高橋健二のレビュー一覧

  • 荒野のおおかみ
    1927年(昭和2年) ヘッセが50歳の時の作品。
    同じ年に紀行『ニュルンベルクの旅』を出版。
    フーゴー・バルがヘッセ50歳の誕生記念に最初の伝記『ヘッセ伝』を出版。その直後バルは41歳で逝去。
    ルート・ヴェンガーと離婚。

    心は自分が全てと繋がっていることを知っている。
    目の前のことに集中している...続きを読む
  • 荒野のおおかみ
    1927年にドイツで発表された作品。
    第一次世界大戦を省みるどころか、再び戦争に向かおうとしている社会を疑うこともなく生きる市民を批判する「アウトサイダー」の立場(おおかみ)の立場をとりながらも、まぎれもなく市民的行動の一部に加担している自分の葛藤が描かれています。そしてそんな自分は自殺によってし...続きを読む
  • ゲーテ格言集
    中途半端な自己啓発本を読むよりか自分でイメージするので、マニュアルの型は無い。そもそも昔に出版された格言を寄せ集めただけのものなので、良く言えばシンプル。悪く言えば地味。しかし、自分はこの本に何度もいろいろ考えさせられてきた。座右の書でもある。
  • クヌルプ
    ヘッセの作品の中で一番好きで何度も再読しています。
    幸福とは何か、読むたびに微妙に違う感想を持ちます。
  • ゲーテ格言集
    マジにちょっとえげつない人。自然と一体化している。全体構想を行う哲学者は幾らかいるが、芥川などはこの人を格別視した。大きな所から降ろしてくる、真ん中の言葉。「天才も不滅ではないことほど、凡庸なものにとって慰めになることはない」。ファウストは読みかけ。
  • 青春は美わし
    高校生のうちに読みたい!!!と思って。すばらしかった。”小さい中庭の上にわずかな空が弱い金色の火に燃えていた。”なんて、自分には一生そんな文章は書けないな、と絶望。
  • 荒野のおおかみ
    共感しすぎて初めて読んだ気がしない本。

    それでいて先人は刺激的で、まだ見たことのない世界まで連れて行ってくれる。現実の日常でもなかなか得られないような交流が、本を介して作者との間に生まれるのだから、作者の力にただただ頭が下がるばかり。体の奥から勇気が湧いてくる。

    もっと頑張ろう、楽しもう。一度き...続きを読む
  • 春の嵐
    報われるあてのない努力でも、心から離れない限り無力に終わることはない。

    クーフの作詞家は「ハンス・H」。「車輪の下」のハンスを救済した?そうだといいな。
  • ゲーテ格言集
    考える人間の最も美しい幸福は、究め得るものを究めてしまい、究め得ないものを静かに崇めることである。(「格言と反省」から)
  • クヌルプ
    陽気な愛嬌者が、誰も知らない心の奥底に持つ孤独。ラストの美しさが際立ちます。なぜか毎年、夏が来ると読みたくなる。ヘッセの夏の描写は秀逸。
  • 知と愛
    人の一生分の愛、苦悩、不安、情熱、絶望、戦いをみてしまったようです。
    知と愛どちらかの道しか歩むことができないんだろうか。
  • 郷愁
    ヘッセの自叙伝と言える作品です。
    新緑を思わせる歓びと、暗く、重いねずみ色の憂鬱―。彼の人生はこの二つの繰り返しではなかったでしょうか。

    苦い恋の経験も、彼が大酒のみであることも、彼への親しみを増させています。共通するものを持っている人は読むべきでしょうw

    短い作品です。一日で一つの人生を体感で...続きを読む
  • メルヒェン(新潮文庫)
    まさにオルゴールのような短編集。小さな箱を開けると、懐かしさとともに封じられていた世界の秘密が鳴り始める。

    特に忘れられないのが「アウグスツス」と「アヤメ」。
  • 幸福論
    あらゆるものから自由であり得た子供時代の貴重な体験を回想しながら、真の幸福とは何かを語る『幸福論』をはじめ、人間として文学者として、幾多の危機を越えてきたヘッセが、静かな晩年に日々に綴った随想と小品全14編を収録。

    ヘッセの随想録ということで、彼の生活を少し垣間見ることができたかのように、とても読...続きを読む
  • メルヒェン(新潮文庫)
    ヘッセの短編集。
    特に『笛の夢』が好き。
    暗い話なのか明るい話なのか、夢が真実で真実が夢なのか、分からないことだらけ。
    笛とか歌の上手な女性は何を寓意しているのだろう。
  • メルヒェン(新潮文庫)
    「Märchenの中の Augustus と Iris は Hesseの書いたものの中でもっとも美しいもので、いわばHesse文学の縮図とも言える」郁文堂 Irisあとがきより

    生きるための支えになる本。私はつねにこの文庫をカバンに入れている。500円硬貨でお釣りの来るこの本が私の歩みを後押しして...続きを読む
  • ヘッセ詩集
    高校の時教科書で一文を知り、感動して以来ヘッセのほとんどを読んできた。
    どの作品も素晴らしいが、やはりこの詩に初めて触れた時の感動を忘れることはない。

    十代の瑞々しい不安を持ち続けることができた者は美しい。
  • 春の嵐
    クーン、ムオト、ゲルトルート、彼らの中で主人公であるクーンが正真正銘の芸術家であろう。
    だが彼を取り巻く人々の苦悩や戦いは、まさにクーンよりもはるかに劇的なものに思われるのだった。
    長く、苦しい嵐の只中でも、クーンには穏やかやさ真理に触れる機会がある。彼はとても賢い。
    人を受け入れ、認め、自分の分を...続きを読む
  • メルヒェン(新潮文庫)
    ひとの無意識とか感覚とか深層心理的なところに直接響いてくる、ものすごい密度の短編集。

    いまのところ最初のアウグスツスがいちばん好き。

    こんな言葉の構成ができるヘッセは神様みたいだと思った。
    ぞくっとしてきゅんとするかんじ。

    一日にたくさんは読めない。
    おはなしひとつでおなかがいっぱいになる。
    ...続きを読む
  • 荒野のおおかみ
    自分が抱いている自分のイメージがどれだけ偏っていて、狭いものであるかを強く感じさせられる一冊でした。わたしもハリー同様、新しいことに踏み出すことにためらってしまうし、固定観念をかなり強く持っているところがあるので、ハリーがヘルミーネやマリア、パブロとの会話の中で抱く感情がわかりすぎて読むのが辛かった...続きを読む