高橋克彦のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ坂上田村麻呂らへんの時代、朝廷が蝦夷の侵攻を始めた頃の物語。反逆者アテルイの物語。燃えがる蝦夷の歴史のはじまり。
蝦夷の歴史の火種が黄金だったというところがね。金は人を変えてしまうのだ。朝廷が悪いというわけではない。その朝廷に阿った蝦夷の輩が蝦夷のバランスを崩していく。
あくまで蝦夷で燃え上がった炎は、自分たちのうちから燃え出したものなんだな。
しかし、戦闘のシーンは燃える展開で楽しいな。朝廷軍が敗れるのは小気味いい。
あと日本人は昔から水攻めが好きだな。
というか、水害が一番人にダメージを与えるのかもしれない。そう思った次第です。 -
Posted by ブクログ
新年1本目というか、年末にはほぼ読み終えてた作品。後醍醐天皇の南北朝分断から、幻の貨幣である乾坤(けんこん)通宝をめぐる歴史ミステリ…なのかな?
部隊は島根は隠岐の島から吉野、青森、長野と後醍醐天皇の足跡を追うように進行するのだが、肝心(?)の殺人事件は、わりかし地味。そして、謎の集団による殺人をほのめかす言葉のみ。
登場人物は、メインがミステリ作家と歴史研究家など、2時間サスペンスドラマのような"わかりやすい"ものだし、途中で出てくる人たちも、役場の職員など傍観のしやすい立場である。
逆に言うと、傍観し過ぎて切羽詰まったところが特に無いわけで、ちょっとダラダラした印 -
Posted by ブクログ
今巻は有名な道鏡皇位事件。
冒頭、始まってすぐの益女の死。
しかも嶋足の手によって。
いや、これはいくらなんでもダメだろう。
いくらそれが史実とは言え、物語の中ではいくらでも助ける手段はあったはず。
それなのに惚れた女も助けられないなんて、なにが主人公だ!と思う。
もうね、なんかちょっと嶋足のことは諦めた心境。
こんな主人公では物語がわくわくするはずがないんだよなあ。
やっぱり、作者は主人公の人選を間違ってる。
というか、キャラクター設定を間違っている気がするな。
いやまあ、このなにも出来ない感じが作者の狙いなのかもしれないけど。
もしそうなら、エンタメとしての楽しさは諦めるべき物語なのだろ -
Posted by ブクログ
奈良時代の歴史上の人物、牡鹿嶋足を主人公とする歴史物語シリーズ2巻目。
中央での権力闘争を蝦夷の視点で描いた物語は、なかなかに骨太で、歴史物語としては面白かった。
ただ、エンタメとしてはちょっと物足らないかな。
なんというか、ワクワク感が足らないんだよなあ。
その原因の一番は、主人公嶋足の活躍が少なすぎること。
さらに、性格が律儀すぎて状況に流されることが多く、自分から物語を動かす力に欠けている。
これでは主人公としては役不足と言わざるを得ない。
たぶん、天鈴を主人公にしたほうがずっと面白い物語になったんじゃないだろうか。
二つ目は、その天鈴と嶋足のやり取りがしばしばけんか腰になって、読 -
Posted by ブクログ
なんというか、非常に作者らしい物語だった。
奈良時代の歴史的出来事を蝦夷の側から描く歴史小説。
東北を舞台とした歴史小説を数多く描いている作者のいわば十八番の舞台だ。
作者にはこれより先に『火怨』という蝦夷の英雄アテルイを描いた作品があるのだけど、今回はその一世代前の時代。
作中には火怨で登場した人物たちの若き姿があって、ちょっと懐かしい。
奈良時代中期以降、政治的には橘奈良麻呂の変、恵美押勝の乱、道鏡皇位事件と波乱が続いて、小説の舞台装置としてはかなり面白い。
その中で蝦夷との関係がどう描かれるか、作者の腕の見せ所だろう。
シリーズ1冊目の本作では、橘奈良麻呂の変が舞台になっている。
た