柴田よしきのレビュー一覧
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「こんなふうだからあたしは嫌われる。しかし、好かれたとしていったい何の得がある?ちょっとばかり居心地がよくなったからって、それで給料が上がるわけでもあるまいし。」
墨田翔子、37歳。独身。
大手音楽企業の企画部係長。
陰口も独りランチにも慣れた。
高学歴高プライド高自意識過剰の若手にうんざりしつつ、女子休憩室のマニキュア事件、トイレの生理用品の盗難、人気作家のイラストの裁断事件と悪意渦巻くオフィスで逞しく生きていく。
高学歴だけど常識がない神林。
オーストラリアのツアコン愛美。
ケアンズの浜辺で殴り合った嶺奈。
不遜な態度で口の減らない部下、八幡。
いろんな出会いがだんだんと翔子の気持ちをまあるくしていく。
女のイヤラシサがこれでもか!っていうくらい、いろんな形で出てきた。
それが暗くどんよりと濁らないのは翔子の底にある人の良さなのかも。
どんなに凹んでも立ち上がって顔を上げて笑い飛ばすような強さと。
「女らしいってことは、男の都合のいいように動く、男に逆らわないってことじゃないのよ。本物の女らしさってのは、女としてのプライドを簡単には譲らないことなのよ。
あたしにはあたしのプライドがあるの。そしてあたしは、それを守るためだったら、他のなんだって犠牲にするのよ」 -
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ネタバレ目次
聖夜の憂鬱 ばんざいやの十二月 女将吉永長崎真奈美 南瓜の煮物
Christmas Blue 清水啓一
桜夢 ばんざいやの三月 塚本忠志 藤田 八木浩美 桜飯
Cherry blossom’s Dream 女将 清水圭一、徳一郎 立川瑞恵
鬱金 御衣黄
愛で殺して ばんざいやの七月 河田正一郎 塚田万里 村山
Love like Poison 吉永悦子 清水啓一 谷山美鈴
思い出ふた色 ばんざいやの十月 司 たま玉川幾子 真子
Black&White Memories 塚田万里 清水啓一松茸の土瓶蒸し
たんぽぽの言葉 ばんざいやの四月 斎藤 丹後タンコ美香 村山
Dandelion’Smile 丹波佐和子 若井翔太
吉永 清水 さくらんぼのゼリータンポポの根のきんぴら
ふたたびの虹 ばんざいやの六月、それから…… 吉永 清水
All the Colors of the 糸川ナミ 河村陽子 塚田万里
祭池晃一郎 宇和島 雪弥 谷山美鈴
あなたといられるなら ばんざいやの九月 吉永千太郎 吉永時枝
The End of a Perfect Day 坪井 清水 吉永 雪弥 そば茶 ゆべし 山栗 やまぼうしの実 -
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おばんざいの言葉に惹かれて手に取った一冊。
女将さんの作るおばんざいはどれも美味しそうで、夜読むにはお腹に悪い。笑
恋愛ミステリーということで、ビブリア古書堂的な雰囲気で、お店に訪れるお客さんの短編が続きながら、「ばんざい屋」を営む女将さんの恋が進んでいくお話。
ただ、ラノベのような感じでは無い、30代後半の落ち着いた大人の恋が魅力。
思いがけずフランスとの繋がりもあったりして楽しめた。
フランスの蚤の市は、この内容に何故こんなに人が集まる!?と思ってしまうほどガラクタばかりに見えるのだけど、皆お気に入りのブロカントを見つけて、上手にアレンジしているのだろうなと思う。
この近くも他の国からも含めて200万人が集まるので、ほんと皆好きみたいです。
作中で語られる、緑の花を咲かせる桜。初めて知りました。普通の桜とは違った魅力を持ってます。
いつか見てみたいものが、また増えました。 -
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シリーズの中でいちばん緑子を近くに感じた。
生活のためにやむなくというわけでもないのに、子どもを預けてまで働く意味。
仕事は好きだしやりがいもあるが、それは働き続けることの理由になるのか。
刑事であることの意味を自分に問いかけ続ける緑子。
けれど、身近に感じたのはそこまで。
やはり後半は私のきらいな緑子満載である。
とにかく女が全面に出る。
男女関係がどろどろしているのも、すぐに泣きわめくところも大嫌い。
仕事はできるのに、プロじゃないなと思ってしまうのは、そこ。
純粋でいることを無理やり断ち切られ、捻じ曲げられた思いが悪意となって犯罪へとつながる。
このシリーズは全てこれだ。
純粋でいられることが出来なかった無念を、緑子はちゃんと受け止める。
だから緑子は純粋に自分の情念に忠実でいいというのか。
それは違うだろう。
その、スマートでなさが、このシリーズの魅力なのかもしれないけれど。
文句を言いつつ、嫌悪感を抱きつつ、それでもやっぱり読んでしまう。
読んだら止められない。
緑子に対する反発が、読書の推進力になっているのかもしれない。
なかなか珍しい体験。