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「夫の居場所を残しておきたい」失踪した夫の事務所を継ぎ、京都で素人ながら探偵業を始めた下澤唯(しもざわ・ゆい)。ある時、行方不明になった遠藤祐介という男を捜してほしいという依頼が、その妻から舞い込んだ。手がかりは、遠藤の部下で愛人と噂される白石和美。だが、唯が尾行して二週間、和美は日がな一日、八瀬遊園の観覧車に乗り、黙って時が過ぎゆくのを待つだけだった。彼女は何かに絶望している……。みずからの姿を重ねあわせるようにして、愛する者を失うことに想いを寄せる唯。やがて、遠藤が、勤めていた建設会社で恐喝事件に関与していた事実が浮上し、唯の友人の刑事・兵藤も捜査に動きだした……。プロ作家としての第1作目である表題作を含む、珠玉の連作恋愛ミステリー!
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Posted by ブクログ
結婚して一年、夫が姿を消した。その帰りを信じて、
探偵だった夫の後を継いだ下澤唯。夫を待つ唯が遭遇する、
さまざまな男女の切ない恋愛模様。
愛しい人が突然、目の前からいなくなっとしたら…。
ただただ、待ち続けるだろうか。それとも、
いい加減のところで諦め、人生を切り替えて
生きていくのだろうか。
唯は待つことを選んだ。
それは、今でも彼を愛しているから。
夫の居場所を守るように、探偵という仕事を継いだ。
そうして、いつのまにか、十年が過ぎようとしている。
傷、悲しみ…、ハードボイルドの要素が詰まった作品だ。
ぶきっちょな男女が巻き起こす出来事。
その中を、唯は彼らの影響を受けながら進んでいく。
表題作の「観覧車」ほか、6編の男女に絡む物語。
桜と死体の取り合わせは、昔から小説の題材として
見かける。
その中でも、「観覧車」の美しさは心に迫った。
この取り合わせがすぐさま、心に美しい映像として
鮮やかに浮かび上がる。
その美しさは、もろく、はかなく、幻影のようだ。
蓋を開ければ、男と女のどろどろとした感情のもつれや
醜さが事実として隠されているのだが、
登場人物たちが交わす京ことばとあいまって、
柔らかい恋物語に仕上がっている。
夫の行方と、失踪の訳は、
続編「回転木馬」へと引き継がれる。
Posted by ブクログ
失踪した夫を待ち続ける女性のお話。
とても切なく、もどかしい。
このお話の中では、結局、夫の失踪の謎は何も説明されない。
うーん、続きがどうしても気になる、ニクい設定だなぁ(笑)
ぜひ、続きを読んでみたい。
ところで、主人公は下澤唯という名前の女性なんだけど、これまた、ニクいなぁ(上手いなぁ)と思ってしまう。
名前の「唯」。
「ただ…」とか「それだけ」といった意味がある言葉。
たまたま近くにあった辞書を引くと、もうひとつ、「ひたすら」という意味がある。
ひたすら、待ち続ける。
弱さや色んな感情と戦いながら、やっぱり、まだ「待ちたい」気持ちがあるんだな、彼女の中では終わらせられないんだなと思うと、彼女の心情を考えれば考えるほど、物語に引き込まれていく。
なんだか、「やられた」と思った。
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