あらすじ
日本には地震予知のための組織が大きく分けても6つある。毎年、膨大な予算がつかわれる。しかし、マグニチュード7.3という巨大地震が予知された例は、いまだ世界にひとつしかない。1975年、中国遼寧省の地震ただひとつである。事前の警報はないと思ったほうがよい。そして、予知組織の発表する楽観的被害予測に惑わされることなく、自分の命は守らなくてはならない。本書にはそのための「よすが」となる貴重な情報と教訓が込められている。【目次】はじめに/(1)東京を襲う巨大地震/(2)巨大地震のあとに―湧き起こる多くの問題―/(3)海溝型巨大地震/(4)津波/(5)防災と減災/(6)政府が行なっていること/終わりに
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Posted by ブクログ
阪神淡路大震災や新潟中越地震、スマトラ地震などを
引き合いに出し、巨大地震が起きたときにどんなことが起きるのか、
どうすればよいのかなどが書かれています。
大震災が起こる前に読もうと思っていた本です・・・。
恐らく、”M8”や”津波”を書き上げる際に集めた取材資料を、
そのまま眠らせておくのは忍びないし、小説では全ての素材を
使い切れなかったので、別の本として出版したと思われます。
作家のオフィシャルHPでは、”震災啓蒙関連”と紹介されています。
地震のメカニズムなども触れているのですが、震災後の問題点や、
阪神淡路大震災で問題となった警察、消防、自衛隊の初動遅さのことや
官邸に上がってくる情報の遅さなども指摘されています。
当然、今回の大震災でおきた津波についても言及されていました。
宮城県沖での事も・・・。
宮城県沖・三陸沖の地震の発生確率は30年以内だと99%言われていたと
書かれていました・・・。
(出典不明ですが地震調査研究推進本部の発表だと思います。)
そう言われていたのに、この事態・・・。
明らかに政府の怠慢と言えることですね。
その象徴とも言えるのが、地震予知やら地震○○委員会などが乱立して、
多くの予算を使っているのにも関わらず、今回の地震・津波に関しては無策・・・。
恐らくこの地震○○委員会は”東海地震”のみにしか興味が無いということですね・・・。
存在する意味が無い・・・。
著者は、この手の地震に関する委員会や組織に加え、台風、火山噴火などの自然災害、
原子力などの災害に対応や広報を行い、基礎研究なども行える、
日本版FEMA(アメリカ合衆国連邦緊急事態管理庁)を設立すべきだと提唱しています。
・・・”津波”、”ジェミニの方舟”などの小説の中では設立されていますが、やはり
利権の絡みで、○○委員会と横並び・・・。
合理的だし、良いとは思います。
その他には復興に関わる”お金”に関することもあげていますね。
復興関連では、仮設住宅問題です。今回の震災でも仮設住宅が不足している
事が問題になっていますが、もっと民間の損傷なく残った賃貸物件を活用するべき
と提唱しています。
また、土地は残っているが、建物が倒壊、損傷して住めない場合は、
個人所有の土地に仮設住宅は建築しても良いのではと提唱しています。
個人の土地に仮設住宅を建築するのは、”個人の資産を税金では補えない”からだそうです。
これには納得する部分は無くは無いのですが、仮設住宅は、使用しなくなると廃棄や海外に
廉価で売ったり貸したりしているそうです。
結局廃棄するならば、個人の土地に仮設住宅を建設するというのには賛成ですね。
(建築効率は悪くなるでしょうけど・・・。)
政府や行政や法律の不備だったりは今後の政治家に任せるしかないのですが、
(有権者としての権利を行使することは出来ますけど。)
自分たちが住む土地に起きた過去の出来事、”地震・津波・水害等”を調べること、
家の耐震強度を確認することなんかはすぐに出来ることだと思います。
過去の出来事を調べることで、災害時にどんなことが起きるか想定できますし、
耐震強度が弱ければ補強することも可能です。
また、避難場所へのルートの確認も重要です。
細い路地などは、家屋の倒壊、壁の崩落などで通行できない場合もあるので、
複数のルートを確保しておいたり、ここは危険かもなんてことも事前に確認しておけるので。
・・・これらも著書からの意訳引用ですが・・・
長々書いてきましたが、この本は一度読んでおく価値ありだと思います。
ちなみに、南関東地震は2036年までに70%の確立で発生するそうですし、
東海地震80%東南海地震60%南海地震50%の確立です。
この数字高いと思いますか?、それとも低いと思いますか?