海堂尊のレビュー一覧
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人間の生死と真摯に向き合い、己れの無力に打ちひしがれながらも、被災地での医療に尽力した多くの医師たちへのインタビューをまとめたドキュメント。
南三陸町の志津川病院で多くの患者を誘導し、その後も地域医療に尽力した若き医師、自らも心に傷を負いながらも、被災者の心のケアを続けた医師…9名の医師たちの闘いの日々が綴られる。
監修は海堂尊で、実際に執筆したのは、歌代幸子、増田晶文、吉井妙子の三名。文庫化にあたり、加筆。
海堂尊が文庫版後書きで書いているが、東京オリンピック招致に浮かれる東京、原発事故の放射能汚染水漏れは制御してると言い張った総理大臣…東日本大震災から三年が過ぎようとしているが、被災 -
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ビジネスの世界では、時として組織や専門性の壁が邪魔になる時がある。世の中全体が垂直統合から水平分散へと大きく構造を変えていく中で、既存の受け皿では解決できない課題というものが増えてきているのだ。
医療の世界も、また然りのようである。本書に登場する12人。大学病院の運営に経営的な視点を持ち込み黒字化を果たした男、Aiという死亡時の画像診断で死因究明の仕組みを変えようとする担い手、法律と医学の間に切り込む法医学のプロフェッショナル。登場人物たちが取り組んでいるテーマをざっと眺めるだけで、複合的な問題の種類の多さを伺い知ることができる。
そんなボーダーレスな課題を打破するためのヒントが、人に着目 -
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前夜にプラスイメージに到達することが難しいことも多々ある。しかし手術室の扉の前に立つ瞬間には、絶対に成功するイメージをつかめるように流れを持って行く。
手術が早い理由>よけいなことをしない。やり直ししないよう一発で決める。
「メイク・イット・シンプル」>急いでいないが早い。
新しい業績を挙げるためにもう一つ大切なことは、一人きりになる時間を持つ事だ。その時は自問自答する。自分と対話を重ねることでみえてくるものもある。
有用な人間になるためには、どのような鍛錬をすればいいのか。>「まずはイメージを掴む事、です。イメージを持てれば、いろいろなことが上手く回り始めます。例えば手術見学1 -
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―日本発の「バチスタ手術」を実施するなど、心臓外科界の「破境者」として常に斯界を先駆ける天才医師・須磨久善の半生を、「チーム・バチスタの栄光」で著名なベストセラー作家の海堂尊が描く―
凄い。
日本・世界の医学界に風穴を空け続ける外科医としての魅力と、信念のために世界を飄々と変えていく人間的な魅力が伝わり、心を揺さぶります。
「よけいなことをしない。一発で決める。手術の速度を上げる原則は二つだけです」
「立派になろうなんてがんばらなくていいんです。有用な人間になればいいんです」
「「君がいてくれてよかった」と思われるのがいい」
「(一流を育てるには)本物を見るのが一番いいでしょう」
医療だ -
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読んでみたいと思いつつ、文庫に落ちてくるのを待っていた一冊。
一気に読んでしまいました、寝落ちしながらも。。
自分の従事する”仕事”に社会的な有用性を見出しつつ立ち向かっていく、
プロとは、そして純粋とはこういうもの、久々に叩きのめされました。
ブレない芯を持ち実践するのは、言うは易く行うは難し、
外科医としてだけでない、一人の人間として尊敬に値する、そんな方です。
で、妙に親和性を感じて、「医龍」を読み返したくなりました。
と思っていたら、実際に須磨先生をモデルにされてたのですね、、道理で。
”大人は子どもにカッコいい姿を見せればいい”、機会があるなら是非一度、お会いしてみたい。 -
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心臓外科医 須磨久善の自伝的語り下ろしや、医療に対する哲学、その人間像を、『チーム・バチスタの栄光』などの作者である海堂尊がテキストに書き下ろしたノンフィクション作品。
卓越した技術によるスーパーヒーローな医師としてだけでなく、海堂が言うところの「破境者」としてのアントレプレナー的な須磨の人物像がとてもおもしろく、一気にファンになってしまった。
須磨本人による自伝も是非読んでみたい。
須磨をモデルに『チーム・バチスタ~』の桐生医師を書いたのかと思っていたが、実はそうではなく、『チーム・バチスタ~』の刊行後に2人が実際に知り合ったというのも驚き。
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講義のシーンは難しくてよくわかんないところもいっぱいあったけど、物語として面白かった。
特に、出産のシーンとかは、またたく間にみんながお産にせかされて、読んでるだけなのに、大丈夫か?とどきどきしてしまった(笑)
いままで人間があたかも普通のように遺伝子を繋いできたっていうのは、本当はものすごく複雑で、ものすごくいろいろな経緯があって、初めて健康な子供が生まれるなんて、驚くべきことなんだなって思った。
この本では、体外受精や代理母出産がメインになっているけれど、出産と子供について、最先端の医学に対して、現在の法律が追いついていないことを残念に思う。
この本では、官僚批判がものすごいけど、ここ -
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ドラマ化もされた「チーム・バチスタ」シリーズのスピンオフ作品。ドラマは流し見程度に見ていて、ラストのネタバレも知りつつ読んだけど面白かった。
作者がお医者さんということもあって、手術のシーンや病院内の描写がリアルに描かれていてとてもわかりやすい。
チーム・バチスタシリーズは好きで読んでたんだけど、ナイチンゲールやイノセントゲリラあたりでちょっと食傷気味になってしまった。ちょっと望んでたのと違うかなーと。(一番好きなのはジェネラルルージュの凱旋)
本作はチーム・バチスタの時代では院長先生になっている高階先生の若い頃の時代が描かれている。でも主人公は高階先生ではなく、若い研修医上がりのお医者さ -
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読書備忘録937号。
★★★★。
桜宮サーガの骨太前日譚シリーズ。
バブル3部作と表現されることもありますが、ブラックペアンシリーズの方がしっくりきます。本作も含めると7作。
本作は、ブラックペアン1988⇒ブレイズメス1990⇒スリジエセンター1991の本流から遡ること10年くらい。
佐伯外科の渡海が名実ともに異端児・一匹狼になるまでのストーリーです。
桜宮市、東城大学医学部付属病院、佐伯外科。
3年目研修医の渡海征司郎の手術の手腕は佐伯教授に勝るとも劣らない。
佐伯教授は高難度の食道癌手術を渡海にやらせる。
佐伯外科の医局員は大いに反発。なぜ3年目の若造にやらせるのか!出来るわけがない