高嶋哲夫のレビュー一覧
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沖縄県警シリーズ 第2作目。ブルードラゴン。沖縄をベースにした危険ドラッグをめぐる物語。読み終わって感じたのは、勇気あるラブストーリーだ。サーファー刑事 反町の素直な性格が実にうまく描写されている。芯の強さがよく出ている。ノエルの父親は失踪することで、ノエルは父親探しをするために警官となる。ところが、その父親は、香港マフィア ブルードラゴンの頭ジェムソウだった。生きていてほしいと願いながら、悪への道に入り込んでいる父親に対して、敢然とたち向かう。父と娘の対決。そして、ノエルの友人だった安里愛海もハーフだったことで、ノエルが幼い頃から、友達として支えてくれた。その愛海に、反町は恋をするのである。しかし、愛海には隠された過去があった。
ブルードラゴンは、危険ドラックを吸引から錠剤に変え、そしてその錠剤は、凶暴性がまし、セックスに快楽を与える。安く裁くことで、その錠剤を使用したものは凶暴化し、人を殺す事件が多発する。その事件が、沖縄だけでなく、東京にも広がって行く。
沖縄の米軍基地の犯罪が、治外法権であり、軍人の犯罪も日本で裁くことができない。そ言う中で、危険ドラッグが、沖縄の米軍基地でも広がっている。ブルードラゴンのXデイとはいつか?そして、何を狙いとしているのか?
反町の愛海に対する想いが切ない。「女は魔物だ。何を考えているのかわからない。」と言うことだ。さらに、ノエルの父親への心情。
沖縄と犯罪を絡めてのラブストーリー。ふーむ。切り口が面白い。 -
Posted by ブクログ
書棚に買った覚えのない本があった。それが本書。君はどこから
来たのかね?ちょっとミステリアスである。
と言っても、本書はミステリーではなく災害小説。主人公は元
陸上自衛隊のパイロット。3年前の南海トラフ大地震で妻と長男
を失い、唯一生き残った長女との間には確執がある。
自衛隊を辞め、富士山を臨む高齢者介護施設の施設長を務める
主人公の元に、新聞記者となった高校の同級生から情報が入る。
近く富士山が噴火する。
入居している高齢者全員を、いかに安全に避難させるか。主人公
は最悪を想定して、最善の手段を取る。
日本の象徴である霊峰富士。過去に何度も噴火を繰り返し、現在の
姿になった。優美な山容を見せる富士山は、活火山である。なので、
本書のテーマとなっている富士山噴火は絵空事ではない。
遠くない将来、富士山が噴火したらどうなるのか。富士山の歴史や
火山がどのように噴火に至るのかの過程、注意しなけばけない前兆、
火山灰が降ったらどのようなことが起こるのか等を織り交ぜながら、
大規模災害と対峙する人々の姿を縦軸して、主人公の家族の再生を
描いている。
実際、内閣府のホームページでも富士山噴火を想定したハザード
マップなどが公開されている。しかし、それを前提とした防災訓練
が首都圏でなされていると言う話は寡聞にして聞かない。
怖かったんだよね、映画「ボルケーノ」を観た時も。この映画は
都市部で地震による火山活動が始まり、溶岩流が襲って来るとの
設定だったか。
富士山が噴火した場合、首都圏にまで火砕流・溶岩流は襲って来ない
のだろうが、広範囲が火山灰に覆われる。そうして、火山灰によって
停電などの様々な不具合に見舞われる。
もし、富士山の噴火が台風や豪雪と重なったら?と、読みながら悪い
方向へと考えてしまった。余計に怖い思いをしてどうするよ、自分。
ストーリー展開のスピード感もあり、ぐいぐいと読ませる小説だった。
「想定外」。東日本大震災と福島第一原発事故の際に、何度も聞か
された台詞だ。万能な言葉だが、想定外にならぬよう最悪を想定し、
最善を尽くすのが防災なんじゃないかな。 -
Posted by ブクログ
"首都直下型地震、M8(マグニチュード8)クラスの地震が発生。
地震の予知の科学的根拠、現在の学問的な位置づけ。
行政の対応。交通網への影響。火災発生のメカニズム。
など、小説の中で語られる。
個人の地震への備えについては多くは語られていない。
行政に携わる人には参考になるだろう。
この小説は文庫本の末尾には2007年8月が初版。
3.11以前に書かれた小説。3.11東日本大震災を経験した後に読むと被害想定を実感をもって想像できる。
この小説では原子力発電所については触れていない。
放射能についての正しい知識も我々が学ぶべき事柄になった。
小説として楽しめ、防災意識の啓蒙にもなる。"