海堂尊のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
佐々木アツシ君の中学から高校の数年の物語。
読みながら思い出すと、彼には親がいない。少年期から思春期がない。身体的欠損もある。普通の友人がない。
馬鹿馬鹿しい学生生活や彼が守る人に向けての選択も彼の通過儀礼として描かれたのではないだろうか。
【引用】
女子という単語には甘美な響きがあるけれど、そこに〝生意気な〟という形容詞をひとつ加えただけで、印象も評価も逆転する。(中略)
そう、麻生夏美は正真正銘、正統派の美少女だった。(中略)
〝美少女〟という属性が効力を発揮するのは、日常会話で絶対に使われることのないけれど、入試英語では必須のフレーズ「彼は一目で恋に落ちた」というは慣用表現の一部である -
Posted by ブクログ
暫く前に買ったが、医療ミステリでなく、桜宮サーガじゃなさそうだし、と一寸置いておいた本。
読み始めると、流石、海堂先生はグイグイ来るねえ。
そんなカッコ付けの台詞を云う奴なんて居ないよとか、テレビドラマで「はい、カット」という声が聞こえてくるような場面展開だなとか思うんだけど、この過剰性は堪らない。
冒頭は浪速の町病院が舞台。地域医療を報われない貢献で支えてきたと褒め称えつつ、患者のカルテを抱え込む後進性を非難する。その視線は常に方向性を変える。
いつもにようにいつものメンバーがすぐ揃って、あっという間のトップモードということはないが、面白さが次々重なってくる海堂先生の語り口を堪能した。