【概要書き殴り】
聡明で幼気な少年を、豊かな自然の生活から引き離し、功名心に駆り立てることで神学校に送り込んだ大人達。規則まみれで高慢な神学校の教師達。
道半ばで心を病み郷里に帰った少年と親しく交渉する者もない。
年上の娘の気まぐれに恋心を翻弄され、御し難い青年への過渡期に苦しむ。
誰よりも優秀だっ
...続きを読むた少年は、結局は同級生達の誰よりも遅く見習い工になった。
務め人の快い苦労と仲間との交流、酒やタバコの大人の街遊びにも参加した挙句、酔いだけが原因か、川に流され物言わぬ体に成り果てる。
【感想書き殴り】
ヘッセの自伝的小説であり、周囲の大人達へのルサンチマンや少年の傷つきやすい心の機微を描き出した物語は、あえてこの本を大人になって読むような若者である自分には共感を与えた。
いっそのこと自分も川に落ちたい気持ちすら湧く。
しかしヘッセは物語の主人公とは違い、自らに使うピストルを2度も買うような危機まで経験するも、持ち直して大人になっていく。(訳者解説より)
ヘッセにとっての詩作、小説書きのように、自分にとっての人生の取り組みは何であろうか。日々をブルシットな仕事に費やし、酒とタバコに気を紛らわせる人生だが、気が向いた時に本を読み自分と向き合う作業はせめて続けていきたい。
教育の車輪に強く轢かれはしたが、通り過ぎた車は振り返ることはない。傷と知識とを残された自分は足で進むしかない。