高嶋哲夫のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
首都直下型地震発生のシミュレーション小説。
阪神淡路大震災後、東日本大震災前に書かれた物語。
阪神淡路大震災を経験した3人が首都直下型地震発生に対してどう行動していくかが描かれています。
前半部分は、そのうちの一人、ポストドクターが首都直下型地震の発生を予知します。そして、その内容をどうやって、世の中に知らしめるのか?が語られていきます。
後半部分は、実際に地震発生後の世界が語られます。
さまざまな人が地震発生後どのように行動していくのか、そして、主人公たち3人はどうしていくのか?が語られます。
まず、一番の山場は、地震発生予知でしょう。
ポストドクターが予知した地震について、どうやって政府にインプットするのか?その予知を信用するのか?
予知したとしても、実際に非難指示を出すことができるのか?そんなジレンマが描かれています。
結局、都知事がその予知を信じて行動を起こしたことにより、東京での被害を最小限におさえることになります。
地震予知とその報道、対処の難しさの課題を突きつけられたという感じです。
最近では自然災害に対しては、テレビでも緊急の避難を呼びかけるなど、対処ができるような風潮がでてきているような気がします。
そして、後半の山場は、地震発生後の2日間。
リスクをすべて飲み込んで対処に当たる都知事のリーダシップと、後手後手に対策が遅れる政府の両極端の対応が特徴的です。また、この2日間、どのようなことが発生し、どう生きるかが、いろんな人の視点で描かれています。
この後半部分については311を思い出しました。
311をはじめ、その後も熊本地震など、さまざまな大きな地震が発生しています。
いつか来るであろう東海・関東地域の地震に対し、備えだけはしておかなければと思います。 -
Posted by ブクログ
「M8」で首都直下型地震、「TSUMANI」で巨大津波、「東京大洪水」で巨大台風による都市災害を災害シミュレーションとも言えるリアリティで描き切った高嶋氏が本書で描くのは、災害リスクによる経済の破綻です。
『東京を首都直下型地震が襲う可能性が5年以内90%以上という研究成果が発表されます。このリスクに対して効果的な対策が講じなれなければ、日本国債の暴落、極度の円安、そして株価の暴落が引き起こされ、日本がデフォルトとなる現実が目前に迫ります。この機に乗じて国際ファンドや某大国が日本への経済的攻撃を仕掛けて来る中、首都直下型地震のリスクを回避するには首都遷都しかないと、官僚や政治家が動き出します。果たして彼らの遷都プロジェクトの進捗は、国債ファンドの仕掛けによる国家破綻と、首都直下型地震の発生に対して間に合うのか…。』
本書の中でも指摘がありますが、阪神大震災、東日本大震災からの復興は必ずしも迅速ではなかったにせよ、首都機能に大きなダメージが無かったことが救いとなって進めることができたことは否定できません。今ほど東京に政治的、経済的、文化的なウェイトが集中している状況で、その首都機能が壊滅したら…という想定に対して首都遷都という回答が決して現実離れしていない選択肢であると納得させられます。
国際金融の裏舞台をこの小説を通じて垣間見ることができる、リアリティー十分な大作です。 -
Posted by ブクログ
日本人作家が、アメリカ合衆国の陰謀をテーマに書く。これだけでも十分野心的であると言える。テーマもアメリカンスリラーの王道である権力と陰謀。かなり、書き込まれている。物語は、アメリカ大陸の東海岸と西海岸のそれぞれで展開する。ある老人が託した原爆の開発手記の新聞記事にウラン238から核分裂をおこす理論が掲載され政府に激震が走る。時を同じくして東海岸では大統領の補佐官の不審な死に対して大新聞であるワシントンポストから署名記事が掲載される。この二つの話は、やがて縺れ合い、大統領側近の陰謀の影が見え隠れする。上下巻にして結末に至る過程を丁寧に書き込めば、もっとよくなる気がした。佳作