ドナルド・キーンのレビュー一覧

  • ドナルド・キーン わたしの日本語修行

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    ドナルドキーンさんは、時々TVで見かける日本通の方というイメージだった。
    その程度の認識だったので、東日本大震災後に日本国籍を取得する決心をしたという報道をニュースで見た時「なんでこんなことがニュースになるのだろう?」と思った。

    今回生前にドラルドキーンさんとのインタビューを収めた本を読んで、キーンさんの半生。コロンビア時代に日本語に興味を持ち、機会を得て海軍の日本語学校で日本語を学び、太平洋戦争では日本兵の日記などを読み、日本軍の次の作戦を調べたり、日本兵の聞き取り調査を実施したりした。と言う話は全く知らない話だったので驚いた。(自分が子供の時に放送したNHK大河ドラマ「山河燃ゆ」の世界だ

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    2020年10月07日
  • 思い出の作家たち―谷崎・川端・三島・安部・司馬―(新潮文庫)

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    ネタバレ

    ドナルド・キーン氏が、今年(2019年)の2月に96歳で亡くなったことは、まだ記憶に新しい。外国人でありながら、日本文学や日本文化にこれだけ精通している研究者は、まずいないだろう。

    そんなキーン氏が自ら選んだ5人の日本人作家について、特別な思い出を語り記したエッセイが本書である。それにしても、日本の文学史上でも巨匠と言われるようなこの5人について語ることができるほどの親密な関係性を持つキーン氏もまた、恐るべき人物であると思う。

    最初の谷崎、川端については、おそらくキーン氏の研究対象としての偉大な存在であったのだと思う。キーン氏は、1953年に研究のために日本へ来たが、居を構えたのは、谷崎邸

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    2019年12月08日
  • ドナルド・キーンのオペラへようこそ! われらが人生の歓び

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    今年亡くなったドナルド・キーンさんの最後のエッセイ。
    彼はオペラの愛好家で、本職の日本文学と同様にオペラを愛し、深い洞察力を持った聴き手だったようです。この本には、彼のオペラとの出会いからニューヨークメトロポリタンオペラ(MET)でのオペラ鑑賞の日々、コンサートの記録、曲の内容や歌手の評価など、人生に大きく影響を与えた音楽の世界を紹介しています。
    音楽の聴き方や歌手の特徴等には、多少マニアックなところがあって、正直、私のような素人にとっては、彼が取り上げた全く知らないオペラや歌手の評価を読んでみても実感が伴わない感じがあります。でもオペラ好きの人にとっては、とても楽しめる内容ではないかと思いま

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    2019年08月08日
  • ドナルド・キーン自伝 増補新版

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    キーンさんが、アメリカに生まれ育ちながら、どのように日本に惹かれていったかがよくわかる。コロンビア大学時代、ケンブリッジ大学時代、そして日本でいろんな人と会い、交友を深めてゆく。有名人が多い。バートランド・ラッセル、ウェイリー、マリア・カラス、グレタ・ガルボ、三島由紀夫、川端康成、大江健三郎、安倍公房、吉田健一、…。読んでいて華々しくもなる。日本文化を愛し、オペラを愛す。日本人になり、日本で亡くなったが、よい人生だったと思う。

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    2019年06月08日
  • ドナルド・キーンのオペラへようこそ! われらが人生の歓び

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    借りたもの。
    キーン氏のオペラ・エッセイ。
    オペラに魅了され、METの会員になった経緯や、名作の解説、往年の声楽家たちへの敬意など、読みやすく読み応えのある一冊。

    METの歴史も垣間見れる。
    先の大戦で戦禍を逃れるためアメリカに渡ったヨーロッパの芸術家たち。それが戦後アメリカに質の高いオペラをもたらしたこと。
    そしてオペラには新しい試みをする機会を与えたことを理解する。

    モダンな時代設定への変更が、現代人へ親近感を持たせるものではない、という苦言も呈している。
    オペラにある古典王道の安心感や、その異界(今、私たちが生活しているリアルとは異なる)への冒険があること
    上演時と同時代設定の場合、

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    2019年05月26日
  • 二つの母国に生きて

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    キーンさんが見た、谷崎潤一郎、三島由紀夫、吉田健一等々。三島は、いつも高笑いをしていたが、眼が笑わない、とか、後年、ボデイビルで鍛えた肉体を誇示するような服装をする等々、身近に見たからこその思い出が一杯であります。石原慎太郎が、伊豆の川奈ホテルで見かけた、三島の水泳練習の話と重ねると(体は筋肉質だが、泳ぎのセンスがあまりなく等)、三島由紀夫の姿がよく見えてきます。

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    2019年03月12日
  • 日本人の質問

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    日本人より日本人的センスの光る見事な日本語。海外出身者だから感じられる日本の良いところと変なところ。
    日本の国内だけにいたら当たり前過ぎて気づくことの出来ない事もわかりやすい日本語で読み易く書かれてます。
    『銀行へ行くとハンコのことを印鑑と言っている。区役所では実印で、郵便配達は認めと言う。同じハンコなのに場所によって呼び方が違う。…、もっと外国人にもわかりやすい、基本的な日本語を発明したらいいと私は思う。』
    ごもっとも‼️

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    2018年11月17日
  • 日本文学史 近代・現代篇五

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    取り上げられているのは私小説、戦争文学、太宰治と無頼派。前半二項については若干の読みづらさを感じる。翻訳しにくい箇所であったか。一方、太宰治と無頼はについては縦横に論が展開され、読み応えあり。未読の太宰に触れてみたくなると同時に、既読の太宰も再読したくなる。

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    2018年09月10日
  • 日本人の質問

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    ドナルド・キーン氏が主に1980年代に執筆した、日本・日本人に関するエッセイ・論考集。日本への温かなまなざしが伝わる。

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    2018年04月08日
  • 私の大事な場所

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    キーンさんの日本文学は分かりやすく、しかし浅くない知識が込められている。
    その背景に触れられる一冊。

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    2018年02月25日
  • 日本を、信じる

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    90歳とは思えない二人の対談は多くの学ぶべきことを含んでいるように思う。この歳で今現在明晰な二人が対談することの意義は大いにあるように思う。個人的には情報将校として日本に降り立ったキーンさんの当初日本に受けた米国人としての想いが印象的だった。日本について想いのある語りは有意義なものだったと思う。

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    2017年12月18日
  • 二つの母国に生きて

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    2011年に日本へ帰化されたキーン先生の80年代に書かれたものが中心のエッセイ。これだけ読みやすく明晰な文章を外国の方が書かれたなんて日本人として恥じ入るばかりである。キーン先生は日本のお正月がお好きなんですね。谷崎や三島らとの交流を描いた章はかなり貴重だ。谷崎、女友達しかいなかったのか…。三島が鍛えた体を誇示するためプールサイドで寝そべっていたが水に入るところを見たことはなかった、という文章でちょっと笑ってしまった。体は鍛えたけど泳げなかったのか?ユーモアを交えつつ亡き友・三島を偲ぶキーンさんが切ない。

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    2016年08月20日
  • 二つの母国に生きて

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    渡米する前に読んでおきたかったので。
    日本文学研究のパイオニア、ドナルド・キーン。ただ文学を研究するだけでなく、その背景にある文化などにも強い関心を持ち、何より日本という国に母国へのそれにも劣らない深い愛情を注いでいたことを知り驚いた。
    三島由紀夫や谷崎潤一郎などの文豪などとも交流があり、彼らの意外な一面も教えてくれるエッセイ集。読みやすくておすすめ。

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    2016年08月03日
  • 明治天皇を語る

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    明治天皇は長生きだったので、当時の激動混沌とした社会情勢には深く関係しているはず。
    にも関わらず、明治時代の政治家、文化人、軍人などについてはめんみつなけんきゅうがあるのに、明治天皇についての著書は全くないわけではないが、非常に少ない。

    本書は、明治天皇の人物像にフォーカス。彼の暮らしぶり、言葉遣い、どんな声で、どんな話ぶりだったのか。皇后、奥さんを何と読んでいたのか、天皇への教育内容、儒教思想が与えた影響などなど。


    勲二等旭日重光章を受賞したドナルド・キーン氏による一冊。

    大帝と呼ばれた、世界に誇るべき指導者。指導者のあるべき姿が見える。

    俺は右でも左でもないが、ビジネス書に危うく

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    2016年04月08日
  • 私の大事な場所

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    ドナルドキーンの読みやすいエッセイ。様々なところで寄稿、講演されたものを集めてあるので、読みやすいもののエピソードが重複していたり、文体の統一がなされていなかったところが残念。しかし、海外からみた日本文学がどのようなものか、時代とともに認識の変化などわかりやすかった。

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    2014年10月22日
  • ドナルド・キーン わたしの日本語修行

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    キーンさんがインタビューに答え、自分の日本語修行だけでなく、先生、テキスト、教え子だけでなく、日本文学をはじめとする学問とのかかわりを語ったもの。インタビュアーは,日本語教育学専攻の東京外大の河路さん。河路さんがインタビュアーを引き受けるきっかけになったのは、キーンさんが使っていた長沼直兄のテキストが、長沼学校から東京外大に寄贈され、それを整理していたことからだそうだ。この長沼学校、ぼくは1980年頃日本語教育学会の研究例会で発表をしたあと、そこの浅野鶴子先生という方に案内され訪れ、紀要までもらったことがある。浅野先生にはとてもかわいがっていただいたが、その後ご無沙汰しているうちにお亡くなりに

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    2014年10月07日
  • 日本文学史 古代・中世篇五

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    古代・中世篇 五 とは対照的に、馴染みのない作品ばかり。知っていたのは徒然草ぐらいで、聞いたことのない物語や日記文学、学校では習わなかった連歌など、敷居が高くて読むのに時間がかかりました。
    それにしても、古代・中世篇ものこすところ、1冊。土屋政雄氏の素晴らしい訳文が読めなくなると思うと、寂しいです。

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    2014年08月10日
  • 明治天皇を語る

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    明治天皇は授業でもほとんど触れない方だったのでどんな方なのか全く知らなかったので、この本を読んで明治天皇の素顔が知れた気がする。とても、質素な生活をする方だったようでびっくり。庶民に近づくために努力する姿など、天皇なのに…と思ってしまう程である。著者の方はアメリカ人だが、日本人の私より日本史に詳しい。勉強し直さなければ。

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    2014年05月19日
  • 日本文学史 古代・中世篇三

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    いよいよ古代・中世篇のクライマックスともいえる「枕草子」と「源氏物語」が登場です。それにしても、1000年前が女性の才能をこれほど花開かせる社会だった、というのは、日本は女系社会だった、という証左でしょうか。

    おもしろかったのは、「説話文学」の章で述べられている日本的ヒーロー論。河合隼雄氏の浦島太郎論“このヒーローは英雄的な戦いで女性を獲得するのではなく、むしろ女性によって捕らえられる”を引用し、日本的ヒーローは受動的で、西洋人にとっては不完全と思われる、と述べています。これも、日本が女系社会だったということと関連していそう。

    西洋の視点からみた日本文学史っていうのも、この本の面白さの一つ

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    2013年12月02日
  • 日本文学史 古代・中世篇二

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    古代・中世篇一を読んで、ドナルド・キーン氏の吸引力に巻き込まれ、篇二を購読。そして、篇二を読み進めるうちに、その吸引力がキーン氏の論旨によるものというより、その文章・文体に端を発していることにハタと気が付く。そう、その訳文自体に心が持っていかれている。訳者は土屋政雄。調べてみると、その昔、麻薬のようにうっとりとさせられた「イギリス人の患者」の訳者だ。なんてことだろう。ホント、びっくりした。「イギリス人の患者」もストーリーよりも訳文の方にうっとりきてたのかも。

    閑話休題、古代・中世篇二は、古今和歌集に始まる勅撰和歌集と平安時代の日記文学。花といえば桜、桜といえば吉野といった、日本人の常識がこの

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    2013年09月17日