高橋健二のレビュー一覧

  • クヌルプ
    自由奔放に生きてきたけれど自分は何者にもなれなかった、と嘆くクヌルプに、人々に愛され、ときに嫉妬心を呼び起こさせる、それこそがお前の存在意義だったじゃないかと言い放つ神様。
    この本を人生の本としてあげていた某私の推しさん、アイドルとしての存在意義をクヌルプと重ねたのかしら?…と思ったらなんか切なくな...続きを読む
  • 車輪の下
    人生は「こんなはずじゃなかった」の繰り返しであり、読者は読者なりの「こんなはずじゃなかった」を生きている中でこの小説に巡り会って、ヘルマン・ヘッセの「こんなはずじゃなかった」に共感したり、落ち込んだり、打ちのめされたりするのだろう。
    しかし、ヘッセは惨めでボロボロでヨロヨロで辛くて辛くて堪らない経験...続きを読む
  • 車輪の下
    理想と現実のギャップですな
    自分の理想を叶えるために日々を邁進していたのに、皮肉にもその理想は自分が求めていたことと違ったというわけだね
    そんなギャップに戸惑い、人に支えられながらやってきたけど、その人もいなくなって、女や遊びを覚え、自分が最終的に何を目指していたかわからなくなってしまう

    これは対...続きを読む
  • デミアン
    前半は幼少期の承認欲求から生まれる、大人になってみればなんでもないような、いわゆる「黒歴史」からの偶然の脱却。そこからズルズルと「自分とは」を現代人とは異なるアプローチで追求していく。他と交わっては離れ交わっては離れ、追い求めては突き放し、読者誰にでも通ずるようで、どこか気持ちの悪い不思議な作品。途...続きを読む
  • 知と愛
    「知」をもって「愛」を知るナルチス
    「愛」をもって「知」を知るゴルトムント

    読み終わって見ると素敵な言葉すぎる、、

    慣れない文体に最初は読むのに苦労しましたが、自分なりに解釈し楽しく読めました。
    こんな真逆の2人が語り合い、理解し合う姿に何度も心打たれました

    「道の上の1匹の小さな虫が、図書室...続きを読む
  • 郷愁
    ヘッセ処女作。
    とある村では、右も左も前も後ろもカーメンチント姓だらけ。そんな村から、牧師になるべく村を出た主人公カーメンチントくん。
    初めての世界や体験に、穏やかに身を焦がした彼の行末は…。

    原題、ペーター・カーメンチントの名に恥じぬ、ペーター・カーメンチントっぷりが最高!
    そしてヘッセの表現も...続きを読む
  • 車輪の下
    まずまずの読み応えだった。ヘッセはもともと詩人気質らしいが、それが顕著に出ている。文章が詩的で難読な箇所もあるが、ストーリー自体は純文学と同じような感じがして味わい深かった。また読みたい作品。
  • デミアン
    つらい
    後半になるにつれどんどん辛い
    読み終わりこのドヨンとした気持ち
    また読み返した時はどんな気持ちになるのだろうか
  • デミアン
    デミアンはエーミールの生涯をかけての理想とする人物で、遂には理想を果たせたか、果たせなかったかは分からない。
    物語で、デミアンに出会ってからそれ以降はずっと理想を貫くことに邁進し、如何なる障壁があろうとも極めて禁欲的に、自らの理想をベースとして物事を対処していた。
    だが、序盤に書いてあるが理想に向か...続きを読む
  • シッダールタ
    『無』なんだなぁ。
    なんて、わかったようなことを書いてみた。

    ヘッセの精神性の深さに、これまで「車輪の下」しか読んでなかったことが悔やまれる。
  • 春の嵐
    結婚した人と、老いるときまでそばにいる人が必ずしも同じではない類の物語の結末。
    クーンが自らの青春との別れを悟ったシーンが印象的だった。
  • ゲーテ格言集
    エレカシ宮本がゲーテが好きだということで、ゲーテを知ろうと思い格言集を手に取った。

    格言はコンテクストがないため、自分の想像でその意味を考えることができるのは一長一短か。

    格言集は一気に読むものではないと思う。
    たまに手に取って良かった言葉に出会えたら、それでいいではないか。
    スピードワゴン小沢...続きを読む
  • ゲーテ詩集
    ゲーテの叙事詩集。哀愁漂う作品から心が熱くなるような作品まで多様な作品が収録されている。前半はロマンスを描いた詩が多く、後半になるにつれて人生の戒めになるような詩が多くなる。
    この本の中で気に入った詩が二つある。

    •いや遠くさまよい出でんとするか。見よ、善きことはまことに近きあり。幸福をとらえる術...続きを読む
  • メルヒェン(新潮文庫)
    ヘッセの作品は『車輪の下』と、教科書に載ってた『少年の日の思い出』くらいしか読んだことがなかったけど、タイトルに惹かれて手にしてみた。

    メルヒェンというのはグリム童話などに代表される口承の昔話のことを言うものだそうだが、それをヘッセが手掛けるとこうなるのか‥という感じだった。
    詩のような、様々なメ...続きを読む
  • デミアン
    確か高校の時に初めて読み、大学の頃に2回目を読んだので今回が3回目。少し距離を取って読めたと思う。
    学生の頃は多分まさに自分もしるしを持った芸術家なんだと思って読んでいた気がする。
    大人になるとそうは思えなくなるところがある。
  • シッダールタ
    お父さんのオススメの本らしい。
    悟り開けると思って読んでみたものの、
    結構難しくてもう一度時間が経ったら読みたいなと思った。
    時間はないっていうことが少し響いた。
    人の後ろ(過去)にその人を表すものが並んでいるのでなはなく、その人の中にあると。
    また、知識は誰にでも得られるけど、
    知恵は経験しないと...続きを読む
  • メルヒェン(新潮文庫)
    短編集でしかも本が薄いので、すぐに読み終わるかと思いきや、これがなかなか手強かった…

    『苦しい道』
    『夢から夢へ』

    これはもう読んでて訳が分からなくて、頭がおかしくなりそうだった。
    ニューエイジミュージックをイヤホンで聴きながら、なんとか読み切った感じ。

    ……


    感想もいつもはすぐに記すのだ...続きを読む
  • デミアン
    長い間、積読になっていたものを読んだ。
    本書は、幼年期から始まる私(シンクレール)の物語で、大人(青年?)になった彼自身が、過去を振り返っているような表現がされている。
    物語の序盤は、幼いシンクレールからみたその当時の世界と、その受容の在り方の説明が繊細で、解説者が「ヘッセの書いたもので最も優れたも...続きを読む
  • デミアン
    20年振りに再読。ラテン語学校に通うシンクレールは不良少年によって心にもない嘘を吐いて不幸な事件を招いてしまう。その苦境から救ったのは友人のデミアンだった。デミアンによって暗部の世界を見る。後半部分はやはり難解でした。「鳥は卵の中からぬけ出ようと戦う。卵は世界だ。生まれようと欲するものは、一つの世を...続きを読む
  • デミアン
    幼少期から思春期、青年期と成長する過程での自己との向き合い方や自我の探究が繊細に表現された名著。自己認識は全て自分自身と対峙し、対話し、断絶することと思い続けること学び、苦難を乗り越えることにより辿りつくもの。つまり、ストーリーは全てシンクレールのインナーコンフリクトだったのではというのが私の考察。...続きを読む