高橋克彦のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
1250年ごろ。鎌倉幕府の執権北条の5代時頼とその子である8代時宗の生涯を描く。
北条は将軍ではなく執権といういわば御家人の纏め役であったが,北条家の中でも執権の座をめぐって争いが絶えなかったが,時頼は最近勢力を飛躍的に伸ばしている元に脅威をおぼえ,北条を纏め,国を纏めなければならないといい,やっと北条をひとつに纏めたところで短い人生を終えてしまった。その後,執権は叔父の長時,大叔父の政村に移りつつ,時宗に渡った。時宗は父である時頼の遺志を継ぎ国を纏めるために力を注いだ。時宗の兄の時輔は時宗をよく援け,やがて来るであろう元に備え策をねっていく。そして元が攻めてくるが,時宗,時輔兄弟が九州や東北,鎌倉の武者達と心を一つにして立ち向かう。最初の元寇は嵐にあい退散し,続く元寇においても嵐により数万という元軍が海の藻屑に消えていった。後の人たちはこれを神風といい,日本は神によって守られているという神国思想が広まり,遂には第2次世界大戦の悲劇を招くようになった。
この物語では神風という記載はまったくなく,読んでいてもそれは神風ではなく,それまでに散っていった日本を守ろうという命が,人々の強い心が呼び起こしたようなものなのかもしれず,後の守られているというのとは逆に,守っているという能動的な志がかなったものと言えるような気がする。
時宗は2度の元寇を神風ではなく,やはりここでは,志により撃退したといいたい。元を退けてから3年目の1284年,時宗は34歳でその生涯を終える。なんだか,坂本龍馬の短い人生とだぶってしまう。龍馬も33歳で生涯を終えるが,大政奉還という大役回りを演じて国を纏め,外国に立ち向かえるような国の進む道をしっかりと標した後,風のように地上から姿を消した。時宗も国を纏め,元を退けるために生を受けたような気がしてならない。
『喧嘩は迷いの有る無しで変わるもの。どちらが先にその荷を軽くするかで勝敗が決する。』
全4巻