高橋健二のレビュー一覧

  • クヌルプ
    あらゆる能力に秀で、誰からも愛された少年クヌルプが失恋にうちひしがれ、才能を持て余すさすらいの人生を送る。『シッダールタ』にもつながる魂の救済の物語。

    「きみは聖書に注文をつけすぎるよ。何が真実であるか、いったい人生ってものはどういうふうにできているか。そういうことはめいめい自分で考えだすほかは...続きを読む
  • 青春は美わし
    本書には二作の短編が収められているが、両作とも初恋にちなんだ実らぬ恋を通じて導かれる、儚くも玉のように美しい青春を優しく謳っている。誰しも通る青春の美しさ。本書はきっと、国籍問わず万人にノスタルジーを喚起させる。そして大切なのは、青春以降の生き方についても見逃せない示唆を与えてくれるのである。
  • クヌルプ
    2012年12月 03/96
    なんとなく気になって読んでみた。多彩な才能を持ち、それを湯水のように使ったクヌルプの少年期、青年期、老年期を描いた物語。終わり方がとてもスキでした。
    読んでる途中でなくして、見つかるまでに時間がかかったので改めて通して読み直したい。
  • クヌルプ
    生活の芸術家、クヌルプの3の物語を描いた作品。「早春」「クヌルプの思いで」「最期」と題された思いでの中に、クヌルプという人間の豊かさが溢れている。


    中でも好きな場面が、「最期」でクヌルプが故郷に帰り、その少年時代を懐古するところだ。少し抜粋したい。

    「どの屋根にどのネコがいるか知らないことはな...続きを読む
  • 知と愛
    読んでいる間の身の震えるような感動は言葉にできない。心のいろんな所を揺すぶられた。近いうちにまた読みたい。
  • クヌルプ
    二カ月ほど前、我が家に猫がやってきた。母が道端で鳴いていた黒い子猫を拾って来たのだ。その頃は目も開いておらず、当然餌も自力では食べられないため、注射器にミルクを入れて飲ませなければならなかった。時が経ち、日に日に成長した猫だったが、自分たち家族は彼のために様々な気を遣い、世話を焼かなければならなかっ...続きを読む
  • 春の嵐
    ゲルトルートは、直感に素直に生きている人じゃないかという印象を受けた。芸術と恋愛等々、古典的なテーマでいい小説だった。愛が修行と呼ばれる所以は...どのような考えを持った人が破壊せず、精神的にも負けず愛を成就できるのか。小説をまたもっと読まなくちゃと思いました。
  • ゲーテ格言集
    いつでも自分の手の届くところにおいておきたい本だと思う。
    気分が落ち込んでいるときや、選択に迷ったとき、また人に何か言葉をささげたいとき、わたしはきっとこの本を手にとるだろう。
    この本の中にある言葉に救われたことも、少なくはない。
    人生とはとてもささやかで、それでもいとしく、大変重要なものであること...続きを読む
  • ヘッセ詩集
    自分へのごほうび感覚で買った。

    大島へ持って行って、そこで一度読み終えた。
    何度でも、黙って、または声に出して、読み続けたい。
  • 知と愛
    神に奉仕する学者ナルチスと、美に奉仕する芸術家ゴルトムント。
    そんな二人の友情の物語で″知と愛″という邦題は見事。
    対照的な生涯を送った二人が、最後に芸術を通して互いを認め、精神世界と思想を語る姿に感動しました。
    清廉と官能が織り成す精神性の美しさに心が洗われるようで。
    哲学的な作品でまだ理解しきれ...続きを読む
  • ゲーテ格言集
    打ちのめされ、怯えきって、心安らげる場所を見つけられない時にでも喜びはある。

    かつてゲーテが存在したということ。
    今も生き続けているということ。
    それは大いなる喜びだ。
  • 知と愛
    レビューというのは自分から距離が離れていればこそ、気軽にホイホイ書けたのだ。ヘッセのレビューを書こうとすると、思い知らされる。

    苦しみを宿命づけられた生のなかで、人がその生と死を渡り仰せるだけの光ー平穏ー意味など、何かしらの確かさを見いだそうとする不断の努力。ヘッセという人の根底のテーマは一貫して...続きを読む
  • ゲーテ格言集
    ゲーテすごい好きだ。もういっそゲーテになりたい。
    たぶん古典でも啓蒙でも浪漫でもないスタンスが自分に合うのだと思う。あたまでっかちになりそうな時には世界の美しさを、怠惰にふけりそうな時は誠実の尊さを説いてくれる。
    驚いたのはファウストやウェルテルのフレーズも多いこと。前そっちを読んだときは気づかなか...続きを読む
  • 荒野のおおかみ
    やっぱりヘッセはすごい。個人のある感情についてメタに、俯瞰的に言及することは誰にも可能だ。しかしそれに対してさらにメタの視点で言及することは少し困難だ。これを自由に使いこなす人間が小説家というものだと思う。しかしこれだけでは二流である。一流はさらにそれらに関してメタレベルで表現することができる。ヘッ...続きを読む
  • メルヒェン(新潮文庫)
    表現が綺麗でとても好きです。アウグスツスと詩人が特に好きです。愛されるのと愛すことの違いはやっぱり大きいなと思いました。そして、詩人も興味深いです。全体的に、音楽を聴いているような感覚で本を読んでいました。本当に綺麗な話です。
  • 知と愛
    自分にとってはこの本を読まずに死んでいたら後悔するような本.ホントは★★★★★★つけたい.ヘルマン・ヘッセは大好きでずいぶん読んだが,自分の中ではこれがベストの著作だと思う(シッダールタも良かったが)
  • クヌルプ
    傍から見てその問題がどうなのかではなく、彼にとってどんな出来事だったのか。それを経て、彼はどう生きてきたのか。苦味が時間を抱き込んで、いつかほのかな甘味すら呼び込む。彼は抱えるものと共に、まるでゆるやかな風だった。これはハッピーエンドだろうか。最期に安息を感じる。
  • ゲーテ格言集
    まさに格言集!

    何回も読もう。
    心に刻もう。

    この本は暗い夜道を明るく灯してくれます。
  • ゲーテ格言集
    読みおわった、というか…こういった書物に関しては、読み“終える”ということがないですよね。難しい文が多々ありますが、素敵な本です。
  • 青春は美わし
    青春は美わし。たった1つの夏を通して、懐かしさがいくつもにじんでる。ゆっくり、しっとり過ぎてく夏がちょっぴりほろ苦い。