あらすじ
【電子書籍限定! 特別あとがきに加え、海堂ワールド作品相関図他、豪華7本立て巻末付録を収録!】「動かなければいけないときは動く」の信念で、埼玉県の交通事故死激減の立役者となった救命救急医。自ら開発した器具で、三、四分で終わる白内障手術を行う眼科医。相対的な倫理より患者の人生を重視する、代理出産の旗手……。メディアによって医療が叩かれやすいこの時代に、「すごいでしょ、こんな人がいて、日本を支えてくれているんだぜ」と著者が胸を張って言える方々をゲストに招いたトーク番組、「海堂ラボ」を書籍化! 【対談ゲスト】■國松孝次(ドクターヘリ推進の核弾頭) ■山本正二(Aiの中心的存在) ■足立信也(豪腕の参議院議員) ■北島康雄(大学病院を黒字化) ■堤晴彦(闘う救命救急医) ■木ノ元直樹(医療を守る弁護士) ■辻井博彦(重粒子線がん治療) ■赤星隆幸(三、四分の白内障手術) ■根津八紘(代理出産の第一人者) ■藤田眞幸(法医学のプロ) ■大友仁(被災地医療の担い手) ■香山リカ(震災後の心を癒す)
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Posted by ブクログ
ビジネスの世界では、時として組織や専門性の壁が邪魔になる時がある。世の中全体が垂直統合から水平分散へと大きく構造を変えていく中で、既存の受け皿では解決できない課題というものが増えてきているのだ。
医療の世界も、また然りのようである。本書に登場する12人。大学病院の運営に経営的な視点を持ち込み黒字化を果たした男、Aiという死亡時の画像診断で死因究明の仕組みを変えようとする担い手、法律と医学の間に切り込む法医学のプロフェッショナル。登場人物たちが取り組んでいるテーマをざっと眺めるだけで、複合的な問題の種類の多さを伺い知ることができる。
そんなボーダーレスな課題を打破するためのヒントが、人に着目することで見えてくる。案内人は、『チーム・バチスタの栄光』でもおなじみの人気作家・海堂 尊。本書はCS番組「海堂ラボ」での自由闊達なトークを書籍化したものである。
なかでも非常に印象的なのが、海堂氏の紹介におけるスタンスだ。
ともすれば評論家は辛口で悲観的なことばかり口にする。それでは日本は明るくならないし、そもそも「海堂ラボ」の根本精神と合わない。
どのゲストも、「すごいでしょ。こんな人がいて、日本を支えてくれているんだぜ」と胸を張って言える方たちばかりだ。
この”まえがき”に書かれたコメント、HONZにおける「オススメ本紹介」のスタンスにも通じるところがあるなと思いながら読んでいた。すると次の頁で突然、HONZ副代表・東 えりかの名前も出てくる。なんと、番組を書籍化する際の構成を担当したそうだ。危ない危ない、”まえがき”を読み飛ばして知らずにレビューを書いたら、赤っ恥をかくところであった・・・
さまざまな分野を横断しながらも、コンパクトに纏まった12人のインタビュー。本書の最大の見所は、彼らを動かす原動力が何なのかというところにある。
警察庁長官狙撃事件で数発の銃弾を撃ち込まれながら、奇跡の生還を果たした國松 孝次。退院後に主治医から「あなたは都内だから助かった。地方だったら亡くなっていただろう」と言われたことがきっかけで、地方の救急立て直しのためにドクターヘリの普及を推進する。
救急隊と医療機関との連携をより緊密にするガイドラインを制定し、埼玉県における交通死亡者数を激減させた堤 晴彦。「動かなければならないときは動く」を信念に、日付の入っていない辞表をトップに提出するほどの覚悟で臨んだ。
相互扶助精神が無くなってしまえば、社会は成り立たないと考え、非配偶者間体外受精や代理出産にも深く関わってきた根津 八紘。倫理観には絶対的倫理観と相対的倫理観があり、相対的倫理観は、時代とともに変わっていく可能性があると主張する。
変わり種は、「フェイコ・プレチョップ法」という画期的な手術法で白内障の手術を3~4分で完了してしまうことを可能にした赤星 隆幸。手術のための器具を自ら開発し、特許を取得しなかったのだという。彼の思いは、一人でも多くの人達に光を取り戻してもらいたいというものだ。
組織の壁、限られた予算、少ない人的リソース、前例がないというリスクに伴う葛藤、直面する様々な問題に、彼らは一体どのように立ち向かっていったのか?
本書に登場する人たちは、必ずしも医療の世界でメインストリームにいる人たちばかりではないのかもしれない。しかし、変革の波はいつだって周縁から押し寄せる。周縁という名の最前線、打開のヒントは個に宿る。医療に興味のある人のみならず、多くのビジネスマンにとっても一読に値する一冊だ。
Posted by ブクログ
周りからは破天荒に見えても、ひいては患者のために医療を良くしようと奮闘する医師たちを知ることができ、ありがたい。そんな医師と著者が対談したテレビ番組を書籍に纏めたもの。映像も観てより理解を深めたかった。フィクションだから有り得ると思っていた速水先生のような医師が実在していたとは。海堂さんが作品内で目の敵にしておられる法医学教室教授との熱い対談もあり。先端的がん治療や代理出産、大学病院経営、救急医療など興味深いテーマが盛りだくさん。東日本大震災で奮闘した現場の医師の生の声も興味深く、関連本に派生して読みたい。
Posted by ブクログ
こんな番組があったとは知りませんでした。番組作成時の感想部分もあって本ならではの特徴もあり面白いです。日本の医療を支えている方々の考えが分かりとても興味深い内容でした。
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こういう番組があるとは 知らなかった。
海堂さんの考え方は、合理的で 理路整然として 好きです。
この中に出てきた人物も 好感の持てる人ばかりでした。
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海堂尊さんのテレビ番組から生まれた本。自画自賛の番組だったそうで、この本の中身もそんな感じの、よい医療があるぞ、という自信に満ち溢れた内容です。
ほとんどは、海堂氏と出演者のアウフヘーベン的内容なのですが、そのなかで、海堂氏のライフワークであるAi推進の敵とも言える法医学者との対決が異質で面白い。
テーマは医療ですが、自分の軸を持ち、強い意志を持ち続けろ、という呼びかけのようでもあります。
Posted by ブクログ
CS朝日ニュースターの自主制作番組「海堂ラボ」を文書化、医療に関わる様々な人を紹介している。
國松孝次 いわずとしれた警察庁長官狙撃事件の被害者だが救急医療に助けられたことにより、NPO救急ヘリ病院ネットワークの理事長に乞われてなっている。成果としてはドクターヘリ特別措置法の成立のための働きかけで元行政官としてどこを動かすかがわかると言うのがポイントだったようだ。ドクターヘリは運用に1機2億かかるのだが、救命率が上がることにより例えば千葉北総病院のケースでは救急車に比べ医療費が110万円/人削減できた。入院日数も16.7日短い。出動回数は2009年に748回なので結果として収容人数が増え医療費も削減できた。
赤星孝幸 白内障手術の第一人者で手術写真が載っているがまず角膜のみを1.8mmダイヤモンドカッターで切開。プレチョッパーという独自開発した道具で水晶体を切り分けて吸引。直径6mmのアクリル性眼内レンズを1.8mmの傷口から差し込み中で拡げると後は角膜をぴったり閉じる。手術時間はわずか3〜4分ですぐに物が見え歩いて帰れる。また道具の特許は取らず、学会内で術式を披露し合い、新たな改良が加えられている。
他にも法医学者、議員、病院長、医療弁護士・・・と様々な立場の人が出てくる。
Posted by ブクログ
CS朝日の番組で,日本で活躍中の医者・関係者を呼んで海堂氏が話を聞くというのを36回やってたらしく,その書籍版第一弾。毎回絶賛一辺倒かと思ったらそうでもなくて,法医学者の藤田眞幸氏のときは,結構論争チックにもなってた。海堂氏肝入りのAiを法医学側はなぜ導入しようとしないのか,みたいな。放射線科医に主導権を握られてしまうから?とか。
あと,最近話題の香山リカ氏との回もあった。これは随分ヨイショだったなぁ。
代理出産で論議を醸す根津八紘氏も登場。彼の著書は前に読んだけど,信念の人だよね。海堂氏もこのネタで小説書いているそうで,ちょっと読んでみたい。帚木蓬生の『エンブリオ』も生殖医療がテーマだったな。医療ってなんか,身近だしドロドロしていて小説とかの題材になりやすいのだろうね。