阿部智里のレビュー一覧
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ネタバレ八咫烏シリーズ第5作!
神話にまつわるセオリーを感じる今作『玉依姫』
そう来たか!阿部智里!
と思わずにはいられない、この八咫烏シリーズ第5作「玉依姫」
前代未聞の脅威、八咫烏(ひと)喰い猿の出現により、窮地に立たされた山内という流れからの、まさかの違う世界での話。
前作まで読んだ人にとってはネタバレにはならないですが、八咫烏の住む山内の外側である外界には、人間が住んでいます。
ここに来て、人間が関わってくる!
タイトルに『烏』が付かない今作のメインは、
「八咫烏」ではなく「人間」なのです。
前4作までのファンタジー世界とは毛色の違うファンタジー。
ある意味では、宗教・集落・伝統(言い伝え)・祭事という、人ならざる者と人間との繋がりを描くミステリーファンタジー物語として定番ではある部分を、これまでは「人間」が出てこなかったから、第5作目にして出てきたわけです。
前作までに少しだけ話に登場した、商売相手の大天狗もがっつり登場。
若宮・奈月彦は外界に遊学した経験があり、人間世界について、他の八咫烏と比較して詳しいですが、
外界に混じって生きている大天狗がいることで得られる情報がすごい!
人間を基準としてみた「人ならざるもの」を描く物語のセオリーが、大天狗を通じて読者に説明されているのですが、
具体的には、p.184〜あたりの“自覚”の話。
本人の“自覚”と他者が“そう見ている”という2つの点が揃うと、それは「事実」になる。
『思い込みの強さや、信じる力、言霊』
のようなものの大切さにも通ずるものがある。
そしてその力は、人を人ならざるものたらしめることもあれば、“神”という存在を擁立することにもなる。
儀式というものは、そのように擁立してきたものであり、その信仰が薄れてきた時にどうなるかは、この八咫烏シリーズで描かれるところである。
(そして「人ならざるもの」を描くミステリーファンタジーの定石でもある)
立ち返ってこの基本を描くことが、そうきたか!と思ったのです。
日本固有の信仰である“神道”の概念の基本が描かれていて、現代人が忘れ去れさっていく神への畏怖・崇拝つまりは“伝統”につながるものを改めて描くような物語り。
あまり日本の神々について詳しくはないので、玉依姫が何を指すのか知らずに読んでいって上記のように思ったのですが、まさにp.221にして『玉依姫』が誰かわかり、やはりなと感じました。
もともと『玉依姫』をご存じの方は、物語で描きたいことというのも感じながら読まれるのでしょうね
いやぁ、神話・神にまつわることは不変のテーマだなぁ。
今作の主人公である志帆の決断というものは、
自己犠牲を伴いながらも、自らが判断して選択した結果だと本人が自覚しており、そういう選択をすることこそ、生きるということだなぁと思いました。
さて、八咫烏シリーズとしては
前作までの『山内の危機』の正体が描かれましたが、一応はこれでひとつの結末を迎えました。
山内どうなっちゃうの?
猿、結局どうなった?
と気になる気になる! -
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ネタバレ
ここにきて学園ものか!とびっくり。
雪哉と同世代たちのやりとりに微笑ましさを感じつつ、学園という独特の空気感を物語に感じます。
前3巻よりもするする読めるのは、
慣れによるものか、この学園もののテンポ感によるものか。
私はハリーポッターシリーズが好きですが、
どうやら著者の阿部智里さんもそのイメージで日本版ホグワーツ魔法魔術学校のように『勁草院』を描かれたとのこと。
わかる!!
「勁草院」は、山内を統べる族長一家の近衛隊・山内衆の養成所。
前作で雪哉が若君に、
山内衆になります!勁草院に行きます!
と宣言してますが、その「勁草院」です。
若宮・長束中心の朝廷での様子も描かれつつ
『空棺の烏』ではそれぞれの章のタイトルが、
雪哉が勁草院で出会う同輩の友人たちの名前になっています。
今後、若宮を守る山内衆の仲間になるのだろうとワクワクします!
さて、前3作までの雪哉を思うと、
この4巻目での成長ぶりに感動します。
覚悟が決まったことでの、肝の座り方がカッコ良い。
これまで若宮に付き従いながら、
まず金烏について、朝廷について、学ぶところからだったひよっこ雪哉が
次はそこで学んだ心の持ち用などを教える立場になっているところがいい。
雪哉がこれまでこだわってきた『出自と自分は関係がない』という気持ち。
それは若宮と関わることで、雪哉が改めたことの1つでありました。
とはいえ15〜16歳の雪哉が、それまでの生き方や環境で培われたアイデンティティが崩されるには、1〜3巻までの壮大な物語があったわけです。
勁草院に入学できるのは15〜17歳まで。
雪哉と共に入学した八咫烏たちもまた、それぞれがそれぞれの理由を持って山内衆を目指していますが、年若い八咫烏たちのそれまで培われたアイデンティティでは勁草院内・山内衆としてはやっていくことができない。
そこで、1〜3巻で揉まれた雪哉の出番が来るわけです。
↓印象に残った言葉たち↓
p.104
茂丸「そういう時はな、自分のものさしでしか世界を測ることが出来ねえ、器の小さい野郎だって馬鹿にしてやればいいんだよ。宮鳥だってだけで馬鹿にしてちゃ、そいつと何も変わらねえぜ」
p.183 明留の章
雪哉「権力ってもんは、使いどころを間違えれば自分をも滅ぼしかねない厄介なもんだが、一方で、切り札になり得る力を持っているのも事実なんだ」
p.246 千早の章
明留「全てを擲って(なげうって)、自分自身も同じ目線で戦うか。もしくは、自分の傲慢を自覚しつつ、その傲慢を押し通すか…」
p.288 千早の章
茂丸「黒い面なんて、誰だって隠して当然だ。それ以上に、目に見える白い面を見て、付き合っていきたいと思えるかどうかなんじゃねえの」
雪哉の働きかけもありながら、子どもだった友人たちが成長する中で
それぞれがそれぞれの考えや悟った事を語るシーンがあります。
生きてきたアイデンティティからくる言葉、勁草院で培ったことも混ざってくる言葉。
雪哉が成長してきたように、この友人たちの成長も感じられ、『若宮を守り、山内を守る』という目的に大きく近づいた事を実感。
そして雪哉と若宮の2人の縁は、3巻までの中では長束・桜の君・澄尾(まぁ、路近も)を交えた小規模なものでした。
今作で信頼できる同僚や友人を得たことによる頼もしさもあり、これからの脅威に対する土台が完成したようなどっしりとした重さを感じます。
読んだ後はそんな“基礎”が完成した。
と、ホッと息をつきました。
雪哉、友人たちの成長とともに、
若宮を中心とする山内の根幹の成長の物語でもありました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ
前作2作で登場人物たちの背景や、性格を知ったけれど、それぞれに桜花宮の姫たち、若宮と雪哉たち、という独立した世界で進行していました。
それが今作『黄金の烏』では、その登場人物が同じ軸を同じように進んで関わっていくことに、感動してしまう!
姫たちと雪哉、関わりがあったことはちゃんと前作までにも書かれているけど、
ここまでお互い認識するほどの関わりだとはという感動とかね!
この八咫烏シリーズが、まず八咫烏の世界であることなど、フィクションの世界観だということも分かって読んでいるので、その世界に合わせようと理解しながら読むわけです。
1巻目ではその世界の道理や言葉の意味を「あせび」と共に学びながら理解して、
2巻目でな雪哉と行動するように、若宮と若宮を取り巻く環境・朝廷を理解する。
その中で、フィクションの世界であると知っている読者は、その世界を現実だとして生きる雪哉とは違って『真の金烏』の意味に何かしらのフィクション性があると想像できるものが、
雪哉にとっては「宗家の方便」だとしか思えてなかった。
そこからの「真の金烏とは」が判明していく今作は、雪哉の気持ちを理解しながらも、フィクション世界だと知りながら読んでいる、その兼ね合いと齟齬にちょっとヤキモキします。
だって、若宮と雪哉ってめっちゃいいコンビで仲良くわかり合って欲しい2人だから!
↓ネタバレ入ってきます↓
p.356〜357、
ついに『真の金烏』とはが、若宮から雪哉に告げられますが、
読者が「そうだろう」と推測していた『真の金烏』というものの存在の確認とともに、衝撃的な正体についても知ることになります。
その衝撃な正体部分も確かに、
1巻での若宮出演ページを思い出すと納得ができるところ。
『真の金烏』が想像以上のものであると同時に、
山内と外界という、世界の構成も想像以上でした。
八咫烏シリーズという、「八咫烏」が「にんげん」と呼ばれる世界のファンタジー小説
という世界線だけで読んでいると、その深さに驚くのです。
真の金烏とはなんなのか、この世界とはなんなのか、その衝撃の2つの要素が今後のシリーズに展開していくと思うとワクワクです!
前作までがプロローグ
シリーズとしての起承転結の“起”
大きなうねりが、動き始めるシリーズ第3作でした。 -
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ネタバレ
読んでいる前半のうちに
1巻目の『烏に単は似合わない』と並行した時間の物語りだと分かります。
ほとんど出てこなかった若宮様について、
その時若宮様がどのようにしていたかの視点です。
1巻目の最後のあたり、“食わせもの”だという印象を残した若宮ですが、
その人物の深掘りがされていて、
“金烏としてこの世界の頂点に立つ人物”
“有無を言わさず金烏=主として据えられる、その金烏たる人物というのはどんな特色をしているのか”
この世界の理(ことわり)と、
その中で若宮ができる裁量で進む物語であったかなぁと思います。
『真の金烏』『本物の金烏』という、
動かせない世の理と真実があり、
それだけで運命を変えられない(変えてはいけない)という部分と、
その運命の中でも変えられる(選択肢が与えられる)という部分での、
話の展開が、ファンタジーとしての面白さを広げます。
ちょいちょい若宮について思うのが、
『信長かよ!』ということ。
1巻読んで、2巻目の序盤読んで、
若宮が“うつけ”と評価されている現状は、実は間違った評価であると、
1巻を読んだ読者は知っているわけです。
なぜ“うつけ”を演じているのか、
2巻目の裏で進行している、1巻目の物語との関連性を想像しながら読んでいって、途中で明かされるわけなのですが、
“うつけ”の一面とそうじゃない一面がある若宮にしかり、
前作『烏に単は似合わない』にしても『烏は主を選ばない』にしても、
人(ここでは八咫烏ですが)というものは“一面ではその人を語れない多角的な面があるものである”ということも大きな要素になっているように思います。
↓セリフ含むのでネタバレめ
p.342
誰のセリフかを書くと面白さ半減するので言いませんが、2つの鉤括弧。
「お前が言っているのは、ただの我がままにすぎんぞ。自分をこう見て欲しい、こう扱って欲しいと、希望通りにしてもらえなかったからと言って、他人に八つ当たりして良い道理にはなるまい」
続けて、
「〜〜 お前がどんなにそれを否定し、嫌がったところで、その骨肉に北家の血が流れているのは、紛れもない事実なのだ」
宗家があり、貴族にあたる四家があり
血統が重要視される世界において、
“その一族である”ということは、アイデンティティになり得るものであり、また他者からはレッテルや先入観で見られるものである。
それに対してのセリフになりますが、
非常にグッとくるセリフです。
発言した人物が誰かも、グッとくる要素にはなってるんですが、
この物語での主人公・雪哉にとって、1番とらわれている部分に対する開放の言葉のように思いました。
雪哉にとってだけではない。
人は見た目で判断をされがちな生き物である。
(この場合の見た目というのは、ルックスだけではなく、清潔感や発言やTPOを考えているかということを含めて)
得をするのも損をするのも、見た目に大きく左右されることがある。
しかしながら先にも述べたように、人は多角的な生き物なのである。
一面だけでは語れないのに、
一面だけで評価されてしまうこともある。
それはどうにも仕方のないことではあるのだけど、
(受け止める側としては)
だったらその評価される一面をどうしていくべきなのか
そこである程度評価されること込みで受け止めなければならない
(評価する側としては)
その一面は相手の一部ではあるけれど、他の点も多種多様であると理解しなければならない
ということだろう。
そして、お互いがお互いに見えてる部分は一面なのだと念頭において接することが必要になってくる。
結局若宮という人となりについて
1巻から深く知ることになりましたが、全てを知ることにはなりませんでした。
一面を知った1巻から、半分くらいの人となりを知った2巻。
次の3巻にて、“真の金烏”であることは何かを深く知ることになりそうです。
後からの『解説』にて書かれた大矢博子さんの感想、めちゃめちゃ共感!
正直なところ、前作面白かったけど、真に面白いと感じたのは2巻目読んだ後
2巻まで読むことで、これはシリーズを読み続けるべきだ!と思いました。
もともと夫が文庫を4冊買ってきていて、
発見して読み始めたので、それだけで完結すると思っていた私。
現在シリーズめっちゃあるじゃん!!
なぜ、続きを買っていない⁈
引き続き『解説』にて、
『小野不由美の「十二国記」を読んだとき。上橋菜穂子「獣の奏者」を読んだとき。菅野雪虫の「ソニン」を読んだとき。どのときも、慌てて他の巻を買いに走ったのを覚えている。〜ーこんな名作に乗り遅れてたなんて!』
と書かれていますが、
「ソニン」買いに行きますね
でも、八咫烏シリーズ刊行のものを全部読んだ後にね!
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Posted by ブクログ
ネタバレぎゃーーーーー、なんてこった!
そんな展開ですかーーーーーーーっと
叫ぶ
連休だし久々に八咫烏シリーズ読むかあっと手にとる
なるほど長束さまのお話かーおもしろそーーっと
読み始める
アニメ序盤、敵か味方かどっちかなーーーっと
思いつつうっわー味方でしたーーっっとめっちゃおいしい
立ち位置だったお兄さま
読みつつ、あれ、なんかちょっとイメージ違うとか思ってたら
あかちゃんよばわりされてるし‥
なんかやばいひと、という印象に違わずやばいおひと路近さん
ほんっとにほんっとにやばかった。
長束さまふぁいと!!としか言えん
とゆーかこれ、新章始まりってことだよな
あれなんか読んでない巻ある?
いやあーこのシリーズ完結したと思ってたよーー
ここからまだ展開があるとは
阿部先生すごいです。
あー久々に一気読みしたー面白かった
藤宮ちゃんなんかやばいことになっちゃったんだなーーうーん
奈月彦が殺されるとこは読みたくないなーーー
はあ
しかし読まねばな