高橋健二のレビュー一覧

  • 郷愁
    田舎から都会へ出て暮らし、田舎を想う気持ちを持ち、時に田舎に帰ってみたりしていること。そんな共通点があるからか、主人公には少し親近感を持ち読み進めることができた。

    田舎から都会に出ると決めた時、何がそうさせた?
    都会で学び、人々と交わり、友情を育み、恋に落ち、いろいろな経験をし、世間一般の幸せ、青...続きを読む
  • シッダールタ
    いい経験も、悪い経験もすべては学び。
    そして出会う人はすべて師。
    私も嫌な経験はたくさんしたけれど、すべては学びであって、必要なことだったのかもしれない。

    ヴァズデーヴァとゴヴィンダのように、日々同じことを繰り返し行う、禅的な暮らしのほうが大変だと思う。
    でも、それが大切なのですよね。

    ヴァズデ...続きを読む
  • クヌルプ
    見た目がすっかり変わっていても、話をするとすぐにそれが誰だか思い出せるという主人公の在り方に心惹かれた。そういう風になりたいというわけでは決してないけれども。
  • 荒野のおおかみ
    ユング心理学の「影」の概念についての本を読んだ直後だったので、かなり一面的に「影の克服」の物語として読んでしまったが、それが主題であることはたぶん間違ってないと思う。実際にヘッセはユング心理学に高い関心があったというし。私はこの小説で影は一つではないことを知った。あるいは1人の人の中の影にも多様な姿...続きを読む
  • ヘッセ詩集
    小説よりも自由で、ヘッセという人物の文体が限り無く課されていると思う。詩人になりたくてしょうがない、詩を書くより他ないと知った少年の心根が最初から最後までにじみ出ている。
    永遠の旅人。とどまることのできない時の中で、失われていった青春への憧れとのはざまを漂いながら今を過ごしていく。どこまでいっても今...続きを読む
  • 知と愛
    ヘッセの人生というのは、常に知性と感覚のせめぎ合いだったのだろう。この激しい二項対立を抱えて生き続けたと言ってもいい。知るとは何だ。目の前にあるこの美しい景色を感じるこの心はなんだ。彼は幼い時からそう思う心を非常に大事にしてきたに違いない。彼にとって学問は感覚抜きに行われる、純粋に抽象的なものであっ...続きを読む
  • 春の嵐
     才能あふれるオペラ歌手であるムオトは、親友のクーンが自分の妻であるゲルトルートに恋をしていることに以前から気が付き悩んでいた。
     ある日ゲルトルートは病気になり休養のため実家に帰ることとなる。しかし期日を過ぎてもゲルトルートは戻ってこない。その背景には彼女の薄汚い父親とクーンによる陰謀が隠されてい...続きを読む
  • 荒野のおおかみ
    ALFEEの高見沢俊彦さんの推薦図書ということで、高校時代に買ったんですが、当時の私には難しくて読み進められず、序文だけ読んでそのままだったんですが、32歳になった今、やっと、読み終える事が出来ました。 不思議な事に当時はよく分からなかったのに、今になると、感銘を受ける箇所が幾つか有るんですよね。 ...続きを読む
  • メルヒェン(新潮文庫)
    童話集と呼んでも差し支えない内容の寓話がぎっしりと詰まった作品。スケールが大きい、哲学的な(ブッ飛んだ)話も多いが、いくつかの話には共通点が見られる。
    「アウグスツス」と「アヤメ」ではそれが特に顕著だと思う。
    壮年期を迎えるに当たり、幼年期に持っていた宝を失ってしまったことに気付き、自身にとって大切...続きを読む
  • 知と愛
    知と愛、ナルチスとゴルトムント、一見反芻する立場の二人が互いに惹かれ合う姿を描いている物語。あとがきにあるように、この2つは永遠のテーマでもあるからそれをこのように物語として完成させた本書は素晴らしい。
  • 郷愁
    ヘッセの出世作だが、「車輪の下」の後に読んだので、特段に強い印象は受けなかった。
    良くも悪くも「小説」といった内容で、個人的には、心に残るようなインパクトに乏しかった。
  • 春の嵐
    ただいなくなってしまった人のことや、過ぎ去ったことを忘れず、痛みを内包しながらも、距離を埋めず、穏やかに生きて行く二人の姿に胸が痛くなった。
  • ゲーテ格言集
    まさに金言の宝庫。しかも幅広い分野に造詣が深い。詩人らしくインパクトある言葉をコンパクトに表現しているので、一読してガツンと響く。『太陽が照れば塵も輝く。(「格言と反省」から)』なんて言葉をのっけから見せられたら吸い込まれないわけがない。さすがに愛や宗教については時代背景と地域性が強すぎて理解を超え...続きを読む
  • ゲーテ詩集
    ゲーテ読んでみたくて。
    ランボーのような乾ききってどこまでも突き抜けていくようなするどさ・勢いは感じられなかった。落ち着いていて、目に映るものを静かに見守るような…
    収録されている詩の多くに漂う物語(ロマンス)は、ものすごく劇的で大衆受けを想定して書かれたもののように感じる。一方で無題のものは警句的...続きを読む
  • ゲーテ詩集
    【本の内容】
    向学心に燃え、たゆまぬ努力によって、生涯、自らの宇宙観を拡充していったゲーテの作品は、尽きざる泉にも似て、豊富多彩をきわめる。

    喜怒哀楽、叡智、恋……人間性への深い信頼にささえられ、世界文学に不滅の名をとどめるゲーテの抒情詩を中心に、物語詩、思想詩の代表的な作品を年代順に選び、彼の生...続きを読む
  • ゲーテ格言集
    読書録「ゲーテ格言集」5

    編訳 高橋健二
    出版 新潮社

    P83より引用
    “仕事の圧迫は心にとってきわめてありがた
    いものだ。その重荷から解放されると、心は
    一段と自由に遊び、生活を楽しむ。仕事をせ
    ずにのんびりしている人間ほどみじめなもの
    はない。そんな人はどんなに美しい天分もい
    とわしく感じる...続きを読む
  • 青春は美わし
    人の記憶って忘れられるから良いものなのかな
    恋して、振られて、立ち直れるのは「忘れ」られるからなんだよねきっと
    人生辛いことあっても、いつか和らぐのは忘れられるから

    まーもちろん
    記憶として、思い出としては残るけど
    ずっと辛いまんまじゃないもんね

    辛い出来事乗り越えて、
    いつの日か、辛い出来事を...続きを読む
  • 知と愛
    知と愛、論理と芸術という相反する二元性を描いた作品。
    互いの相反する役割を認識し、忘れ得ぬ友情を育みながら別々の世界で生きて、互いを認め合うところにまで到達した二人に賞賛を与えたい。ゴルトムントは最後まで求め続けてきた母の偶像を作り上げることができなかったが、彼の死によって彼自身の人生とその芸術が完...続きを読む
  • 春の嵐
    不具になってから、満たされない思いを抱きつつも、音楽家として穏やかで落ち着いた人生を歩む主人公。ヘッセらしい優しい物語。
  • クヌルプ
    もう一度、また少したったら読みたい。
    ありのままを受け入れること、そうなれるまであとどれくらいかかるだろうか。