阿部智里のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ外伝、短編集
「しのぶひと」…真赭の薄と済尾の話
そんな事があったとは!と驚いてしまった。
千早も良く人を見てるね。
「すみのさくら」…浜木綿が浜木綿になるずっと前、
若宮の悪友になるまでのこと。
子どもの頃に一緒の二人を想像すると楽しい。でも、
今もきっと変わらない関係なんだろうなというのが、
真赭の薄の描写でわかる。
若宮のさくら、見てみたい。
「まつばちりて」…二人の能筆家の話
これは悲しかった。でも、若宮・雪哉・澄尾が飛び
回る山内の世界ではこうして他の八咫烏にもそれぞれ
人生があり、必死に生きてるんだと、山内の世界観に
深みを与えた。
「ふゆきにおもう」…雪哉の実母と育ての母の話
雪哉のあの優秀さと性格がどんな人から受け継がれた
のかを知る事ができ、雪哉がますます愛おしくなる。
同時に、梓がどれだけ雪哉を想っているかも知ること
が出来て温かい気持ちになれる。
「ゆきやのせみ」…雪哉が蝉を食べるだけの話
とあとがきで阿部先生が書いてありましたが、その
通り。でも、雪哉が若宮を叱ってる様子や、若宮と
済尾が小さく(若宮はそうでもないか)なってる様子、
雪哉と若宮が雨宿りしてる様子を想像すると、とても
楽しくなる。読者の知らないところでも、確実に3人の
信頼関係は築かれていたんだと認識させられる。
「わらうひと」…再び、真赭の薄と済尾
済尾に幸せになって欲しい!
気持ちを素直にまっすぐに相手に伝えられるところが
かっこいいし、惹かれたきっかけが済尾らしくて、内
面も魅力的だと思った。 -
Posted by ブクログ
「玉依姫」を読んでから3ヶ月も経ったのが悔やしい。
これは、山内(八咫烏)視点で見た「玉依姫」で語ら
れた出来事とその時(と前後に)山内では何が起こっ
ていたかの話。
「玉依姫」を引っ張り出して読み直しながら、照らし
合わせながら読み進めた。
山神の怒りで死んだ烏は?若宮を庇って大怪我をした
のは?「玉依姫」で気になってた部分を含む様々な事
が判明します。
金烏が忘れている部分も。
全てが終わった後の若宮を見て、あの状況下の山内で
あの立場でそこにいた雪哉の絶対的存在を考えて、浜
木綿の言葉を噛み締めて、人にはそれぞれ役割がある
のだとしみじみ思った。
これが第一部終了のよう。
どういう二部になるのか楽しみ。
あと…雪哉を動揺させた名前が誰なのか気になる人は
「黄金の烏」も準備しておきましょう。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ1冊読むごとに、不安のまま終わっていたシリーズでしたが、今回はちょっと明るい未来が見える終わり方なのがよかったです。雪哉視点がなかったからでしょうね。
今までちょこっとずつ垣間見えていた、長束様のお坊ちゃま感がよく分かった回で、翠寛とのやり取りが、ほほえましくて小休止になりました。読み始めて早々、路近の周りへの関りが酷すぎて苦しくなっているところ、救われました。
いろいろな視点、いろいろな時間、そして場所がありました。登場していない時でも、今まで出てきた人物がどこかで存在しているのだなーと、思いながら読んでいく作品というところが凄いです。今回もおもしろかったです。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ一つ一つの短編は短い。しかし、ここまでの関係性やシリーズ二部に繋がる部分を深掘りしているので各編大事に読んだ。以下だらだらと感想。
かれのおとない
訪ひ おみまい、とむらい
茂さんの妹(みよし)の結婚前日に雪哉が訪ねる話。回想の中の雪哉の姿と今のギャップが悲しい。茂さんの死が猿との全面戦争への雪哉の決断に与えた影響の大きさを再確認した。
ラストのみよしの言葉に楽園への決意を固める様子は切ない。
さ百合花の歌、これからも会いたいからこそ今誠実に対応するのですと言う意味らしい。雪哉はみよしを、個人として支えてあげたかったのだと思う。しかし、みよしは自分ではなく民に誠実でいて欲しいと願った。それを受け止めて楽園の烏の描写に行くのは、雪哉も覚悟決まってるなと感じた。
その他短編集多数あり。勁草院の同期が絡む話は関係性が変わらず続いているのを見て嬉しくなった。
あきのあやぎぬ
不穏な始まりからは考えられないほど後味が良かった。
きんかんをにる
紫苑の宮いい子すぎる。もっと雪哉との絡みを見たかった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレGPSの進歩により、灯台がその役割を終えていっているという事実を初めて知った。
「海と灯台プロジェクト」協力のもと、灯台が存在することの意義を、その土地のあらましや歴史、灯台を守ってきた人々にスポットライトを当てることで言語化した、6名の作家さんによる紀行文。
作品を読みながら旅行気分に浸れるので愉しい。作家のみなさんが灯台の中の螺旋階段を登り、灯台室に入られる場面のわくわく感が伝わってきた。フルネルライトを初めて検索したが、見事なライトであった。
灯台の父と呼ばれるイギリス人のブラントンさんという方が、菜種油で火を灯す木造の灯明台が主な海の道標だった日本に、西洋式の灯台をもたらした。また、戦時中は灯台が攻撃の対象になったこと、灯台がある場所には神社があることなども知ることができた。
絶滅危惧種ともいえる灯台に、何を感じ、何を見るかは、そのひとの感応力によるのかもしれない。
灯台が海をわたる人々の命を守るために重要な役割を果たしてきたことは、時を経ても語り継がれなければならないと思った。 -
ネタバレ 購入済み
山内の外が普通に現代日本だったのが驚きだったし、そこまで話が広がるとは思わなかった。
今作の主人公と山神の終着点は感動的だったが山内はどうなってしまうのだろうか。
-
Posted by ブクログ
衝撃の展開からの今作はどんな感じで始まるんだろう?とある意味不安を感じながら開いた。どう考えても不穏な話にしかならなそうで私のメンタルが保つかしら…?と(笑)
ところがいざ読み始めると路近と翠のお話だったので、私にはある意味緩衝材的な物語になっていた。この物語構成も意図的の行われたものなんでは?と思った。
心揺さぶられる展開は確かに必要だけど、それがずっと続くってなるとしんどいのもまた事実。こうした周辺のキャラを深掘りすることでその匙加減を調節するようにしているとしたら凄いな、と。読者の視点を変え落ち着かせる効果もあり、物語に厚みを加えているし。
登場人物に一切の無駄がないのも凄い。主要キャラと同様にそれぞれが同じ時間軸で生きている様が感じられて、他のキャラの視点でこの世界をもっと見てみたいと思った。