高嶋哲夫のレビュー一覧
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前提として、世界人口は増大しており、最も大量の電力使用量があるカナダと同等の電力消費が世界中に発生したら、間違いなく電力は不足する。日本やアメリカは電力使用量の多い国ではあり、あまり実感できないかもしれないが、地球上には未だ未だ安定した電源が無く、頻繁に停電するような地域の方が多い。若い頃に様々な国を旅して感じたのは、そこそこの金額のホテルでさえ停電は頻繁にあったし、停電ごときで大きく驚いた経験もある。裏を返せば日本の電力の安定さは世界最高レベルだという事である。日本がかつて太平洋戦争に突き進んだ要因の一つに、資源の無い国家がその供給を停止させられた事にある。具体的には石油がアメリカから入って
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雑誌記者の笹山真由美は、若年性アルツハイマーを発症した父に付き添い訪れた病院で、知り合いの刑事を見かける。
その刑事がエレベーターで降りたところにはICUがあり、自宅火災で家族が亡くなり1人残された少女が複数の管に繋がれて意識不明のままいた。
事件を調べ始めた真由美は、少女が典型的なヤングケアラーだったことを知る。
事故で重度の障害者の兄と認知症の祖母を家事をしながら看護師の母に代わって介護していた少女が衝動的に3人を殺して放火したのでは…と警察はみていたが。
真由美自身も認知症が進む父をみながら彼女が殺害したことに違和感を感じていた。
彼女の友人やバイト先や学校、そして母親の勤務先の病 -
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ネタバレ高嶋哲夫の本にハズレはない。偶然本屋で見つけ、即買いした。
遺伝子工学者のカールはナショナルバイオ社副社長のニックの依頼で、古い肉片からエボラに似た未知のウイルスを発見する。この未知のウイルスが次第に蔓延していく…、生物兵器といったビジネスに使えると考える輩が…。
この小説は、単に未知のウイルス蔓延による人類滅亡の恐怖を描いたものではない。現代人は愚かにも、古代人が封じ込めた太古のウイルスを復活させようとして、自滅の道を進もうとしていることに対し、警告を与えている。
地球温暖化により、シベリアなどの永久凍土に異常が発生し、地下のメタンハイトレードが融け、気体となったメタン(なんと温室効果はC -
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帯に書かれた『TSUNAMI』や『首都感染』で未来を予言した作家の最新作という言葉に惹かれて購入。
温暖化の影響によって、永久凍土に封印されてきたウイルスが目を覚ますという設定は、なかなかリアリティがあり、興味深かったです。
また、ウイルスを生物兵器として利用しようとする人々の存在は人間の傲慢さを強調しており、経済的利益や社会的立場は横に置いて、どうにかしてウイルスを封じ込めようと猪突猛進する主人公たちの人物像を際立たせていました。
主人公達の活躍やウイルスの恐ろしさの描写も良かったのですが、
個人的にとても好きなのは、ロックダウンを余儀なくされた市の市長が、不安と恐怖からロックダウンに反 -
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高嶋哲夫『パルウイルス』ハルキ文庫。
未知のウイルスと言えば、まだ禍中にある新型コロナウイルスを連想する。中国の武漢から感染が始まった新型コロナウイルスは瞬く間に中国全土はおろか、世界に広まった。突如出現し、瞬く間に広まるのがウイルスの恐ろしさだろう。
本作はアフターコロナ後のアメリカとシベリアを舞台にしたバイオSF冒険小説といった作品で、登場人物に日本人の姿は無い。些かご都合主義的な描写が目立ち、テーマの割りにはストーリーにスケール感を感じられず、結末にも目を見張るものが無かった。
プロローグに描かれるシベリアの永久凍土で発見されたマンモスの遺体の発掘。このマンモスの遺体から未知のウイ