ドナルド・キーンのレビュー一覧

  • このひとすじにつながりて 私の日本研究の道

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    ドナルド・キーンには4種類の自伝があり、本書はそのひとつ。もとはAsahi Evening News日曜版の連載。日本語に出会った時(11か12歳)に始まり、1960年代末(40代後半)までを綴っている。
    コロンビア、ハーバード、ケンブリッジ、3つの大学で学んだ。本書では、ケンブリッジ時代(26~31歳)に多くのページが割かれている。
    当時、戦争に疲弊したイギリスでは、食事を含め、すべてが質素。あてがわれた部屋も、寮内でもっとも寒かった。しかも、旅行中のミラノで大切なタイプライターと博論の下書きを盗まれた。窮状を見かねた友人の母親(ディッキンズ夫人)が救いの手を差し伸べる。下宿させ料理でもてな

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    2025年05月06日
  • 日本文学史 近代・現代篇八

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    「月に吠えらんねえ&たんねえ」を読んでいた身としては、オールスターズ状態で、今更ながら、文学史上ではこういう人だったんだなと勉強になる。現代日本における口語自由詩の活況状況を見ると、「西洋に追いついた」という言葉だけ見るとにわかに信じがたいものがあるが、こうしてみると、たった百年の間にここまで個性豊かで皆の印象に残っている詩がたくさんあるということは、実はかなり芳醇な環境にあったんだと納得させられた。

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    2024年11月22日
  • 日本の美徳

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    気軽に手にしたが、軽妙な文章と示唆に富む内容に惹かれて一気に読んでしまった。キーンさんが三島由紀夫や川端康成と直接の親交があったのも驚いた。源氏物語を読んで日本に興味を持ったとのこと、恥ずかしながらまだ読んでいないので現代語訳でも良いので読みたくなった。

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    2024年05月30日
  • 三島由紀夫を巡る旅―悼友紀行―(新潮文庫)

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    ネタバレ

     三島由紀夫が絶筆となった四部作「豊饒の海」の翻訳を遺書で依頼したドナルド・キーン(1922~2019)。当日、市谷会館で檄文の写しを受領、その足で東方総監部に行きバルコニーの演説を聞いた徳岡孝夫(1930~)。この二人が三島由紀夫を語ります。「三島由紀夫を巡る旅」、2020.3発行。「悼友紀行」(1981.10)の改題・文庫化。味わい深い内容でした。奈良、倉敷、松江、津和野を旅しながらの対談、どの土地も馴染みがあるので読みやすかったです。

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    2023年08月10日
  • 二つの母国に生きて

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    「むろんキーン氏は、両国の架け橋になろうなどという鯱張った公的使命感に衝き動かされて、研究や翻訳の仕事を行なってきたわけではない。(中略)要するに自分の生きたい人生を思うさま生きてきただけだ。そして、そういう人物であるがゆえに、人々は心を開いて彼を信頼し、その信頼がおのずと「橋」たらしめたのである。」解説 小さな名著(松浦寿輝)より

    キーン氏ご本人も、文庫版あとがきに“今の私”が不思議と書いた頃の当時の“私”に似ていること、冗談は今でも通じそうだと笑っておられたけど、今こそ多くの人に読まれるべき「小さな名著」だと思う。

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    2022年10月09日
  • 『ニューヨーク・タイムズ』のドナルド・キーン

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    若き日のドナルドキーンさんのエッセイ書評集。
    1955年から1987年までの約30年間に、ニューヨークタイムズへ寄稿した27本のエッセイを収録している。 日本に関わる様々な本や文化に関する考察、苦労話、旅行記などを紹介しているが、面白かったのは日本文学の翻訳について。 日本語の微妙なニュアンスをどう英訳するか色々苦労があったらしい。
    当時の欧米文化人達のアジア文学に対する偏見、戦後の日本人の変化、川端や三島など親しかった日本人作家の話、東京や瀬戸内の旅行記など、様々なジャンルについて自身の考えが述べられており大変面白かった。
    またメトロポリタン美術館の日本展示室開設の経緯についてのエッセイも

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    2022年09月25日
  • ドナルド・キーン わたしの日本語修行

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    少しだけ日本語教育に取り組んだ事がある。その時、キーン氏を知った。日本語を日本人を日本文学を、日本人以上に愛した人格者。
    戦争中の敵国語を、純粋に日本語として愛し、学んだキーン氏。ここまで日本を愛してくれ、素晴らしい文学を広めてくれてありがとうと言う気持ち。
    また、彼の純粋な姿勢って[好きこそ物の上手なれ]なんだなぁ〜と思う。

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    2022年08月28日
  • 日本の美徳

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    面白かったし、所々で感動しました。
    今年読んで良かった本の一つです。

    石川啄木や、三島由紀夫の話も興味深かった。

    学校での古典の教え方についての瀬戸内寂聴さんとキーンさんのご意見にも共感。
    面白ければ、自分で文法を気にせずどんどん読んでいくから、文法偏重型の教え方よりも、楽しく読める授業にしてほしいですね。

    最後にキーンさんから、未来を担う子どもたちへのアドバイスがあるのですが、これも大変良かった。ぜひ多くの人に読んでもらいたい本なので、新書以外でも出して欲しいと思いました。

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    2022年08月19日
  • 日本文学を読む・日本の面影(新潮選書)

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     ぼくら凡人が何となく捉えている日本文学の本質をを、実に鮮やかに解説してくれる。「ガイジンさんの目」ならではこそと唸らされた。
     第一部は近・現代の日本作家の論評。第二部はやはり日本文学を扱っているが、エッセー風で、ぼくにとってはこちらの方が楽しく読めた。
     第一部にやや喰い足りぬ思いを抱いたのは、本書を読む直前に「日本文学の歴史 (11) 近代・現代篇 2」を読み終えたばかりだったせいで、これは当たり前。同じような作家への論評のボリュームが圧倒的に違う。読む順番を間違えた。

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    2020年08月16日
  • 思い出の作家たち―谷崎・川端・三島・安部・司馬―(新潮文庫)

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    谷崎、川端、三島、阿部、司馬の5名に対する親愛に満ちた論評・エピソード集。いずれも著者のあたたかい眼差しが彼らに向けられている。
    谷崎:「この新訳(源氏物語)に費やした四年間を、彼自身の創作に打ち込んでいたならばと思うと、やはり残念と言わざるを得ない。」とは、谷崎に対する最大限の賛辞だと思う。
    川端:「美しさと哀しみとの賞讃者にして日本初の前衛映画のシナリオ作者、日本伝統の保護者にして破戒された街の探査者(エクスプローラー)この矛盾した様相が作品に与える複雑さが川端を、現代日本文学の至当なる代表者にしてノーベル賞のふさわしき受賞者にしたのである。」も、至言といえよう。私にとっては難解でとらえど

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    2019年07月09日
  • 二つの母国に生きて

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    末尾の解説者が、本著は「小さな名著」であると書いている。同感。読みながら、キーン氏の魅力に惹きつけられ、楽しい気持ちになる。また日本はこんな素晴らしい人を引き付ける魅力があったのだと嬉しくなる。同時に昨今の日本を寂しくも感じるが。

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    2019年05月05日
  • 二つの母国に生きて

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    この人の書く物が本当に大すき。両言語できるからこそ日本人に伝わる文化論。日本人は違いを重視しすぎという指摘は胸に刺さった。

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    2018年11月16日
  • 日本文学史 近代・現代篇六

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    取り上げているテーマは戦後文学、女流の復活、そして三島由紀夫。キーン氏の三島由紀夫に対するあたたかなまなざしも感じる。

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    2018年09月17日
  • 二つの母国に生きて

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    【キーン氏の文章は、謙虚で誠実な“日本への愛”を呼び覚ましてくれます】
    日本研究の第一人者、コロンビア大学名誉教授のドナルド・キーン氏が 80年代に綴ったエッセイ集です。全編を通して、米国に生まれたキーン氏が日本に魅せられ、深い知性と謙虚な学びの姿勢で日本の人・文学・文化と向き合ってきた様子が浮かびます。
    2011年3月の東日本大震災の後、キーン氏が日本に帰化したことが報じられました。その頃、世代の違う自身は、キーン氏を“日本に詳しい外国の研究者”位にしか認識していませんでした。しかし、本書を読んで、その考えがあまりにも浅かったことを思い知らされました。

    本書は、キーン氏の日本との“馴れ初め

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    2016年11月05日
  • 二つの母国に生きて

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    戦争裁判の話は踏み切ったところまで入り込んでるのが興味深かった。他のアメリカ人からはこういう意見は聞けないと思う。

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    2016年03月13日
  • 日本文学史 古代・中世篇四

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    いよいよ歴史は武士の時代へ。歴史(政治)が文学を変えていく動因だということがよくわかります。そして、そんな変化の時代は、芸術が一瞬のきらめきを放つ時代。平家物語、新古今和歌集、方丈記が、13世紀初頭という同時代に成立しているんですね。キーン氏の筆もさえにさえてます。

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    2014年08月09日
  • 英文収録 おくのほそ道

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    日本文学研究者のドナルド・キーン氏による英訳がついた『奥の細道』。表紙から読み進めれば日本語版の原文が、裏表紙から読めばキーン氏の翻訳による英語版が読めます。

    これを読むまで『奥の細道』が単なる旅先での俳句を集めただけのものではなく、紀行文としてきちんとした文章があり、その中でちょこちょこと俳句が置かれているというものなのだ、ということを知りませんでした。そんな浅学な自分であっても、日本語版を読むと芭蕉の文章の美しさというか、まさに「流麗でさらっと読み進められる」という感覚を味わうことができました。昔の仮名遣いの文章でそれが感じられるというのは、やはり凄いことだと思います。

    そんな中で、読

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    2013年10月31日
  • 明治天皇を語る

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    ネタバレ

    著者は、日本文化の英語での紹介者として有名。
    イギリスに近代制度を学び、皇室制度が確立していく過程を、一人の天皇に即して、辿っている。
    日本人の目で見るよりも、より本質的な事項を記述しているかもしれない。

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    2011年12月30日
  • 明治天皇を語る

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    明治天皇は幕末志士に持ち上げられてきた存在という先入観をもっていた。天皇は単なる象徴的存在という意識が勝手にできてしまっていた。本書を読んで、明治天皇は国のトップとしてその責任をきちんと全うした人物として捉えなおすことができた。日本人として必須な知識を得ることができホッとしている。銘記すべきは「大帝たる最大の理由は絶大な権力を持っていながらそれを行使しなかったこと」である。この言葉は奥が深いと感じている。

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    2009年10月04日
  • 明治天皇を語る

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    ぶあつい「明治天皇」を読むのは覚悟が必要だが、これは新書なので気軽に手にとることができ、驚くほどあっという間に読むことができた。
    キーン氏の語る明治天皇は、天皇としては理想的なほど自らに厳しく、皇帝たろうとする人だったようだ。他に明治天皇に関する知識を持たないので否定も肯定もできないが。
    キーン氏の著作はもっと色々読みたい。

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    2009年10月04日