高嶋哲夫のレビュー一覧
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前半は地震予知研究がテーマ。
先日岐阜大のH先生も、もう地震予知は研究自体畳んでいるんだな的なことを書いていた。そう、きっと予知まではきっとできないんだろうと思っているが、「仮に予知ができるとしたら(or世の中が諦めてないとしたら)」的なフィクションとして読む面白さということかな。
※加えて、やっぱり洪水対策はある程度「予知」ができる点で、全然違う現象だよなと改めて思い知った。そういえば以前に面接で「一週間後に洪水が来るとわかったら、何をする?」ってきいたこともあったな(今思っても良い質問だ)。
後半は、発災後の惨状や対応の様子が並ぶ。確かに、(数多のレビューにもあるとおり)被害のリアリティーには驚くことも多い。特に、沿岸部の石油貯蔵タンクの爆発を止めるために上空から決死の放水をする下りは、福島の原発事故をまさに予見していたかのようでさえある。
名大のF先生の「見たくないものを見る」にも通じるリスクだし、こういうイマジネーション豊かな作家の作品は、実際に地震災害の対策を考えるうえでも役に立つかもしれない。
そう、一国民として言えば、タイムラインもしくは目黒巻的な効果さえありそうなのである。
トイレに逃げ込むのが意外に安全、とか、サバイバルのための考えるヒントがある。
政府の対策を考えるにあたっては、どうだろうか、、一石を投げた側面のしては、予算を投じての事前防災の意義や、交通の計画運休、職員の増員、など。。
少なくとも、洪水は地震と違って「予知」ができるのだ。 -
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ネタバレ作者の高嶋哲夫は、岡山県玉野市出身。玉野市にはゆかりがあるので、親近感がわきます。
主人公の玉城は、台風の研究者。玉城の妻は、マンデベに務める建築士。
お話は、想像通り、玉城が予想する通りの災害が発生し、玉城の妻が手掛けるマンションに危機が迫る、というもの。マンションが倒れるか、倒れずにかえって人気が出てたくさん売れるか、どっちかだろうな、という想像も的中しました。
それにしても、この作家さんが題材にするものは、よく取材がされています。「首都大感染」もそうでしたが、とてもリアルです。東京は2019年の台風で大きな被害にあいました。その時、荒川・隅田川下流域は危機的状態でしたが、それを思い出しました。
この小説では、玉城が大活躍して、水害の被害を最小限に食い止めます。ただ、水の前に人間は無力です。こんなにうまく重機や土嚢で堤防を補強したり、地下鉄の出入り口をふさいだりできません。十分な準備なしでこれだけの規模の台風がきたら、信じられないくらいの被害がでていたでしょう。やっぱり事前の準備が一番大切です。 -
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久しぶりに作者のパニックものを読みたくて、手に取った一冊。
石油を生成するバクテリアを発見し、実用化に向け、研究を進める研究者・山之内を巡るサスペンス。
アメリカのメジャー、アラブ諸国のOPEC、日本政府…世界はいつでも石油に飢えている。そんな中、洞窟の中から採取した土壌から発見した細菌には、石油に似た物質を生成する性質を持っていることを発見した山之内。
彼は過去に研究に熱する挙句、研究室で爆発を起こし、自分が教えていた学生たちを死に追いやっていたことを悔いながら生きていた。
そんな山之内が民間の研究施設に移り、もうすぐ実用化出来るところまで来ていたが、その情報が企業スパイにより、あらゆるところに情報が漏れ、命を狙われることに。
普段であれば、専門的な話は序盤で終わり、中盤でパニック的な展開で一気に読むところだが、今回は一貫して専門的な分野で攻めていて、読むペースが上がらない。
結局、登場人物が多すぎて、誰がどこの組織の人間か分からないし、期待していたほどのパニックものでもなく、内容も微妙で残念… -
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面白かった、そして怖くなってしまう!
昨年、関東を直撃した令和元年東日本台風(台風19号)を思い出します。
自然災害パニック小説3部作(M8、TSUNAMI、東京大洪水)の3番目に位置付けられている物語だそうですが、時系列でいうと2番目に読むとよいそうで、偶然にもその順番で読んでいます(笑)
M8の登場人物が再登場しています!
ストーリとしては、
大型台風23号と24号が合体して東京へ上陸。
荒川の氾濫による東京水没をどう防ぐかのディザスターパニックエンターテイメント。
まず前半ですが、M8同様に、その災害を予知しながらもどう伝えるかがポイント。
主人公玉城のチームはコンピュータシミュレーションで23号と24号が合体し、首都圏を直撃するとの予知し、気象庁に危険を知らせるものの...という展開
多くの人に影響を与える災害予報情報を出せるのか?
そして、実際に国や都、区は対応ができるのか?
そして、後半は、台風直撃での防災。
どう水害を防ぐのか?
といった緊張、緊迫感のある展開です。
ちょっと、ありえない展開があるのも事実..
その辺は差し引いてでも、水害の恐ろしさ、対応の難しさ、そして実際の対応がひしひしと伝わってきます。
その中、もう一つのストーリが、玉城の家庭の問題。
一級建築士の奥さんが立てている高層マンションは台風に耐えられるのか?
奥さんと子供、年老いた母親、玉城の弟、など、家族はどうなるのか?この災害を通して家族の絆についても語られていきます。
そして、やっぱりいるんですよね。避難しろって言われていながらも、避難しない人たち。
そして、避難先で文句を言う人たち。
そういう人たちもリアルに描かれています。
未曽有の台風の中、都民は、家族は、どうなるのか?というハラハラドキドキの物語でした。
しかし、最後はちょっと尻つぼみ。もうちょっと展開があってもよかったかなっと。
最近集中豪雨が多い中、必読の物語。
自分の身は自分で守ろう
お勧め -
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高嶋哲夫『紅い砂』幻冬舎文庫。
国際紛争小説。随分とアメリカを美化していることに驚かされた。作品としては平凡過ぎるほど平凡。
中米の小国コルドバでは独裁政府による弾圧と麻薬組織の犯罪激化により難民流出が絶えず、アメリカとメキシコの国境ウォールに難民が押し寄せる。対するアメリカ軍は難民数百人を銃殺する。当時、軍を率いていたジャスティス大尉は虐殺者の汚名を着せられ、軍を追われる。家族も仕事も友人をも失い、酒に溺れる日々を過ごすジャスティスにコルドバの独裁政府討伐のミッションが持ち掛けられる……
全くハラハラする所も無く、予想通り、予定通りの展開と結末。実際のアメリカは自国の軍事関連産業の繁栄による経済発展を目的に他国に軍事介入しているのに、本作では正義のためにというから驚いた。主人公の名前がジャスティスというのも臭過ぎる。
本体価格790円
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シリーズ第4弾。
前作が最終巻かと思っていたが、まさかの第4弾。
一応、これが最終巻とあとがきにも書いてあってので、本当にこれが最終巻なのだろう。
今作では沖縄が抱える基地問題をメインに描かれる。
辺野古の埋め立て地近くで見つかった水死体。自殺なのか、他殺なのか。捜査を進めるうちに、沖縄の深い闇に近づいていってしまう反町達。
実際に沖縄で起きた現職知事の死去による知事選など、時事ネタも挟みつつ、物語は進む。
本土の人間には分からない沖縄ならではの問題を、主人公を本土の反町で設定することで、現地の人々との心の温度も上手く描いていた作品だったと思う。
前作の感想でも書いたが、1年も経った事件の再捜査が認められるなど、不穏な動きもあった沖縄県警。その謎も今作では明かされる。
意外な黒幕にかなり動揺したが、そこまでしなければならない沖縄の深い問題。これまであまり気にしたことがなかった沖縄の問題を身近に感じることが出来るようになるきっかけになった作品だった。