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京のぽっくりの音や蛙の声に古き日本を聴き取り、三島由紀夫、永井道雄ら当代の文豪・知識人に新鮮な刺激を受けた青春の日々。若き米海軍通訳士官から希代の日本文学研究者に至るまでのひたむきな道程。ドナルド・キーン前半生の自叙伝。
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Posted by ブクログ
ドナルド・キーンには4種類の自伝があり、本書はそのひとつ。もとはAsahi Evening News日曜版の連載。日本語に出会った時(11か12歳)に始まり、1960年代末(40代後半)までを綴っている。 コロンビア、ハーバード、ケンブリッジ、3つの大学で学んだ。本書では、ケンブリッジ時代(26~3...続きを読む1歳)に多くのページが割かれている。 当時、戦争に疲弊したイギリスでは、食事を含め、すべてが質素。あてがわれた部屋も、寮内でもっとも寒かった。しかも、旅行中のミラノで大切なタイプライターと博論の下書きを盗まれた。窮状を見かねた友人の母親(ディッキンズ夫人)が救いの手を差し伸べる。下宿させ料理でもてなし、博論の書き直しの手助けをした。一方、学内では、バートランド・ラッセルと知己になり、定期的にパブでビールのご相伴(ノーベル文学賞を受賞する前年だ)。作家のE.M.フォースターとも親しくなり、オペラの話で盛り上がる。そして憧れのアーサー・ウェイリー(『源氏物語』『枕草子』の訳者)にも会うことができ、生涯の師と仰ぐことになる。 とはいえ、オチもある。ケンブリッジの4年目、研究の成果として「日本の文学」の講義を担当する。準備万端で勇んで臨んだが、大教室にいたのは、下宿の宿主も含め、たったの10人。
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