高橋健二のレビュー一覧

  • メルヒェン(新潮文庫)
    中学校のとき、尊敬する担任の先生が道徳の時間に、この中の「アウグスツス」という作品を朗読してくださり、鮮烈に心に残りました。
    愛されることを望むよりも、自らが人を愛することのできる人間になれることの大切さを、強く刻みつけてくれる作品です。
    当時は作品の本意を理解しきれなかったのですが、何十年も経ち、...続きを読む
  • 荒野のおおかみ
    人は誰しもいろいろな側面を内に持っている。ハリーはヘルミーネと出会うことで、自己の諸側面について気づき、洞察を深めていく。その中には、自身が否定してきたものと相反する矛盾した自身の姿もある。たとえば、反戦思想を唱え人道を叫びながら、裕福な身分のまま亡命し個人の活動に耽っている自分、自殺志願者である自...続きを読む
  • ゲーテ格言集
    この手の過去の偉人の格言集は、往々にして今の自分への戒めになる。

    個人的には特に、
    「自我と自由と節制について」の項目がガツンときた。
    一つ格言を引用するとすれば、
    「個人は何ものかに達するためには、自己を諦めなければならない、ということを誰も理解しない」P131より
    だろうか。
    自分の目指す「な...続きを読む
  • ゲーテ詩集
    訳が古典的でたまに理解できないものがありました。
    やっぱり詩はその国の言葉で鑑賞するのが一番いいのかなぁなんて思います。

    それでもやっぱり独創的な雰囲気で楽しめました。

    魔王はゲーテの詩だったんだ..。
  • 荒野のおおかみ
    よく描けていて読むのは大変かもしれない。でも、悪い意味で大変なのではなくて深く響くから大変という感じ。建設的に捉えれば多く学びや気付きがある作品だと思う。
  • クヌルプ
    雪降る中での神との対話は、これまでの人生の中でも有数の「あまりに美しい」文章だった。この美しさを求めて何度でもページを捲りたくなる、そんな一冊。
  • ヘッセ詩集
    「詩人になるか、でなければ何にもなりたくない」と言って学校を中退したのは有名な話ですが、ヘッセは小説のイメージが強く、詩集はあまり知られていないような気がします。人生を賭してまで詩人になろうとしたヘッセの生み出す詩は、触れると壊れそうなくらい繊細で、だけど力強い部分もあって。その振れ幅によって取り扱...続きを読む
  • 春の嵐
    青春時代の淡い、されど激しい想い。
    届かぬともそれは青春時代が生み出す1つの生き物ではなかろうか。

    妙によそよそしく感じるそれは、その時代特有のものであろう。

    揺さぶられる心。そして、そこに諦めを見出してしまう心。様々な想いが錯綜する。

    それが青春であろう。
  • 春の嵐
    絶え間なく変わり続ける時に人の心は抗える。
    並木道の砂埃とともに舞い上がるゲルトルートの幻を心に抱くシーンが印象的。
  • クヌルプ
    初めて見た作品だったので。とはいうものの、『車輪の下』に次ぐ出版数を誇るとか。
    なんて愛おしい存在なんだろう。ただ与え続けるという役割を与えられた、このクヌルプという存在は。
    彼は自分を探したいだの、世界が見たいだの、そんな目的をもって旅人をやっているのではない。旅こそ彼の目的であり、望まれたことだ...続きを読む
  • 知と愛
    これまで読んだヘッセの作品中最も刺激的。精神世界と肉体の交差点。ストーリーテラーとしてヘッセは退屈だと思っていたがこの本は緩急、静動あり、全く退屈しなかった。
  • 荒野のおおかみ
    20世紀ドイツを代表する小説家・詩人ヘルマン・ヘッセ(1877-1962)の作品、1927年。時に作家五十歳、第一次大戦敗戦後のワイマール体制下で1923年にはヒトラーがミュンヘン・クーデタ未遂で投獄された情況下、作家自身の自己省察と同時代批判とを本作品で試みた。なお同年の1927年にはにハイデガー...続きを読む
  • 青春は美わし
    ヘッセの小説は「車輪の下」以来2冊目になりますが、ヘッセの小説はとにかく美しい情景描写と、繊細な心理描写が心に残る。
    ヘッセの小説は読んでいると、なんだか甘美で、幻想的な気分になるのです。
    まず「青春は美わし」の方は久しぶりに故郷に帰ってきた青年が、淡い初恋を抱いていた少女が美しく成長している姿を目...続きを読む
  • ゲーテ格言集
    ケチつける勇気がないので5☆。歳のせいだろうか、ベタだなあとおもいつつ、頷いている自分がいるって感じだ。それなりに楽しんだのも確か。「翻訳者はまめな媒酌人と見なされる。彼らは半ばヴェールにおおわれた麗人をこの上なく愛らしいものとたたえ、本物を見たいというやみ難い気持ちを起こさせる」(113P)このよ...続きを読む
  • 知と愛
    すごく苦しく醜く深く美しいお話。
    デミアンやおおかみはとっ散らかっているけれど、こちらはドイツらしく整っている。
    腐女子さんやゴスロリさんにも読んでほしい。
  • メルヒェン(新潮文庫)
    ヘッセは天才だ。
    訳者の高橋健二さんも。
    それ以外言うことがないですね‥。
    言葉の魔法。単語の天国。本を開けばいつでも見せてくれる。
    こんなに素晴らしい本が古本で105円で手に入るなんて、日本はすごい国だと思いました。
    今まで幸福論が一番好きだったけれど、これは同じくらい好きになるかもしれないです。...続きを読む
  • 荒野のおおかみ
    今さらながら、「名作と呼ばれる作品を、少しでも読もう!」と考えています。
    そこで、ドイツ人のノーベル賞受賞作家、ヘルマン・ヘッセのこの作品を、読んでみることにしました。
    主人公は、禁欲的に学問の世界に打ち込み、それゆえに人生に思い悩んでいる、中年男性。
    ある日、暗く思い悩む彼の前に、魅力的な若い女性...続きを読む
  • 知と愛
    たぶん高校生くらいのときに読んで、いま再読。

    ナルスチ(知)とゴルトムント(愛)という対称関係は、ほかに「霊と肉」「理論と芸術」という対比にもなっていて、もともとけっこうヘッセの小説ってこういう対比がキッパリしていると思うのだけれど、本作においてはよりキッパリして実に小説らしい。

    修道院にはいっ...続きを読む
  • 春の嵐
    再読。主人公クーンと女の子が夜の山から橇で滑り降りる場面が印象深く残っている。クーンは橇滑りの事故がもとで片足びっこになり、しかしそのおかげもあって音楽で生計をたてていくことを志す。

    クーンの女性関係はけっきょく描かれないままだが、それゆえにかムオトやゲルトルートと交わす友情の場面はとてもうつくし...続きを読む
  • 知と愛
    (メモ)

    ・構成がしっかりしていて話の展開も整っている
    ・ただ、デミアンや荒野のおおかみが好きな自分にとっては、やや整い過ぎている気もした
    ・「知と愛」という題名が好きだ。訳者が邦題としてつけたという。
    ・二元論
    ・厚い
    ・後半の一部は哲学語りそのもの