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Posted by ブクログ
競泳選手としての限界が見えてきた今岡に「まだやるんですか?」と言い放つ小泉。
孤高の王者もいいだろうが、ここまで不遜な態度だと嫌われ度も半端ではない。
選手仲間からは孤立し、監督からは腫れ物扱い。
誰も小泉に手を差し伸べる者はいない。
それでも、好記録を叩きだす間は小泉を問題視する声がどこからもあがらない。
競泳というのは本来個人スポーツだ。
勝敗もタイムという誰が見てもわかる数字によって決定する。
リレーというのは競泳選手にとって特殊な競技なのだろう。
ロンドンオリンピック男子400mメドレーリレーでの銀メダル獲得が記憶に新しい。
入江・北島・松田・藤井の4名によるチームだった。
どんなに優秀な選手であってもいつかは現役を退かなければならない。
今岡の葛藤や迷いが読んでいて辛かった。
日本記録保持者だろうとメダリストだろうと、衰えを感じるときは必ずくるのだ。
対極にいるように見える今岡と小泉だが、実はそれほどの違いはないのでは?と感じた場面もある。
焦りや苛立ち、葛藤を感じているのは今岡だけではないように思えた。
そして実際のオリンピックでも話題になった水着問題がこの物語でも取り上げられている。
着用した者のほとんどが記録を更新していく水着は、メーカーとの契約問題とも絡んで選手たちを翻弄した。
物語でも「FS-1」を次々と他の選手が着用していく中、かたくなに所属会社の水着を着続ける矢沢がいる。
今岡は決断する。
現実を現実として受け止めた今岡はすごいなと思う。
現役の選手ではなくなっても、それでも成長することを止めない。
一歩先を見据える精神力があればこそのメダリストなのかもしれない。
Posted by ブクログ
レーザー・レーサーを覚えているだろうか。
私がその名を耳にしたのは、2008年 北京オリンピックでのことだった。
競泳に疎い私だが、従来とは一線を画すハイテク水着だということは当時のニュースで十分に知ることになる。
水着は得てして水の抵抗をいかに減らすかをコンセプトにしているが、レーザー・レーサーはそれに加え浮力を与えるという。
この浮力によって、より水の抵抗を受けにくい姿勢(ストリームライン)を保てるというものだ。
本書は何かと話題になったレーザー・レーサー問題を軸に、日本チームがメダルを逃した前オリンピックへの雪辱を果たすというストーリーである。
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読後の感想であるが、登場人物に大変魅力がある。
ピークを過ぎた元銀メダリスト 今岡、激情家 矢沢、ハイテク水着「FS-1」の開発者 久本と、それぞれの視点で物語りは進むが、バックボーンがしっかりと描かれているので感情移入がしやすい。
またアクセントとなるのが、最年少ながらも頭一つ抜けた力をもつ小泉だ。
彼は一貫して厚顔無恥な態度をとり周りをイラだたせ、いつ周りから殴りかかられてもおかしくない状況を作ってしまう。
肝心要の競泳の描写も、躍動感を感じさせ飽きさせない。
本書は単なるスポ魂小説ではない。
今岡は果たしてオリンピックに出場できるのか。
小泉が周りに壁を作ってしまう理由はあるのか。
日本チームにとって世界で戦うために必要なFS-1は認可されるのか。
いくつもの要素が絡み合い、どんどんと読み進められる。
上巻だけで400ページ近くあるが、スポーツ小説をちょっと読んでみようかなと思う人にもオススメできる小説である。
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