高橋健二のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
1927年にドイツで発表された作品。
第一次世界大戦を省みるどころか、再び戦争に向かおうとしている社会を疑うこともなく生きる市民を批判する「アウトサイダー」の立場(おおかみ)の立場をとりながらも、まぎれもなく市民的行動の一部に加担している自分の葛藤が描かれています。そしてそんな自分は自殺によってしか報われない、と考え死を望むハリー・ハラーが主人公。彼はヘッセの自画像だそうです。
この葛藤はまさに、神経が不安定であったヘッセが色濃く表現されていて、
その如何ともし難い苦痛には時に目を覆いたくなります。
一方で、一般論や世の中の体制によって作られる考えを排除し、確固たる「自己」を追求すべ