ドナルド・キーンのレビュー一覧

  • 日本文学史 古代・中世篇一

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    気軽な気持ちで何気なく手に取ったのに、著者の日本文学を愛する情熱に引きずり込まれて、なんだか全巻読まなければならいような気にさせられてしまった。といっても、全巻あわせると18巻にもなるから、とりあえず、古代・中世篇は購入しよう。おそるべし、ドナルド・キーン氏の吸引力。

    古代・中世篇一は、古事記から平安時代前期の漢文学まで。特に、山上憶良に対する見方が変わった。子煩悩なお父さんってだけではなく、社会派だったのね。あとは、空海。“文学史に空海?”って思ったけど、「三教指帰」という戯曲仕立ての著作について、扱われている分量としては少ないながら、その特異性が際立っている。まずは、司馬遼太郎の「空海の

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    2013年05月12日
  • 明治天皇を語る

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    ネタバレ

    費用がかかるからと、新皇居建設に反対されたり、あて布をした服を着用されたり。
    でも、香水は3日で空にする程、好き。お酒も好き。

    明治天皇の人柄が垣間見れる本でした。

    劣悪な環境や天候の中、訓練中の兵たちを見つめ微動だにせず、何時間も同じ場所に立ち続け、見守っている姿。
    ・・・何も言わなくてもただ、そこにあるだけの重要さって確かにある。

    日露戦争で勝利の報せを受けた明治天皇の第一声が
    「降伏した将軍の武人としての名誉を大切にせよ」
    だったというのに感動しました。

    明治天皇が乃木を学習院長にしたことは有名ですが、ずっと腑に落ちないでいたのですが、この本を読んで解消されました。
    ・・・そっか

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    2012年12月13日
  • 明治天皇を語る

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    著者には、「明治天皇」という大作があるが、本書はその本の紹介というかエピソードなどを記した本である。明治天皇は、当時の諸外国の皇帝と比べて最も立派で大帝と呼ぶににふさわしいと著者は言う。近代日本の立役者であるのに、その実態は知られていないというか書くのは畏れ多くて手付かずになっていたのを、外国人である筆者だからこそ客観的に書いて評価しているのだろうと思うが、それでもそこまで言い切るのだから、本当に偉大だったのだろう。そのような天皇がいたことをなぜか誇りに思ってしまうし、もっと知りたくなってしまう。つまり、この本を読むと、筆者や出版社の思惑通り「明治天皇」を読みたなってしまうのだ。

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    2012年11月18日
  • 日本文学史 近代・現代篇六

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    ネタバレ

    文学史を学ぶことが結構面白いと思うようになってきた。人口に膾炙した作品や表現を学ぶと言うことは歴史の連続性を考える点で重要な事と認識できるようになった。それだけではなく、読み物として愉しむことができる。これも歳を経たからなのかもしれない。

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    2012年08月10日
  • 明治天皇を語る

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    国民から畏敬され、非常に愛されていた明治天皇陛下。国民を思い、国民の目線で生き抜いたお姿に、明治神宮がたつ由縁を知る。

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    2012年03月08日
  • 私の大事な場所

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    キーンさんの著作を読むと、自分が日本人として生まれたこと、日本語が母国語であることが、どれほど素晴らしいかしみじみと感じる。それは、キーンさんが、日本への愛を、下手な愛国者なんぞよりもよほど示しているからだろう。その熱情が、われわれ読者にも伝わってくるのだ。

    この本は、キーンさんの思い出を書いたエッセイの集成である。和田誠さんの表紙絵が似合う優しい文章が詰まっている。内訳は、
    Ⅰ:旅行記
    Ⅱ:自身の研究について
    Ⅲ:旧友への追悼文
    Ⅳ:オペラ論
    となっている。

    いち安部公房ファンとして、公房先生への追悼文が収録されていたのは嬉しかった。キーンさんは公房先生の(数少ない)友達であった。公房先

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    2012年03月06日
  • 明治天皇を語る

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    私にとって天皇とは、同じ人間だからこそ神のような存在に映る。

    著者ドナルド・キーンはあとがきで言う。

    「明治天皇には、こういった(当時のドイツ皇帝や朝鮮国王のような(栗原・注))横暴な言動は一度もありません。やろうと思えばできたことなのです。十分な権力がありながら行使しなかった」

    このような人物は、同じ人間として全く信じがたい。私だけではなく、皆心ひそかに思っているのではないだろうか。北朝鮮の独裁体制を口では非難しながらも、自分が金正日と同じ立場に立たされたら、あんなものでは済まないほど富と権力を我がもの顔、したい放題にするのではないかと。そしてそれは恐らくそのとおりなのだ。

    私は照れ

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    2012年03月02日
  • 明治天皇を語る

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    誰でも知っているようで、教科書でも歴史小説でもあまり取り上げられることのない、明治天皇の人となりと、どのような指導者であったかを興味深く説いている。ドイツやロシアのような暴君ではなく、当時の皇帝の中では世界一と述べている

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    2012年01月11日
  • 明治天皇を語る

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    [ 内容 ]
    前線兵士の苦労を想い、率先して質素な生活に甘んじる。
    ストイックなまでに贅沢を戒めるその一方で、実は大のダイヤモンド好き。
    はたまた大酒飲みで風呂嫌い―。
    かつて極東の小国に過ぎなかった日本を、欧米列強に並び立つ近代国家へと導いた偉大なる指導者の実像とは?
    日本文化研究の第一人者が、大帝の素顔を縦横無尽に語り尽くす。

    [ 目次 ]
    第1章 一万ページの公式記録(完璧な資料『明治天皇紀』;外国人が見た明治天皇 ほか)
    第2章 時代の変革者(十六歳で突然の即位;理想の花嫁候補 ほか)
    第3章 己を捨てる(明治天皇の義務感;前線兵士を想う ほか)
    第4章 卓越した側近に支えられて(贅

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    2011年05月23日
  • 私の大事な場所

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    ▼ドナルド・キーンさんと言えば、ガイジンさんですけれど日本文学者。ということは知っていて、このエッセイ集がどこかでたれかが褒めていて、ふらっと買って読んでみました。

    ▼そしたらびっくり、あまりと言えばあまりにも日本語が洗練されていて。こりゃぁ只者じゃないぞ、と、このエッセイ集を一旦止めて、「ドナルド・キーン自伝」を読み始めたんです。それはそれは面白くて・・・。

    ▼自伝に大満足して。しばらくしてから、このエッセイに戻りました。そうしたら・・・まあ、予想通りなのですが、自伝に比べたら面白くない。当たり前なのですが。高峰秀子さんだってたれだってそうなのだから。

    ▼キーンさんがお気に入りの街や思

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    2024年01月05日
  • ドナルド・キーンのオペラへようこそ! われらが人生の歓び

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    オペラの楽しむ観点や一般的な作法や、それと対比して語られるキーンが考えるところの本質が書かれていて面白かった

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    2022年09月04日
  • 思い出の作家たち―谷崎・川端・三島・安部・司馬―(新潮文庫)

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    有名な作家だから読まなかったりしてきた…
    そんな作品や作家をドナルドキーンという海外の方が語る…
    それだけ日本を知り愛してくれているのだろう。
    少し上の世代の方にはとても馴染みがある方のようだ。

    文量はとても薄いので、触れてみたい人にはちょうど良い。

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    2022年08月20日
  • 『ニューヨーク・タイムズ』のドナルド・キーン

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    日本文学者のドナルド・キーンさんがニューヨーク・タイムズに寄稿した27本のエッセイの翻訳書。三島由紀夫や川端康成などの日本作家の話から、石油ショックで右往左往する日本人のこと、外国人に向けられる差別など皮肉も交えて痛快に書かれている。書かれている内容に偏りがなく、非常にフラットな立ち位置で冷静に見ているという印象が強かった。それには相当な研究や情報収集の裏付けがあるからだろうと想像する。瀬戸内紀行の章では、オリーブの加工品に触れた一文があり、私はどれもお勧めしないと書かれていて笑ってしまった。嫌みがないんだなあ。

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    2022年05月21日
  • 明治天皇を語る

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    ドナルド・キーン氏の「明治天皇」(新潮文庫)は、近代日本史を知る上で、読むべき本だと思う。
    この本は、その後に出されたもので、随筆的な作品になっている。
    また、歴史本というよりも、明治天皇の”人間面”、詰まり、その性格、生活に関することが中心となっており、その意味で貴重な情報を知ることができる。
    (著者は、当時のサイド情報、特に海外の情報も含めて多くの情報を収集した模様)

    明治天皇は深酒で必ずしも健康ではなかったが(61歳で亡くなる)、立憲君主の範を貫いた中に大変なストレスがあったのかもしれない。

    著者の明治天皇観として、一貫していることが、明治天皇へ敬意であり、それは日本の近代化への貢献

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    2021年05月23日
  • 日本人の質問

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    外国人が日本人の質問にどんな回答するんかなーという気軽なテンションで借りたんだけど、美術館廻った後みたいな疲労感がすごい。キーン先生が学者さんなこと忘れてた

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    2021年04月13日
  • 三島由紀夫を巡る旅―悼友紀行―(新潮文庫)

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    文通で友情を育んだドナルド・キーンと、あの「檄文」を託された」徳岡孝夫。親友二人が亡き友を語る。三島由紀夫没後50年、貴重な証言録となった追善紀行。

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    2020年11月20日
  • 思い出の作家たち―谷崎・川端・三島・安部・司馬―(新潮文庫)

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    手にした時のボリュウムに対して、読後の満腹感は意外とありました。ずっしり。
    キーン翁との交友のあった5人の文豪について、翁が語るエッセイ。有名どころ過ぎてそんな事は無いだろうなと思いつつも、今更「へえ」とさせられる点もぽつぽつあり面白かったです。

    安倍公房のキャラも、司馬さんの政治力も、各々の作品通りでなんだかかわいらしいと思ってしまいました。

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    2019年06月20日
  • 日本人の質問

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    ドナルド・キーンが亡くなった。彼の言葉を知らなければ谷崎潤一郎を読もうなどとは思わなかった。日本文学の大きな山脈である大谷崎。まだまだ登りきれてはいないのですが、いつか登りきりたいと思っております。合掌。

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    2019年03月14日
  • 英文収録 おくのほそ道

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     江戸時代(たぶん綱吉の時代?)に千住から東北の松島、平泉を経て、日本海側に出て、そこから新潟経由でずっと琵琶湖まで南下して最後は大垣で終わるという紀行文。『地球の歩き方』的な場所の説明(歴史とか)+その前後を含めた芭蕉自身がやったこと+感想+俳句(芭蕉と一緒に行った弟子の曾良の句も)、という内容。ドナルド・キーンの解説、英訳がついている。
     まず『おくのほそ道』がこんな短い話だとは思わなかった。ドナルド・キーンも書いているが「文庫本にすれば五十ページ足らずしかないテキスト」(p.88)で、字面を追うだけならすぐに出来てしまう。あと弟子と行ったということも知らなければ、てっきり東北に行って帰っ

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    2018年12月28日
  • 英文収録 おくのほそ道

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    単純に意味が取れなかったり、古典を引いているのか何のことやら分からなかったりで、正直、その魅力を味わいきったとは思わない。ムダをそぎ落としたような文章で案外みじかかった。

    ドナルド・キーンの解説によれば、必ずしも事実に沿った紀行文ではなくてかなりの脚色が入っていることが、後年、曾良の日記がみつかったことで明らかになったという。収められた俳句も即興ではなく推敲に推敲を重ねたことがわかっている。芭蕉が理想とする旅情を演出したと言うとウソっぽくも感じられるが、とはいっても自分の脚だけで旅をするわけであり、出発に当たっての惜別の情だとか現代と違うものがあったのだろう。

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    2018年11月05日