高橋健二のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「早春」「クヌルプの思い出」「最期」の3編から成る。
年上の初恋の娘に裏切られた時から、クヌルプの漂泊の人生が始まる。旅人となり放浪する彼は、自然と人生の美しさを見いだす生活の芸術家となり、行く先々で人々の生活に灯りをともす。肺を病んで雪の中で倒れ、人生を後悔する彼に、神は彼らしく生きたと語りかける。
「早春」「クヌルプの思い出」と読み進めていて、この話の何が名作なんだろうかと、正直疑問に思った。クヌルプは、私には、わがままで厚かましく、自己中心的が過ぎるような気がした。誰もが彼を好いて、きれいな子供が屈託なく生き進んでいるかのように評し、放浪している彼に喜んで手を差し伸べている。それがなぜだか理解できなかった。
そのもやもやは最後までやはり残るが、「最期」の編を読むと、彼がいかにして絶対的な孤独を好むようになったのか、自然に包まれながらさすらうことを望むようになったのかが描かれていて、私にとってやや愛すべき人に変貌していき、独り死んでいく彼を憐れむ気持ち、慈しむ気持ちが不思議と湧いてきた。
クヌルプの死の場面は、この上なく美しい。子供の頃、フランダースの犬のネロとパトラッシュが天に召される場面を知った時の、深刻で強烈だった感覚と似ていた。
☆神さまとクヌルプは、互いに話し合った。彼の生涯の無意味だったことについて。また、どうしたら彼の生涯が作り変えられ得ただろうか、ということについて。なぜあれやこれやがああなるよりほかなく、なぜ別なようにならなかったかということについて。
あるがままでいいんだ、何も嘆くことはない…何もかもあるべきとおりなんだ。
あの時こうしていれば、など、時々立ち止まって深い後悔に打ちひしがれたりは年を重ねれば誰しもあることだけれど、何もかもあるべきとおりなんだ、と大きいものに肯定されたようだった。 -
Posted by ブクログ
最近ショーペンハウアーの本を読み、ゲーテの引用が多くあることに気がついた。調べてみるとショーペンハウアーはゲーテとの出会いに「生涯で最も幸福だった出来事」の一つとして数えているらしい。
相当親しい友好関係を築いていたのだろう、数多く引用があったことから考えが似ているのだろうと思い読んでみた。
この本はゲーテの思想を手軽に知れる本。深く知りたい方には物足りないが初心者にはお勧めだ。
内容は各テーマごとに短い文や詩が記されており、短い文ながら的を得たものが多くある。中には理解し難いものもあるが、そういったものは気にせず読み飛ばして良いと思う。
難解なものは後にもう一度読み返した時理解できれば良い。それより重要なのは収録された文で気になるものがあれば、それについて理解するまで深く考えることでは無いだろうか。
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Posted by ブクログ
▪️印象に残った言葉やシーン
荒野のおおかみの論文に書かれていた「ハリーが一つないし二つの魂あるいは人格から成り立っていると思うのは空想に過ぎない。人間はみな、十、百、千の魂から成り立っている」。
ヘルミーネがハリーに対して言った「あんたは精神的なものが高く発達しているかわりに、いろいろな処世術が酷く遅れている。思想家ハリーは百歳だけど、踊り手ハリーは半日そこらの赤ん坊。同じくらい発育の悪い小さな兄弟たちも含めて、これから私たちが育てていく」。
ハリーの人格や魂が分裂してできた、老人、青年、女性、強いの、弱いのなどの多数の駒が、将棋盤の上で遊んだり、戦ったり、同盟を組んだり、結婚したりするシーン。内面にある多数の魂が互いに調和したり、押さえつけたりする様子を表しているのだと思う。
▪️感想
自分を振り返ると、日々真面目なことしかしていない。この本を読んでから、身の回りにたくさんある楽しいことに目を向けて、積極的に楽しんだ方が良いと思うようになった。