阿部智里のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
八咫烏シリーズ第二部5作目。
“いつかきっと報いを受けるぞ、博陸候”
複雑な八咫烏たちの関係の果てに起こった悲劇。
山内の未来は弥栄か?それとも絶望なのか?
序章 第一章 影 第二章 人質 第三章 野良絵
第四章 御前会議 第五章 変節 第六章 誤算 終章
用語解説、人物相関図、山内中央図有り。
満ちた月は、あとは欠けゆくのみに・・・「望月の烏」の
ラストで呟いた、博陸候。それは予感だったのか?
山内の滅びの危機を救うための政策。命だけでも救って
やりたいという、せめてもの温情だとのたまうが、
彼の強引さが綻びというさざ波となって広がってゆく。
その流れの中にあるのは、
北家の朝宅に引き取られたトビと梓や雪雉たちの交流。
新たなる野良絵。金烏代・凪彦と後宮の女性たちの動き。
御前会議からの四家の思惑。明鏡院・長束の動きと失墜。
そして、やるせない悲劇が起こってしまう。
終章で衆目の前に現れるのは紫苑の宮。
新しい山内よ、弥栄あれ!
だが、もし博陸候を打ち滅ぼしたとしても、
その後はどうなるのだろうか?
今までの彼女の言動と行動が、何とも危う過ぎる。
あまりにも凄惨な物語の進行に戸惑ってしまいました。
トビは、金烏代・凪彦は、明鏡院・長束は、路近は、
どうなってしまうのか、不安でいっぱいです。
それでも懐かしい澄尾と真赭の薄の一家の登場や、
豪快な風巻郷の忍、その息子の懐かしい市柳の姿が嬉しい。
そして、ラストに紫苑の宮と共に現れた、医は翠寛。
ではもう一人の男は何者なのか?が、気になるところ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ2部に入ってからもうずっと、
新刊を読み始めるとあれ?今回は別角度からのお話で博陸侯軸とは違うのかな?と思いながら楽しく読んでいると急に現在の地獄パートに呼び戻されるわけですが……
今作は発売前から帯がもう、確約された地獄!!
すごくすごーーーく楽しみにしてたのに、読み始めるのにも抵抗を感じて3日寝かせてしまった……
今回はわかりやすく、2部で色々な方面から書かれていた話が1本に繋がった、収束に向かってるんだなという思いで読んでいたけど……
毎回毎回最後の章で怒涛の展開を持ってこられる!!!
わたしたち読者は(主語がでかい)1部からずっと雪哉のことを見守っているので、雪哉が何をいちばん大切にしているのかを知っているから……
なんという無知の愚かさ、ほんとうに大誤算。
こうなってしまったら、雪哉が山内自体に見切りをつけてしまうんじゃないかとすら思ってしまう。
2部始まった当初は期待していた紫苑の宮も、今となっては余計なことをするなぁぁぁ!!!という気持ち
ほんとうに、あと1巻。
なんでも良いので雪哉が救われてほしい。
-
Posted by ブクログ
最初この作品を読んだ時と、その先を読んで戻ってきたのでは感じ方が異なる作品。何度読んでも美味しい。このタイミングでの再読は正解でした。
一章から何十年経っているのだろう?
貴族と貧民と外界からきた人間の三つの立場。
あの雪哉がヒール役になっている。
一度目は戸惑いが大きかった。
二度目は雪哉より他の人がヒールに見えた。(千早除く)
私の中に変わらずにある雪哉への絶対的信頼。雪哉はエレンなんだ、と私は勝手に思い込んでいる。
この作品を最初に読んだときは一章と雰囲気が違いすぎてこの先楽しめるか不安だったが、この二章のための一章だったと思えなくもない再読でした。
2025.3.15
59
-
Posted by ブクログ
ネタバレ翠寛さんの事は正直舐めてました。舐めてたと言っても雪哉にに負けた人という認識だけでしたけど。
生まれはどうしようも無い。気付いたらそこにいるから。けど、何処かに行こうとするには縁、又は金が必要で。どちらも運と言えば運だけども、翠寛さんが今そこにいるの並々ならぬ努力と己を曲げない心の強さだとも思う。
翠寛さんは雪哉と違う状況で会っても、最初から同じ立場で近くにいても相容れなさそう。同族嫌悪に似た、けど違う何か。
清賢院士は凄い人。居てくれて良かったと思う人。
奈月彦の遺言が公開された後の皇后側の話を読んでもやっぱり何故って思う。と言うかより一層その遺言は駄目だろうと思ってしまう。
分かっていながら、違うものを望む。
望むのが悪い訳では無いけど、どうにも辛い。 -
Posted by ブクログ
八咫烏シリーズ第二部二作目。
(単行本で登録できないので、文庫版で登録)
第二部一作目では猿の対戦後、「弥栄の烏」から20年後が描かれていて、何があった、雪哉?!というまま投げ出された感があったが、その何があったか、についてついに語られる巻。
えぇっ!?
そんな…あっけなく?!
いやでも、うーん…
青天の霹靂、雪哉の心には大打撃だったろう。
序盤は、山神の不在により山内がいずれ崩壊するという危機、政治など問題山積みだがなんとか山内の未来のための活路を見出そうとしていて明るい希望も見えていただけに、その衝撃は計り知れなく、登場人物でない読み手(私)も辛すぎて途中読み進めるのが難しく一旦本を閉じた程。
本当に胸がざわつく内容だったが、中でも、登場人物たちも、私もすっかり存在を忘れていたあの人の凶行、その背景は悲しく、やるせなかった。誰からも意識されることなく、忘れ去られることはどれだけの孤独だったことだろう。
終章「答え」に登場した、澄尾とますほの娘、葵あらため「澄生」が任官試験「貢挙」を受けたあと、どうなるのか、が今後の見どころ。
ともかく、八咫烏シリーズの主人公といっても過言ではない雪哉には、降り注ぐ悲運、悲劇で打ちひしがれて明るさが消えてしまったとしても最後には彼なりの幸せにたどり着いてほしい…
-
Posted by ブクログ
ネタバレ外伝、短編集
「しのぶひと」…真赭の薄と済尾の話
そんな事があったとは!と驚いてしまった。
千早も良く人を見てるね。
「すみのさくら」…浜木綿が浜木綿になるずっと前、
若宮の悪友になるまでのこと。
子どもの頃に一緒の二人を想像すると楽しい。でも、
今もきっと変わらない関係なんだろうなというのが、
真赭の薄の描写でわかる。
若宮のさくら、見てみたい。
「まつばちりて」…二人の能筆家の話
これは悲しかった。でも、若宮・雪哉・澄尾が飛び
回る山内の世界ではこうして他の八咫烏にもそれぞれ
人生があり、必死に生きてるんだと、山内の世界観に
深みを与えた。
「ふゆきにおもう」…雪哉の実母と育ての母の話
雪哉のあの優秀さと性格がどんな人から受け継がれた
のかを知る事ができ、雪哉がますます愛おしくなる。
同時に、梓がどれだけ雪哉を想っているかも知ること
が出来て温かい気持ちになれる。
「ゆきやのせみ」…雪哉が蝉を食べるだけの話
とあとがきで阿部先生が書いてありましたが、その
通り。でも、雪哉が若宮を叱ってる様子や、若宮と
済尾が小さく(若宮はそうでもないか)なってる様子、
雪哉と若宮が雨宿りしてる様子を想像すると、とても
楽しくなる。読者の知らないところでも、確実に3人の
信頼関係は築かれていたんだと認識させられる。
「わらうひと」…再び、真赭の薄と済尾
済尾に幸せになって欲しい!
気持ちを素直にまっすぐに相手に伝えられるところが
かっこいいし、惹かれたきっかけが済尾らしくて、内
面も魅力的だと思った。