ。 彼は一貫して厚顔無恥な態度をとり周りをイラだたせ、いつ周りから殴りかかられてもおかしくない状況を作ってしまう。 肝心要の競泳の描写も、躍動感を感じさせ飽きさせない。 本書は単なるスポ魂小説ではない。 今岡は果たしてオリンピックに出場できるのか。 小泉が周りに壁を作ってしまう理由はあるのか。 日本チームにとって世界で戦うために必要なFS-1は認可されるのか。 いくつもの要素が絡み合い、どんどんと読み進められる。 上巻だけで400ページ近くあるが、スポーツ小説をちょっと読んでみようかなと思う人にもオススメできる小説である。
はやく下巻が読みたい! 水着がどうなるのか、リベンジが果たせるのか、チームがまとまるのか。 やっぱり泳ぎたくなる本。
キャラクターの造形は累計的でわかりやすい。しきりと匂わせているキャラクター的どんでん返しが下巻であるのかどうか。意識的か無意識的かは別として、人に気を遣わずに我が儘を通すことは、ある意味では強いよなぁ。スポーツに限ったことではなくて。
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