高橋健二のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
CREAという雑誌の読書特集で、中谷美紀が「読んでいて幸せになる1冊」と書いていたのが妙に心に残り、うん十年ぶりに読み返してみました。
ヘッセを読んでいたころって中学生くらいで、文学少女を気取ってスタンダールとかトルストイとかカミュとか太宰とか芥川とか、とにかくそういう背伸びした読書がマイブームでした・・・いや、今思うとハズカシいですけど
(どこまで内容を理解していたのかは不明ですが(^^;)
すっかり忘れさっていたので、今回は新たな気持ちで読みました
まあ、どれもこれも丁寧に書かれていること!
この人は本当に一字一句、言葉を文字を大切にしているのだなぁと感心ばかりしておりまし -
Posted by ブクログ
タイトルが「共同体の中で友愛関係を失い追放された異人である人狼」を連想させ、ぱらぱらっとめくったページに書いてあった、
「今夜4時から魔術劇場
――入場は狂人だけ――
入場料として知性を払うこと。
だれでもの入場はお断り。ヘルミーネは地獄にいる。」
「ハリーの死刑執行」
などに心惹かれたので読んだ。
序盤のハリーの心理描写などがよかったが、途中退屈して読むのを中断していた。
2006年の秋頃の精神的につらい時に読んで90ページくらいで中断し、また今年の9月に入ってから読んでいたが、退屈するところは同じなようで、90ページ目くらいで数日放置し、その後、1日30〜40ページくらいのペースで読み、今 -
Posted by ブクログ
読むのに非常に時間がかかった。話が現実と幻想を行き来しているし、第一人称で描かれているし、構造がムヅカシかった。もちろん読みごたえ十分。この作品は世界へむけて描かれたものなのかな。主人公は既読の「デミアン」「シッダールタ」「知と愛」と同じく、現実世界の背後の永遠の世界を求める、というようなヘッセ自身の投影なのだろうけど、悟るのではなく現実社会に打ち砕かれる、というところがこの作品の特徴。近代世界への強烈な揶揄というか。
最後の狂気じみた劇場での幻想の場面の、言葉の使い方が美しい!!これは翻訳の高橋さんの手柄なのかな。やっぱりドイツ語で読んでみたい。