高橋健二のレビュー一覧
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のっけから
「今日では、人間とはなにか、を知っている人はほとんどいない。しかしそれを感じている人はおおぜいいる。それで、その人たちはほかの人よりは安らかに死んでいく。ちょうど私がこの物語を書き終えたら、いくらか安らかに死ねるように。」
と書かれ、ちょっとさせられる。本編は戦争中に執筆された。
「われわれはみんな同じ深淵から出ているのだ。しかし、みんな、その深みからの一つの試みとして一投として、自己の目標に向かって努力している。われわれはたがいに理解することはできる。しかし、めいめいは自分自身しか解き明かすことができない。」
タイトルの少年が主人公かと思われるが、主人公はエーミール・シ -
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ネタバレ## ひとことまとめ
模範少年ハンスの苦しみと、美しい自然
## 感想
周りの大人の期待に翻弄されて、頑張りすぎて壊れてしまうハンス。
大人もハンスも含めて、こういう人は今も、むしろ今の方が増えているかもな、と思う。
競争はますます激しくなり、人は疲弊し、しかし世の中では争いは絶えない。
誰かに勝つこと、しかもそれが自分でなく自分の子どもを勝たせて悦に入ることが、どれだけの人を幸せにするのか。
少なからず、自分の子は幸せではないのではないか。
人には、その時々にしかできないことがある。
それをしっかり楽しみ味わうことを怠ると、後からは取り返せないことが多い。
自分の子どもには過度な期待を -
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ネタバレ幼年時代に属していたのは道徳的で明るい、アベルの世界。クローマーはそれと対照的な闇の世界にシンクレールを引き込むが、本当の意味で対照的なのは、そのクローマーからシンクレールを救ったデミアンの、カインの世界なのか。
デミアンの神は、善と悪を併せ持つ神。道徳的でないものを排除するのではなく、清濁併呑のアプラクサス。平和に道徳的に生きるアベルと違い、カインは来たるべきものに備え、必要とあらば平和から人々を追い出す準備をしていた。そのカインのしるしをもつ者は、新しいもの、孤立したもの、来たるべきものを自然に受け入れる準備がある。その準備とは「私たちのめいめいがまったく自分自身になり、自分の中に働いてい