高橋健二のレビュー一覧

  • 郷愁

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    ネタバレ

    ヘッセの出世作。成長小説。アルプス生まれの自然を愛する主人公が、都会に出て様々人と出会い、別れを繰り返し成長して故郷に帰る。

    故郷が田舎で現在東京に住んでいる自分も読み終えて郷愁を感じた。薄い本だが、翻訳でもありすらすら読める感じではない。

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    2017年10月22日
  • ヘッセ詩集

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    小説でも感じたことだが、ヘッセの悩みには自分と通じるところが多い気がする。そのためか詩も全体的に馴染みやすかった。なかでも個人的に特によくて、動揺と感動の渦が沸き起こる感じがしたのは次の5つ。

    眠れぬ夜(p80)
    陶酔(p150)
    ある友の死の知らせを聞いて(p189)
    新しい家に入るに際し(p192)
    夕暮の家々(p195)

    年代によって著者の悩みの種が移り変わっていることが窺えるが、終盤の詩からはついに全ての悩みを乗り越えて一つの境地に到達したという感じがして一段と味わい深い。

    "そしてわれらは感じる、危きもの、人間を、
    永遠なものは特別な愛をもって愛しているのを。"
    (沈思 p204)

    私も早くこの境地に到達したい。

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    2017年06月12日
  • クヌルプ

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    ネタバレ

    解説に小説としてのストーリーはないが、散文詩としてのまとまりがある、と記されている。その通りで筋らしいものはない。1部はクヌルプの気障なところが見える。2部は友との哲学的対話。3部がメインだろう。この最期に感じたクヌルプの人生の決着が、この小説の最も重要なシーンだと思われる。普通の人のように、人生に対して建設的に臨めなかったが、周囲に子供っぽい笑顔を振りまくクヌルプらしい人生だった、というわけだ。

    「彼は才能があったのに、何故落ちぶれてしまったんだろうか」という問いに対する答えがこの小説にある。
    落ちぶれた人クヌルプ…しかし彼は落ちぶれてなどいない。
    自由気ままな旅人だ。解説にはエリートより共感しやすいとあるが、共感の対象になるにはあまりにクヌルプは人好きのする性格だ。太宰治の人間失格を読んだ時のような気分だ。持つものが、道を踏み外して落ちぶれていくのに、共感は来さない。持たざるものが道を踏み外した悲しみより、幾分救いがあるからだ。

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    2015年05月11日
  • 荒野のおおかみ

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    読書の時間がとれず、時間をかけて読み返した作品。

    世間一般の価値観とは相容れないアウトサイダーの男が現れる設定と、アウトサイダー=荒野のおおかみの定義が綴られた手記の幕、男の実際の行動の幕と続く展開はドストエフスキーの「地下室の手記」を思い出させる。
    同作と本作が異なるのは、主人公の男が自意識を拗らせておらず、差し伸べられた転向のチャンスを払いのけなかった点であろうか。

    思春期以降に彼と近しい境遇だったり、考え方を経験したことがある人は一読の価値あり。
    まだ自分は後半の展開についていくには功徳が足りなかった模様…。

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    2015年01月04日
  • ゲーテ格言集

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    『光の多いところには、強い影がある』(「ゲッツ」第1幕から)
    本当は原文で読むことでニュアンスが伝わるのだろうけど。おおまかに分類されているものの、前後の文章が無いと分かり難いと感じる格言があるように思う。

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    2014年11月28日
  • ゲーテ格言集

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    ネタバレ

    自己啓発本ではなく格言集なので中にはなんだこれというものや全く理解できない格言もあります。
    これは一個人をターゲットにしているわけではなく様々な格言の中でその人がマッチングした格言に共感、感銘、指南されるといった読み物である。
    なので自分にマッチングしない格言は反芻もせず次の格言へという作業が多かったような気がする。
    とはいえゲーテ著作の中から選び抜かれた格言集なので、お~!と納得、考えさせられる格言も当然あり、そういった格言はつい誰かに教えたくなる衝動に駆られる。

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    2014年11月15日
  • 郷愁

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    人生にはある程度年をとったからわかってくることも多い。ヘッセの郷愁は年をとった今だからこそ理解が進んだんだろうと思うが、ヘッセの若い頃の作品と知り驚いた。心理描写も多く読みやすい作品ではないし、とっちらかっているのは否定できないが、若者の成長については本質をついている。

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    2014年10月29日
  • クヌルプ

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    エリートコースを進む主人公の人生の歯車が少しずつ狂っていく、という大筋は「車輪の下」「デミアン」と似ているが、本作はそこまで暗さがなく、青春時代の楽しそうな描写が多い。放浪するに至るほどの苦悩ではないように感じて、あまり感情移入はできなかった。

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    2014年10月26日
  • ヘッセ詩集

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    あまり体調が良くなかった。テレビやスマホを見るのもつらく、音楽を聴く気にもならず、かと言ってただ寝ているのも暇を持て余す。読書でも、と思ったがビジネス書に有りがちな「ああせよ、こうせよ」という文言を見るのも厭わしく、詩集に手を伸ばした。
    憂鬱、空虚、孤独、諦め、死。日常生活で避けられがちな言葉をふんだんに使いながら、詩には淡々とした優しい響きがあって、粥のように体に沁みた。ありがとう、ヘッセ。一番のお気に入りは「私は、太陽や海や風のように白いもの、定めないものが好きだ」が印象的な「白い雲」。

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    2014年10月04日
  • クヌルプ

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    クヌルプの流浪してても、装いを綺麗に、物を大切に扱うところが素敵だ。見習いたい。ラストはなかなかいい。

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    2014年09月02日
  • メルヒェン(新潮文庫)

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    ドイツの叙情詩人が挑む『知らない人についてったらえらい目に遭った』アンソロジー。

    『 別な星の奇妙なたより』だけ好き。ろくでなしにも矜恃くらいあるんだってとこがいい。

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    2014年05月16日
  • 知と愛

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    対称的な生き方をした二人を通して見る、「知」を大事にする生き方と、「愛」を大事にする生き方。
    なんだか口にして語ればそう、かからない話なのに、すごく壮大な話であったかの印象。

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    2014年01月14日
  • 幸福論

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    「何にも期待していない状態」や「何かを失う不安を持たない状態」、「純粋な今現在」こそが幸福である、ということを意識していれば、いつでもどこでも幸せになれるのかなと思った。
    2014/1/3

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    2014年10月31日
  • クヌルプ

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    やはりヘッセは文章が美しい。訳者の高橋さんの素晴らしい翻訳もあるのだろうけど。ヘッセは3冊目だけど、物語の主軸には結局ヘッセの人生が見え隠れしてる感じがする。なぜクヌルプが流浪の職工にならなければならなかったのか。理由を知った時、愕然とした。短い作品なのでまた読みたい。ヘッセは素晴らしいね。他の作品もどんどん読もう。2012/172

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    2013年11月15日
  • クヌルプ

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    見どころがありそうなだけに惜しい作品。1クール目だけはおもしろいアニメみたいなかんじ。もっと跳躍できそうなのに、やはりいつものヘッセである。

    クヌルプの漂白の人生。彼は美青年で気ままで不思議なところがあり、かならず娘っこたちの目にとまる。彼のときおり口ずさむ詩や、生活をいとなむうえではいくらも役にたたない手先の器用さは「人々の息苦しい生活に一脈の明るさとくつろぎをもたらす。」

    作者のいうことを鵜呑みにすれば、そうなのだろう。けれどもぼくにはこのクヌルプという人物が真から人を和ませることのできる人物とはとても思えない。なぜなら彼の性格はやはりヘッセ的気難しさであって、それがクヌルプの柔和な性格といまいち融和しきれない感じをおぼえる。

    なにより生活を営む人たちに対するクヌルプの軽蔑がかなり徹底してることに驚く。彼の生活は社会の外にあって、アウトサイダーそのものであり、そのうえ「軽蔑」まで加われば、これはもう生活の内にある人々・インサイダーにとってみれば「破壊者」そのものであろうし。

    クヌルプが「聖」の属性をになっているのはわかるのだけれども、「俗」への軽蔑をみせる場面ではたしょう説教師的「聖」のありかたが垣間見える。まあ救世軍に入りたいとも言ってるし。けれどもクヌルプはけっきょく最後まで彼の「繊細さや敏感さ」を捨て去ることはなかった。ただぼくにとっては、年上の女にふられて漂白という、クヌルプのなまっちろさがいかにもうさんくさいのだ。

    彼は「繊細さや敏感さ」の世界に留まることを選び、俗と汚辱にまみれた生活とは縁を切っていたけれど、神がこのクヌルプを選ぶということは、はっきりと誤まりだったとぼくは思うのだ。とヘッセに言いたい。

    もはやヘッセとの対話という感じではあるが、二章の「クヌルプの思い出」は好き。

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    2013年05月09日
  • ゲーテ格言集

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    前半のほうは抽象的で意味がよくわからないものも多かったけど、
    後半になるにつれて「そうだなぁ」とすんなり消化できる言葉が多かった。
    前半で挫折しそうなら、後半を先に読んでみてほしい。

    分かりづらい言葉こそ、声に出して読みたいなぁと思う。
    声に出して、インプットかつアウトプットすることで、
    そういうことかと理解できる言葉もあるんだろう。
    声じゃなくても、書き取りとか。
    そう言う風にして丁寧に頭の引出しに閉まった言葉が、
    後々自分を助けてくれるんだろうなぁ。

    今は読むだけなので、多分頭には全然残ってない。
    ちょっともったいない気もする。

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    2013年04月16日
  • 春の嵐

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    少年時代の恋から足に障害を負ったクーンが、音楽の道を切り開き、成長した青年となっていく過程を描いた、辛くて哀しいヘッセらしい作品です。

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    2013年03月30日
  • メルヒェン(新潮文庫)

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    メルヒェン/ヘルマン・ヘッセ 読んだ。
    解説にもあるとおり、母から授かった無償の愛と死生に対する考察が混じりあって、価値観の放擲がなんどとなくくり返される。憧憬と回帰に関する一貫したテーマのなかで、短編集ながら連作を思わす生活くささが妙に生々しい。
    メルヘンとはなにか、読みすすめるうちに何度となくこう自問したくなる。この一冊の中に読み取るべきものは『アヤメ』のなかで、他作品とくらべてスローダウンした筆致で書かれてあるのでページを戻りながら読むとわかりやすいが、読み終わってそこに答え(救いのようなもの)をもとめるなら「ノー」と言わざるを得ない。
    たち返ることが必要で純粋なものに同調し、なじむこと、をヘッセはよく最上のもののように書くふしはあるけれど、ヘッセに限らずこの種の道徳をもった恋人は病に倒れるか何かして、早死にする場合がほとんどであるから、主人公が死を目前にして『そこ』へたち返ると確信したとしても、それこそメルヘンということもできるだろうし、だからこそ母を思うのだろうし、答えはいつもノーとなるわけ。

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    2013年03月24日
  • 荒野のおおかみ

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    なんかわかる部分もあるけど、今の時代に読むと・・・これどうなんだろう。
    訳のせいもあるかもしれないが、難解かつ読みづらい。
    グダグダ電波自己告白文・・・

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    2012年10月30日
  • ゲーテ詩集

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    膨大にあるゲーテ詩集より、抜粋したものを集めた一冊。
    役著の年代もまちまちなので、訳語体も様々。
    古いものは訳が和歌や短歌のようになっているものもあり、内容よりもリズムで入ってきてしまうので、なんだかなー。

    初期は中二病か、と思わずツッコミを入れたくなるが、これが純愛というものなのだろうか。
    晩年は警句的なものが多く、人間の根幹に迫っている。
    個人的には晩年のゲーテの方が好き。

    しかしながら、改めて思うと、1700年の頃からも、人間思うことはさしてかわらないんだなーなんて、思い耽る一冊でした。

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    2012年10月15日