高橋健二のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
青春は美わし の方はあまり刺さらず。
街に帰ってきて出ていくまでを描いた作品だけどあまり目立った事は起こらなかったように思う。
ラテン語学校生はとても良かった!テンポもよく、流れもスッキリしていて読みやすい。
他のヘッセ作品と似たような境遇の主人公だが、珍しく主人公が思いを寄せる女性からの視点からも描かれていた。彼女が主人公を裏切って(あまり裏切りという感じはしなかったが結果的に)しまった際に彼女からの謝罪があったのが印象的。クヌルプではこのフォローがなかったから彼は放浪の旅に出ることになってしまったわけだし。
主人公が成長していく過程とその成長した結果がとても好きな作品です。
生き物を飼 -
Posted by ブクログ
「早春」「クヌルプの思い出」「最期」の3編から成る。
年上の初恋の娘に裏切られた時から、クヌルプの漂泊の人生が始まる。旅人となり放浪する彼は、自然と人生の美しさを見いだす生活の芸術家となり、行く先々で人々の生活に灯りをともす。肺を病んで雪の中で倒れ、人生を後悔する彼に、神は彼らしく生きたと語りかける。
「早春」「クヌルプの思い出」と読み進めていて、この話の何が名作なんだろうかと、正直疑問に思った。クヌルプは、私には、わがままで厚かましく、自己中心的が過ぎるような気がした。誰もが彼を好いて、きれいな子供が屈託なく生き進んでいるかのように評し、放浪している彼に喜んで手を差し伸べている。それが -
-
Posted by ブクログ
最近ショーペンハウアーの本を読み、ゲーテの引用が多くあることに気がついた。調べてみるとショーペンハウアーはゲーテとの出会いに「生涯で最も幸福だった出来事」の一つとして数えているらしい。
相当親しい友好関係を築いていたのだろう、数多く引用があったことから考えが似ているのだろうと思い読んでみた。
この本はゲーテの思想を手軽に知れる本。深く知りたい方には物足りないが初心者にはお勧めだ。
内容は各テーマごとに短い文や詩が記されており、短い文ながら的を得たものが多くある。中には理解し難いものもあるが、そういったものは気にせず読み飛ばして良いと思う。
難解なものは後にもう一度読み返した時理解できれば良い -
Posted by ブクログ
▪️印象に残った言葉やシーン
荒野のおおかみの論文に書かれていた「ハリーが一つないし二つの魂あるいは人格から成り立っていると思うのは空想に過ぎない。人間はみな、十、百、千の魂から成り立っている」。
ヘルミーネがハリーに対して言った「あんたは精神的なものが高く発達しているかわりに、いろいろな処世術が酷く遅れている。思想家ハリーは百歳だけど、踊り手ハリーは半日そこらの赤ん坊。同じくらい発育の悪い小さな兄弟たちも含めて、これから私たちが育てていく」。
ハリーの人格や魂が分裂してできた、老人、青年、女性、強いの、弱いのなどの多数の駒が、将棋盤の上で遊んだり、戦ったり、同盟を組んだり、結婚したりする -
Posted by ブクログ
シッダールタは釈尊の出家以前の名前であるが、これは別の求道者の話。
シッダールタはバラモンの子であるが、普通のバラモン僧になる気はなく、父の反対を押し切って、沙門(苦行僧)の仲間入りをする。
修行のなかで無我を目指し、誰よりも無我に近い所に辿りつけるが、疑問を感じる。ある日、仏陀に出会い、この世で一番尊敬出来る師だと思った。親友は仏陀の弟子になるが、シッダールタは「教えられる」ということには興味をもてなくなり、一人、仏陀からも沙門の仲間からも離れて修行を続けようとする。
虚しさのあまり、考えぬいた結果、自我に目覚め、町のほうへ歩いて行く。随一の遊女カマーラに出会い、愛について教えを乞う。