自然の力は強大だ。
自然は人間に多くのものを与えてくれるけれど、同時に多くのものを奪っていくものでもある。
自然災害が起き多くの犠牲が出たときに一番よく聞くのは「予想外」という言葉である。
そして多くの命が失われる。
日本は多くの経験から治水対策が比較的しっかりしている国だと思う。
それでも堤防は決
...続きを読む壊し甚大な被害を及ぼす。
自然災害において過去に学ぶことは多い。
1974年9月、台風で増水した多摩川堤防が決壊。
濁流に次々と住宅が流され、のちにドラマ「岸辺のアルバム」で家屋流出の実際の映像が使われたという。
決壊の原因が二ヶ領宿河原堰と断定した狛江市災害対策本部は、濁流の進路を変えるために堰の爆破を決定。
「東京大洪水」にも似たような場面が登場する。
決断を迫られる人々の間にはさまざまな思惑が交錯し、緊迫した場面となっていた。
はたして人間に自然災害の危険を予測することが可能なのか?
防災措置を行う(決定する)人たちには、常に最悪の状況を念頭に置いてほしい。
「予測できなかった」「予想外だった」では済まされないと思う。
専門家にしかわからない分野にたずさわる人たちには、プロの専門家としてのプライドと責任感を持って仕事に向き合ってほしいと思う。
目の前で進んでいくリアルな自然災害の恐ろしさ。
決断を迫られる玉城と恵子。そして伸男。
一瞬の判断ミスが簡単に奪っていく。
「大丈夫、決壊なんてするわけない」
「ここまで被害が及ぶわけがない」
こうした思い込みが一番怖いのかもしれない。
避難したあとで何もなかったら「何もなくて良かったね」と笑いあえる。
それでいいのだと思う。
「あのときに避難していればよかった」と後悔することだけはしたくない。
子どもたちが無事だったことにホッとした。
玉城のような知識と想像力のある専門家。
真摯にプロの意見に耳を傾けることのできる政治家。
いま、この瞬間に何をすべきかを判断できる救助のプロたち。
地震、津波、大洪水と続いた災害3部作。
どれもがけっして他人事ではない。
日本に住んでいる以上、地震はどこに起きてもおかしくはない。
沿岸部に住む人たちにとっては津波は現実的な脅威だ。
その瞬間、どうしたら自分の身を守れるのか。家族を守れるのか。
忘れた頃にやってくる災害に対して、けっして忘れてはいけないこともあるのだとあらためて感じた。