海堂尊のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
防災の日の9月1日に読んでみた。
「チームバチスタ」シリーズの著者・海堂尊氏監修の被災地で実際に活躍した医師たちのインタビュー集。
実際に病院が被災した医師、家族を津波で失った医師、救急隊として駆けつけた医師…様々な立場の医師の方たちが震災時を振り返り、語っているのだけど、その様子は本当に壮絶で、震災から6年経った今読んでも、思わず涙がこぼれた。
自らが被災者でありながら、現場を統括しなければいけない使命を守り切った先生方も凄いが、被災地の方々がほとんど混乱もせず、本当に励まし合って生き延びたんだと言う事実がとても胸を打った。
今回の震災では、ほとんど救命が役に立たなかったと言う。しかし、その後長い期間に及ぶ避難所生活でパンデミックが起きなかったことも、医療関係者の判断と努力だと思うと、本当に凄いとしか言いようがない。
最後に「精神科医でも心は壊れるんです」と言う言葉が、頭から離れない。患者さんがつらい時に一緒に泣いてくれた先生…たくさんの人が救われたと思う。「共感じゃなく同感」すごく印象的な言葉だった。 -
Posted by ブクログ
地震だけであったのなら、あれほどの死者・行方不明者は
出なかったであろう東日本大震災。本書は自らも被災しな
がら、または震災直後に被災地へ支援に入った医師9人へ
のインタビューで構成されたノンフィクションだ。
ある医師は診療中に自分の病院で震災にあった。往診鞄
だけを持って避難した。避難所ですぐに救護所を設置し、
避難した人たちの心の支えにもなった。
「医は仁術」。皆、不安な思いで避難所へ集まった。そこに
見知った医師がいるだけである程度の不安は解消されるもの
なのだろう。
地震だけなら日本には阪神淡路大震災の経験がある。だが、
津波の被害にはその経験は役に立たなかった。崩壊した
建物に挟まれた人や大怪我を負った人の手当ては、ほとんど
必要なかった。そういった人たちは身動き出来ぬまま、津波
にのみ込まれてしまったから。
その時、自分に出来ることは何か。情報も、医療機器も医薬品
も、何もかも不足したなかで医師たちは最善を尽くしたのだろう。
彼らにとっては「当然のこと」なのだろうが、その行いはやはり
尊いものだと思う。
特に自分自身も被災し、心に傷を抱えながら被災者の心のケア
にあっている心療内科医の話は印象深かった。被災者の話を
丁寧に聞き、一緒に涙を流す。
心療内科医の常道ではないのかもしれないが、一緒に泣き、
一緒に笑う。それで話し手の心は少し楽になるのかもしれ
ないね。
ただ、気になったこともある。医療は素晴らしい、行政はダメだ
みたいな記述があること。あの混乱のなか、行政も精一杯だった
のではないのかな。
それに医療にしたって、同じ地域に何組もの支援チームが入って
いたりしたんじゃないかな。支援が手薄になった地域もあったの
では?と感じてしまった。
怪我をしている人はいないか。具合の悪い人はいないか。その場で
すっと医者としての使命感が頭をもたげて来る。医師としての本能
なのだろう。日本の医師たち、みんながそうならいいのだけれど。 -
Posted by ブクログ
「ケルベロスの肖像」を読んだだけではわからなかった物語が描かれている。
ほかにも「北極クレイマー」や「ジーン・ワルツ」や「ブラックペアン1998」 などの人物も登場している。
この数行があの物語に繋がっていくのか!といった驚きもあった。
天馬視点が中心となって語られるAIセンター崩壊事件の物語には、桜宮一族の呪いが詰まっている。
桜宮病院が炎上するなかからどうやって逃れたのか。
はたして逃れたのは誰だったのか。
「ケルベロスの肖像」では描ききれなかったドロドロとした背景が浮かびあがっている。
小百合とすみれ。
双子でありながら対局にいるようなふたりが最後にたどり着くところとは・・・。
天馬と冷泉、小百合とすみれ。
医療制度の矛盾を突きながら読ませるエンタテインメントとしても楽しめた。
医療により完璧さを求める患者たち。
生命を救うことに打ち込む医師たち。
一方には、医療を権力や資金源にしか思わない医師たちもいる。
自分たちの既得権を守ることに汲々としている警察関係者もいる。
都合の悪いことは隠蔽しようとする人間もいる。
罪を犯してしまった背景を理解しようとする人間もいる。
「チーム・バチスタの栄光」に始まったこのシリーズはさまざまなことを浮き彫りにしてくれた。
田口と白鳥の主要コンビだけでなく、登場人物たちが個性的で読みごたえもあった。
好きなシリーズのひとつだった。