高嶋哲夫のレビュー一覧
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この作者の作品は自然災害を扱ったものが好きなんだけど、「原発クライシス」みたいな感じだったので、手に取ってみた。
アメリカの国務長官を含めた懇親会を開いている最中に、首相官邸がテロリストに襲撃される。
日本初の女性総理大臣が誕生したことで、女性のSPに抜擢された夏目明日香は偶然にも襲撃時に持ち場を離れていたことから、難を逃れるが、他の警護官はほぼ全滅。辛うじて、一命を取り留めた上司のアドバイスを受けながら、たった一人でテロリストに立ち向かう夏目。
アクション的な要素が多い今作だが、官邸襲撃やテロリストの動機、そして何より夏目が敵に襲われることなく、逃げ回れることに違和感。
SATやネイビーシー -
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北海道の小さな町。倒産寸前の従業員四人の鉄工所が風車を作り上げるストーリー。何の知識もないところへ、渡された設計図だけを頼りに作り上げた風車はあっけなく失敗に終わるだけでなく、大きな代償も伴うものだった。「俺は、風車を造ったなんて言うのが恥ずかしくなった」新たな挑戦が始まる。マイナスからの再スタートは、知識、資金、人手、すべてが足りないものばかりだったが、一家が力を合わせて克服していく様子は読んでいて爽快だった。人間関係、制作過程に山場はたくさんあったのに、思ったほど熱くなれなかったのは、登場人物の感情があまり伝わらなかったせいか?そこが残念だった。
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首都直下型地震発生のシミュレーション小説。
阪神淡路大震災後、東日本大震災前に書かれた物語。
阪神淡路大震災を経験した3人が首都直下型地震発生に対してどう行動していくかが描かれています。
前半部分は、そのうちの一人、ポストドクターが首都直下型地震の発生を予知します。そして、その内容をどうやって、世の中に知らしめるのか?が語られていきます。
後半部分は、実際に地震発生後の世界が語られます。
さまざまな人が地震発生後どのように行動していくのか、そして、主人公たち3人はどうしていくのか?が語られます。
まず、一番の山場は、地震発生予知でしょう。
ポストドクターが予知した地震について、どうやって -
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「M8」で首都直下型地震、「TSUMANI」で巨大津波、「東京大洪水」で巨大台風による都市災害を災害シミュレーションとも言えるリアリティで描き切った高嶋氏が本書で描くのは、災害リスクによる経済の破綻です。
『東京を首都直下型地震が襲う可能性が5年以内90%以上という研究成果が発表されます。このリスクに対して効果的な対策が講じなれなければ、日本国債の暴落、極度の円安、そして株価の暴落が引き起こされ、日本がデフォルトとなる現実が目前に迫ります。この機に乗じて国際ファンドや某大国が日本への経済的攻撃を仕掛けて来る中、首都直下型地震のリスクを回避するには首都遷都しかないと、官僚や政治家が動き出します。 -
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日本人作家が、アメリカ合衆国の陰謀をテーマに書く。これだけでも十分野心的であると言える。テーマもアメリカンスリラーの王道である権力と陰謀。かなり、書き込まれている。物語は、アメリカ大陸の東海岸と西海岸のそれぞれで展開する。ある老人が託した原爆の開発手記の新聞記事にウラン238から核分裂をおこす理論が掲載され政府に激震が走る。時を同じくして東海岸では大統領の補佐官の不審な死に対して大新聞であるワシントンポストから署名記事が掲載される。この二つの話は、やがて縺れ合い、大統領側近の陰謀の影が見え隠れする。上下巻にして結末に至る過程を丁寧に書き込めば、もっとよくなる気がした。佳作