高嶋哲夫のレビュー一覧
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首都直下型地震の「M8」、南海トラフ巨大地震の「TSUNAMI」、巨大台風直撃の「東京大洪水」と様々な巨大自然災害を描いてきた著者が今回描くのは書名どおりの富士山の噴火です。
2014年の御嶽山の噴火によって火山災害は以前よりも若干クローズアップされた感がありますが、地震や水害に比べると頻度が少なく、私たちが経験したり目にした噴火がごく小規模なものに限られることもあって、私たちにとっては実態を把握できていない災害ではないでしょうか。
本書は富士山が山体崩壊を伴う非常に大規模な噴火を起こしたとき、どのような被害が想定されるかを描いています。
噴火の規模が単なる水蒸気の噴出から溶岩の流出を伴う本格 -
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ネタバレ瀬戸口誠治、28歳。
10年前、阪神淡路大震災で家族を亡くした経験から、地球物理学を学び、学会では異端視されている地震予知を可能にするシミュレーションプログラムを研究テーマとしている。
12月3日、瀬戸口は静岡の研究施設で観測した群発地震のデータから、約半年後にマグニチュード8(M8)クラスの首都直下型地震が起こると予測するが…
この著者の作品は初読。
林檎飴甘さんのレビューを読んで、手に取った。
あらためて、『いいね!』させていただきました。
いい本に出会えました。感謝。
瀬戸口、亜紀子、松浦の、阪神淡路大震災当時高校生だった3人。
当時50代の働き盛りだった、遠山教授、植村教授、堂島 -
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高嶋哲夫『富士山噴火』集英社文庫。
『M8』『TSUNAMI 』『原発クライシス』『東京大洪水』に続く、巨大災害シミュレーション小説。
平成南海トラフ大震災から3年後、日本が誇れる美しき富士の山が突如、怒れる山と化する。南海トラフ大震災で自分の妻と息子を救うことが出来ずに自責の念に苛まれ続ける元陸上自衛隊のパイロット・新居見は…
巨大災害のシミュレーション小説と言えば高嶋哲夫を置いて他に居ないという程、リアリティがあり、迫力のある描写に圧倒された。多少、無理と思われる展開や災害の描写に比べると安っぽい人間ドラマもあるのは致し方無いのかも知れない。
今や何時、どのような自然災害が起きても -
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日本は地震国である。
阪神大震災、そして記憶に新しい東日本大震災。
繰り返しテレビで流された映像・・・流されていくたくさんの家屋、跡形もなく消え去った街、そして失われた多くの命。
決断を迫られる人々。
どう行動すべきか、自分や家族を守るために何をすべきか。
そして政治家もまた決断を迫られる。
リスクを恐れ瞬時に決断できない総理大臣、被害を最小に食い止めるために積極的に動く都知事。
何のために政治家になったのか、思いっきり問い詰めたい気持ちになった。
首都圏だけの問題ではない。
東海・東南海・南海地震の危険が言われるようになってかなりの時間が経った。
はたして防災対策は進んでいるのだろうか。
海 -
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自然の力は強大だ。
自然は人間に多くのものを与えてくれるけれど、同時に多くのものを奪っていくものでもある。
自然災害が起き多くの犠牲が出たときに一番よく聞くのは「予想外」という言葉である。
そして多くの命が失われる。
日本は多くの経験から治水対策が比較的しっかりしている国だと思う。
それでも堤防は決壊し甚大な被害を及ぼす。
自然災害において過去に学ぶことは多い。
1974年9月、台風で増水した多摩川堤防が決壊。
濁流に次々と住宅が流され、のちにドラマ「岸辺のアルバム」で家屋流出の実際の映像が使われたという。
決壊の原因が二ヶ領宿河原堰と断定した狛江市災害対策本部は、濁流の進路を変えるために堰 -
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首都崩壊 というよりも 首都移転計画。
東京に直下型地震が起こる という設定で、
国土交通省のわかき官僚 森崎が、
アメリカ時代の同窓生 ロバートのサジェスチョンで
日本の危機を救うという 物語。
若き官僚は、アメリカ留学の時に、
首都移転、小さな政府というのがテーマだった。
確かに、そんなことが
あり得るかもしれないという推定の上で、
官僚、そして 政治家、そのまわりに集まる
企業家、都市デザイナー。
そこには 政治家の都合が 優先する。
それでも 森崎は
アメリカのロバートの情報の提供や人脈のおかげで、
必要なポジションにたつことができた。
ここでは、村津のスケジュール力、実行力に -
ネタバレ 購入済み
人の想いが国を動かす
ややうまく行き過ぎな感じもしますが、細部にリアリティーがあり、うまく行き過ぎな理由への種明かしがあり、都市計画や世界経済の世界がストーリーのなかで無理なく理解でき、とても楽しめました。文献リストも参考になります。
そして、これだけの大事業を画策し、推進し、完遂させる力は、結局は人が人を大切に想う気持ち、それが原動力になるというラストには静かな感動を覚えました。
読んで良かったです。 -
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試し読み
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福島第一原発の事故については様々な書籍が出版されています。ところが、福島第二原発を扱った書籍はほとんど見当たりません。東日本大震災のあの日、ほぼ同じ立地状況で津波の遡上を受けた二つの原発のうち、福島第二原発はメルトダウンの危機を脱して冷温停止に成功し、現在も安定した状態に管理されています。
福島第一原発の状況と比較すると、いくつかの幸運があったにせよ、震災からの数日間は状況がどちらに転んでもおかしくない瀬戸際であり、さらに福島第一原発に世間の注目が集まる中で、ほとんど外部からの支援を受けることができない状況で見事に事態を収束してみせた福島第二原発。そこに従事ししていた関係者の証言をまとめた記録 -
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物語の舞台が沖縄の刑事小説って珍しいな〜と思って、
購入。
沖縄には過去に行った事があって勿論、ここに出てくる国際通りにも足を運んだ。日本だけれど、少し異国情緒がある場所、沖縄。
物語の冒頭からしばらくは主人公が追っかけている殺人事件をメインに進むので、これ、何が交錯なんだ?と思っていたら、その事件を軸に芋づる式で次々と新たな事実が発覚していって最後の方は相当、交錯している。
中でも沖縄の土地、軍用地を巡ってのあれこれに関しては小説なので多少の脚色はあるかもしれないが、少なからず興味深いものがあった。本土にいる人間としては普段あまり気に留めない事や、そこまで考えるに至らない事もここでは描 -
- カート
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試し読み
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福島第一原発事故に関する書籍は、
玉石混淆、様々に上梓され…、また、
今もなお、報道され続けていますが…、
福島第一原発(1F)から10km離れた、
福島第二原発(2F)に関する書籍は、
ほとんど見られず、地震発生当初から、
ほとんど報道もされておりません…。
それは、偏に、2Fが、
1Fのよぅな重大事故に至らなかった、
といぅ所以ではありますが…、
その裏には、奇跡的とも言える幸運と、
職員の懸命で献身的な努力があります。
本作品は、
2Fにおける事故対応の模様をまとめた、
ノンフィクションです。
作品の前半は、
地震発生から、全原子炉が冷温停止した、
5日間の様子が綴られています。 -
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迫りくる首都直下型地震。
それは東日本大震災の比ではなく、首都が被災すれば政府機能が停止し、日本経済、日本そのものの崩壊、そして世界恐慌への連鎖に至る。
日本国債の格付けは崩落、金融恐慌は目の前。
そこにつけこむ悪辣ファンド、その背後に見え隠れする中国の陰謀。
迫真に満ちた著者の筆力に圧倒され、読み手もその世界にはまり込む。
現実味を帯びた危機、その時、日本を救う手立てはあるのか?
著者は、首都移転に救いの道を見出す。
同盟国アメリカの手を借り、国交省のキャリアが活躍し、日本は救われる。しかし、これはあくまでフィクションの世界。
現実にはこのようにすんなりとはいかないだろう。
けれども、首都 -