高嶋哲夫のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
面白く興味深い作品だった。
著者の以前の作品「M8」から続く当作品。
前作では首都直下型地震を扱った作品だが、当作品はその数年後に東海・東南海・南海地震が起きたらという舞台設定。
タイトル通りその地震により津波も迫る。
地震と津波というと東日本大震災が思い起こされるが、当作品はそれより以前に書かれている。
しかし、その内容はあの震災を描写したのではないかと思うほどに、ありありとあの日以降の事を思わされる。それくらい、著者の想定、参考文献が凄かったのだろう。
津波の被害、原子力発電所の状況、人々の反応、どれも見聞きした覚えがある。
直近だとカムチャツカ沖地震に伴う津波注意報・津波警報への人々 -
Posted by ブクログ
ネタバレコロナの頃に買ったけれど、その厚さにビビって今まで読まなかったことを後悔しています。
読み始めたら止まらない。
日本人研究者が、石炭のような有機物から石油を生成することができるバクテリアを発見した。
その遺伝子情報を解き明かすことができたら、世界中どこの国も石油に困ることは無くなる、夢のような話のはずだった。
しかし中東の産油国やアメリカの石油メジャーは、石油から得る利益を独占するために、その科学者・山之内明を殺害し、バクテリア「ペトロバグ」の奪取をそれぞれに目論む。
その頃、そのバクテリアは単なる有機物だけではなく、生物に感染したらそれをも石油に変えてしまうことが明らかになった。
傷口 -
Posted by ブクログ
二人の天才少年、取海と相場。同じ小学校に通い、ともに友達のいない二人だったが、将棋を通してお互いを友と認めつながっていく。貧しい境遇に身を置く取海と、恵まれた家庭に育つ相場。環境は違えども、将棋に対する思いは、二人を固く結びつけていく。二人は、小学生天才騎士として注目を集めていくが、取海はそのまま将棋の世界に邁進し、相場は数学の秀でた能力を開拓され、やがて人工知能の世界的研究者になる。この二人の小学生時代の出来事と、それぞれの道で成功を収めていく出来事が交互に展開され、それぞれに謎めいたものをはらみつつ、進行していく。
将棋七冠になった取海と、相場が人工知能をベースに作成した将棋ソフトの対戦で