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米軍普天間基地移設問題に揺れる辺野古で水死体が発見された。東京の建設会社社員だと判明し、一気に全国から注目を集める事件に発展。さらに、沖縄県警捜査一課の反町らが捜査を進めるなか、県知事が急逝する事態となった。事件を追うごとに、反町は沖縄の“真の闇”に近づき、日本政府をも転覆させるほどの戦後最大のタブーに迫ることに。この島に未来はあるのか──。沖縄県警シリーズ、完全決着!
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Posted by ブクログ
辺野古基地の埋め立てしている海岸で、スーツ姿の男の水死体が発見されたことから、物語が始まる。身元がわかるものは一切持っていなかった。事故、事件なのかで、県警と名護署の捜査が始まる。サーフィンが趣味の県警の反町刑事が、殺人と確信して、犯人を探そうとする。 その水死体は、本土のリゾート開発などの建築会社...続きを読むであり、沖縄の機密を知っていることで、殺されたことがわかってくる。辺野古基地の埋め立てに反対する知事の急死。知事は殺されたのか?そして、県知事選挙が始まろうとしていた。 茶髪の名護市会議員島袋理沙。漁師の父親を手伝い、美しい海を護ることが大切だと声をあげ、そのまま市議に当選して、沖縄の歴史を猛烈に勉強する。なぜ、海を埋め立ててまで辺野古に新しい基地を作るのか?陸地であれば、建設費は少なくてもすむ。そこには、砂利利権があり、土建利権があり、そこに群がる政治家、企業がある。建設予定地の土地を買う本土の政治家さえあった。さらに、官房機密費によって、不正などが横行する。 「沖縄は、ただ綺麗な海と空の楽園ではない。江戸時代のずっと前から、血と涙と汗の歴史である。」「沖縄の未来を日本政府に任せない。これ以上、美しい海を埋め立てさせることはしない」と島袋理沙は、県知事に立候補するのだ。 現在は、政府主導の補助金依存体質、ごね得体質の継承であり、米軍基地もそのまま温存されている。そういう中で、美しい海を護るという主張が活きてくる。 沖縄は、中国人が真珠のように美しい島、瑠璃に輝く島という意味を込めて「琉球」と呼んだ。 ポルトガル人は、琉球を「レキオ」と呼び、そこに住む人たちを「レキオス」と呼んだ。 レキオは、ポルトガル語で扇のかなめという意味にもなる。 島袋理沙は、沖縄の民として、レキオスとして生きる道を切り開こうとするのだ。 沖縄を見る視点が、よく整理されていて、ブレない島袋理沙を生み出している。 様々な沖縄論がある中で、このような物語を仕上げるのは、根気のいる作業とも言える。著者は原子力研究者から、メルトダウンで、作家に転じた。沖縄の情報をよく集めて、物語を紡いでいる。沖縄を愛している想いがよく伝わる。
シリーズ第4弾。 前作が最終巻かと思っていたが、まさかの第4弾。 一応、これが最終巻とあとがきにも書いてあってので、本当にこれが最終巻なのだろう。 今作では沖縄が抱える基地問題をメインに描かれる。 辺野古の埋め立て地近くで見つかった水死体。自殺なのか、他殺なのか。捜査を進めるうちに、沖縄の深い闇に近...続きを読むづいていってしまう反町達。 実際に沖縄で起きた現職知事の死去による知事選など、時事ネタも挟みつつ、物語は進む。 本土の人間には分からない沖縄ならではの問題を、主人公を本土の反町で設定することで、現地の人々との心の温度も上手く描いていた作品だったと思う。 前作の感想でも書いたが、1年も経った事件の再捜査が認められるなど、不穏な動きもあった沖縄県警。その謎も今作では明かされる。 意外な黒幕にかなり動揺したが、そこまでしなければならない沖縄の深い問題。これまであまり気にしたことがなかった沖縄の問題を身近に感じることが出来るようになるきっかけになった作品だった。
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沖縄県警シリーズ
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高嶋哲夫
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