高橋健二のレビュー一覧

  • シッダールタ
    人の説教を聞くだけでは悟りを開くことは不可能。
    自然に目を向けて、人生との共通点を見出すことが悟りを得る第一歩なのかも。
  • 春の嵐
    時代のせいなのか、筆者の育ちの良さのせいなのか、ともかく品が保たれているのは確か。ストーリー的には今でもありそうな感じだが、今だったらもっとギトギトした筆致となりそう。
    この意味でその昔の日本人がこの作家が好きだったというのは良く分かる。そして今は物足りないという指摘が多そうなことも何となく推察でき...続きを読む
  • メルヒェン(新潮文庫)
    個人的にこの手のおとぎ話的なものはあんまり好みでは無いので、少し評価は辛目かも。
    でも最初と最後から二番目の作品は、少なくとも当方にとっては現実感が感じられ、なかなかによろしいかと。まぁ若干道徳臭が強すぎて教科書的かもしれませんが、この作家の特徴なんでしょうかね、何かそんな気がする。
    そしてそれは日...続きを読む
  • 青春は美わし
    品が良いのは原文なのか、はたまた訳なのかどちらかは測りかねますが、日本人好みでいかにも教科書に出てきそう。
    内容は正直うんっ?というのが正直なところ。純と言えばそれまでですが、いくらなんでもナイーブ過ぎませんかね?
    もしかすると時代が変わってしまったということかもしれませんが。
  • 郷愁
    『春の嵐』の後に読んだせいか、やや流れが似ているのと、春の嵐の方がすきなためこの評価に。

    体の不自由なボピーとの交流が1番印象に残っていて好きだな。
  • クヌルプ
    孤独を愛することは誰かに依存してはいけないんやと、思う。クヌルプはけっこう自分勝手で自分大好き人間やから、孤独とはちょっと違うのかもしれない。人の好意をどう思ってるのかなとはめっちゃ感じたし、そばにいたくないタイプかなーと思ってしまったですよ。
  • ゲーテ格言集
    ゲーテの話をファウストしか読んだことがないのもあり、本中の台詞でも背景とか意味がつかみきれないものが多かった。
  • 幸福論
    ヘッセの晩年のエッセイとも言える短編集。
    老後に我が人生や人生観を語る内容で、素直な気持ちが打ち明けられている。人生における様々なエピソード、親しい人との死別、時間により熟成された経験と対比など多くの部分で同感できる。自己の人生観と対比させながら読んだ。
    詩人の文章であるからか、すっと受け入れにくい...続きを読む
  • 郷愁
    ヘッセの出世作。成長小説。アルプス生まれの自然を愛する主人公が、都会に出て様々人と出会い、別れを繰り返し成長して故郷に帰る。

    故郷が田舎で現在東京に住んでいる自分も読み終えて郷愁を感じた。薄い本だが、翻訳でもありすらすら読める感じではない。
  • ヘッセ詩集
    小説でも感じたことだが、ヘッセの悩みには自分と通じるところが多い気がする。そのためか詩も全体的に馴染みやすかった。なかでも個人的に特によくて、動揺と感動の渦が沸き起こる感じがしたのは次の5つ。

    眠れぬ夜(p80)
    陶酔(p150)
    ある友の死の知らせを聞いて(p189)
    新しい家に入るに際し(p1...続きを読む
  • クヌルプ
    解説に小説としてのストーリーはないが、散文詩としてのまとまりがある、と記されている。その通りで筋らしいものはない。1部はクヌルプの気障なところが見える。2部は友との哲学的対話。3部がメインだろう。この最期に感じたクヌルプの人生の決着が、この小説の最も重要なシーンだと思われる。普通の人のように、人生に...続きを読む
  • デミアン
    高校時代に読んだ。「車輪の下」よりは、読み易かった。この本も、その頃読んだので、残念ながら、ほとんど覚えていないが、こういうものが純文学なのだと思った。
    こころを描く小説があるという事を知った。
    もう一度読んでみたい。
  • 荒野のおおかみ
    読書の時間がとれず、時間をかけて読み返した作品。

    世間一般の価値観とは相容れないアウトサイダーの男が現れる設定と、アウトサイダー=荒野のおおかみの定義が綴られた手記の幕、男の実際の行動の幕と続く展開はドストエフスキーの「地下室の手記」を思い出させる。
    同作と本作が異なるのは、主人公の男が自意識を拗...続きを読む
  • ゲーテ格言集
    『光の多いところには、強い影がある』(「ゲッツ」第1幕から)
    本当は原文で読むことでニュアンスが伝わるのだろうけど。おおまかに分類されているものの、前後の文章が無いと分かり難いと感じる格言があるように思う。
  • ゲーテ格言集
    自己啓発本ではなく格言集なので中にはなんだこれというものや全く理解できない格言もあります。
    これは一個人をターゲットにしているわけではなく様々な格言の中でその人がマッチングした格言に共感、感銘、指南されるといった読み物である。
    なので自分にマッチングしない格言は反芻もせず次の格言へという作業が多かっ...続きを読む
  • 郷愁
    人生にはある程度年をとったからわかってくることも多い。ヘッセの郷愁は年をとった今だからこそ理解が進んだんだろうと思うが、ヘッセの若い頃の作品と知り驚いた。心理描写も多く読みやすい作品ではないし、とっちらかっているのは否定できないが、若者の成長については本質をついている。
  • クヌルプ
    エリートコースを進む主人公の人生の歯車が少しずつ狂っていく、という大筋は「車輪の下」「デミアン」と似ているが、本作はそこまで暗さがなく、青春時代の楽しそうな描写が多い。放浪するに至るほどの苦悩ではないように感じて、あまり感情移入はできなかった。
  • ヘッセ詩集
    あまり体調が良くなかった。テレビやスマホを見るのもつらく、音楽を聴く気にもならず、かと言ってただ寝ているのも暇を持て余す。読書でも、と思ったがビジネス書に有りがちな「ああせよ、こうせよ」という文言を見るのも厭わしく、詩集に手を伸ばした。
    憂鬱、空虚、孤独、諦め、死。日常生活で避けられがちな言葉をふん...続きを読む
  • クヌルプ
    クヌルプの流浪してても、装いを綺麗に、物を大切に扱うところが素敵だ。見習いたい。ラストはなかなかいい。
  • メルヒェン(新潮文庫)
    ドイツの叙情詩人が挑む『知らない人についてったらえらい目に遭った』アンソロジー。

    『 別な星の奇妙なたより』だけ好き。ろくでなしにも矜恃くらいあるんだってとこがいい。